情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

光子や電子の真の位置は実在しない! 量子力学のパラドックス!?

2023-02-14 11:22:41 | 物理学・量子力学
光子や電子の大きさは0ですが、これらの位置を測定する測定器の大きさは有限です。
従って、感光板に付いた痕跡のどこに光子が到着したのかを知ることは原理的に不可能です。

測定器は、例えば痕跡の中心部の位置をもって光子が到着した位置としています。
これは、知りえない光子の真の到達位置をある意味で偽装していることになります。
このような操作をしても量子力学がうまく機能しているのは理論値と測定値とが結果的に一致するからです。
しかし、測定値が光子の真の到達位置を示していないという事実には変わりありません。

それでは、感光板に到達した光子の真の位置をどのように考えればいいのでしょうか。
それを測定器で示せないのだから光子の真の位置は実在しないとするのが量子力学です。

それでは、次の事実をどのように捉えればばいいのでしょうか.
(事実1)光子は感光板のどこかに到達している
(事実2)測定器の測定値は光子の真の位置を示していない
(事実3)量子力学の理論値は実験値と一致する
これらの事実から結論できることは次のことです。

光子や電子が検出器に到達した真の位置は量子力学にとって実在しない!
以上のことは、光子の偏光や電子のスピンなどについても成り立ちます。

これらのことは量子力学に潜むパラドックスと言えます。


測定器が示す物理量の正体

2023-02-12 10:43:09 | 物理学・量子力学
測定器の大きさは有限です。
一方、光子や電子などの量子の大きさは0です。

光子を検出する感光板を考えます。
光子がこの感光板に到達すると感光板に点状の痕跡が付きます。
大きさが0の光子がこの痕跡のどこにあるかを知ることは不可能です。
ということは、感光板を用いて光子の到達位置を知ることは出来ません。
感光板の代わりに光電管を用いても同じです。

要するに、大きさが0の量子の位置を測定することは原理的に不可能なのです。
感光板などが示す光子の位置はあくまでも便宜上のものであり、光子の正確な位置を示すものではありません。
光子の偏光、電子の運動量、電子のスピンなどについても事情は同じです。
感光板に到達した光子の位置の測定値は感光板に付いた痕跡の中心の位置を意味していると思われます。

物理学者は知りえないことについて議論しても始まらないと考えます。
現実の測定器による測定値がすべてです。
そして、測定値と量子力学が予想する理論値が一致すれば十分なのです。
測定器が示す測定値が量子の持つ物理量であるとします。

測定値は測定器が定義して出力する情報です。
測定器に依存する測定値は客観的な概念ではありません。
ということは、物理学者が考える物理量も客観的な概念ではないのです。

清水明『新版 量子論の基礎ーそのやさしい理解のためにー』、サイエンス社(2006.9)、p.19に

”物理量とはどんな状態においても(原理的には)いくらでも小さな誤差で測れるりょうのこと”

という記述がありますが、これは測定器が有限の大きさをもつという避けられない現実を無視しています。
前述のように、検出器に到達した量子の真の位置を知ることは不可能だからです。

将来、分子の大きさを持った測定器が出来たとしてもその大きさは有限であることに変わりありません。


量子力学の”幽靈波”

2023-02-04 10:53:59 | 物理学・量子力学
山田克哉『量子力学のからくりー幽靈波の正体ー』、講談社、ブルーバックスB-1415
(2003.7)
の中で著者は波動関数のことを”幽靈波”と名付けています。
その理由は、波動関数は複素数なので観測できないからだというものです。

当ブログでは、波動関数はボルンの確率解釈を用いて量子の位置、運動量、スピン、偏光などの情報を与えるので波動関数を”量子情報波”と名付けています。

今回のブログではこの幽靈波という用語を波動関数に対してではなく光子や電子の波に対して使います。

量子力学では1個の光子や電子に対して振動数や波長を与えています。
しかし、振動数や波長は時間あるいは空間軸上に無限の拡がりを持つ正弦波に対して成り立つ概念です。
それを微小な対象である光子や電子に対して適用するのは矛盾です。
従って、1個の光子や電子に対する波という概念は幽靈波であると言えます。

なお、この幽靈波と前述書の幽霊波とは密接に関係しています。
何故なら、波動関数は超時空独立量子集団に属する1個の電子に対するものだからです。