光子や電子の大きさは0ですが、これらの位置を測定する測定器の大きさは有限です。
従って、感光板に付いた痕跡のどこに光子が到着したのかを知ることは原理的に不可能です。
測定器は、例えば痕跡の中心部の位置をもって光子が到着した位置としています。
これは、知りえない光子の真の到達位置をある意味で偽装していることになります。
このような操作をしても量子力学がうまく機能しているのは理論値と測定値とが結果的に一致するからです。
しかし、測定値が光子の真の到達位置を示していないという事実には変わりありません。
それでは、感光板に到達した光子の真の位置をどのように考えればいいのでしょうか。
それを測定器で示せないのだから光子の真の位置は実在しないとするのが量子力学です。
それでは、次の事実をどのように捉えればばいいのでしょうか.
(事実1)光子は感光板のどこかに到達している
(事実2)測定器の測定値は光子の真の位置を示していない
(事実3)量子力学の理論値は実験値と一致する
これらの事実から結論できることは次のことです。
光子や電子が検出器に到達した真の位置は量子力学にとって実在しない!
以上のことは、光子の偏光や電子のスピンなどについても成り立ちます。
これらのことは量子力学に潜むパラドックスと言えます。