哲学の分野では、唯物論、唯心論などの一元論があります。
脳と心の両者を実在すると考える二元論もあります。
唯物論の主張は、
宇宙に存在するすべてのものは物質からできている
物質の現象は物理法則で完全に説明できる
というものです。
この主張はもっともらしいので、多くの信奉者がいます。
しかし、以前のブログ”物理還元主義は情報概念を消去あるいは還元できるか”において唯物論(物理主義、物理還元主義)には科学的根拠がないことを示しました。
従って、「脳という物質=心」という一元論は間違いであることが分かります。
一方、脳の中には物質と心の両者があるという二元論がありますが、これにも以下で示すような問題点があります。
周知のように脳現象において情報概念は不可欠です。
情報は、脳という物質と心とを結びつけるものなのです。
脳というシステムを科学的に捉えるには、物質、情報、心という三者を実在するものとする三元論が不可欠です。
このときの物質、情報、心という三者は独立した存在ではなく相互に依存した関係にあります。
しかも、三者は互いに還元することも出来ません。
これらの三者は、混然一体となって脳というシステムを構成しているのです。
この状況を相互依存的三元論と名付けます。
脳科学や脳神経科学は、脳内部で情報処理がなされているとしています。
それにも拘らず、心身問題を議論する際には脳の中にあるのは物質と心であり情報の存在を無視しています。
実に不可解極まりないことです。
脳科学者や脳神経科学者は、脳における情報の本質的役割について真剣に向き合うべきだと思います。