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情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

ルビンの壺と立体地図用3Dメガネ

2024-08-20 14:33:16 | 人工知能・意識・脳科学
多義図形として有名なのがルビンの壺です。
背景が黒で中央に白い壺のような図形があります。

これを見ると中央にある白い図形が壺に見えます。
一方、背景の黒に注目すると壺の左右に人の顔が見えます。

面白いことに壺と顔が同時に見えることはありません。
必ず壺か顔のどちらかしか見えないのです。

この種の図形を多義図形といいルビンの壺の他にもあります。

これにヒントを得て立体地図で使う3Dメガネの場合にどうなるかを試しました。
3Dメガネには左が赤、右が青の半透明なフィルムが付いています。
(立体地図によっては左右逆のこともあります。)

このメガネで立体地図を見ると地図が立体に見えるのです。
3Dメガネと呼ばれる所以です。

さて、この3Dメガネで白紙を見るとどうなるでしょうか。
ルビンの壺から予想できるように白紙は赤と青が交互に見えるのです!
赤と青を同時に見ることは出来ません。

もし、赤に集中すれば赤だけが見えます。

脳は、白紙の色が赤か青の一方の色としてしか解釈できないようです。
多義図形も同じ理由と思われます。

3Dメガネをお持ちの方は是非試して下さい!

夏休みの自由研究としてどうでしょうか!



池上、石黒『人間と機械のあいだ』

2024-05-29 14:52:30 | 人工知能・意識・脳科学
池上高志、石黒浩『人間と機械のあいだ-心はどこにあるのか-』、
講談社(2016,12)
同書には、著者らの簡単な研究紹介と対談があります。

石黒はアンドロイドロボットの研究者として有名です。
マツコ・デラックスのアンドロイドを紹介したテレビ番組もありました。

最近は、アンドロイドの研究から機械人間オルタの研究に移行しています。
オルタの研究は、人間の顔の微妙な表情を再現することで生命とは何かを探ろうとしているようです。

池上は、複雑系の手法を用いて人工意識の構築を目指しています。
複雑系の複雑度がある閾値を超えればヒトの意識が実現できるのではないかと期待しています。

石黒は人工生命、池上は人工意識の構築を目指しています。
しかし、人工生命と生命、人工意識と意識との間には決して超えられない壁があります。

人工生命や人工意識はあくまでも機械人間によるもので、生きている生物とは本質的に違うからです。

石黒や池上など多くの研究者は、見かけが同じなら本質も同じだと主張します。
彼らは、アラン・チューリングを開祖とする機能主義者と呼ばれています。

”心理的時間の速さ”は毎日脳に入力される”新しい情報量”に反比例する!

2024-04-07 11:06:54 | 人工知能・意識・脳科学
年を取るにつれて月日のたつのが速く感じられます。
どうしてそう感じるのかいつも気になっていましたが、
それを”定量的に説明できる”理由を見つけました。

それは次のような仮説です。

心理的時間の速さは毎日脳に入力される新しい情報量に反比例する」



人間と人工知能による認識には本質的な違いがある

2022-01-30 16:15:28 | 人工知能・意識・脳科学
深層学習は急速に発展しています。
そのパターン認識能力は、人間のそれを凌駕しているとも言われています。
このことから人工知能は人間と同じ意味で認識しているとされています。
しかし、これは錯覚であることを以下で証明します。

便宜上、手書き数字認識の場合について考えます。

人間は、手書き数字を見てそれがどの数字であるかを判定します。
これが人間による認識と呼ばれるものです。

一方、人工知能の場合は手書き数字を二次元データで表し、そのパターンの特徴を抽出し、その結果をもとにして手書き数字がどの数字であるかを判定します。
これが人工知能による認識と呼ばれるものです。

ここで注意したいのは、人工知能には入力文字を「見る」という機能(仕掛け)がないことです。
更に、入力文字は情報処理の過程で消失することです。

従って、人間の場合のように入力を見ながら手書き数字がどの数字であるかを判定するという状況がないのです。

別な言い方をすると、人間の場合「入力文字は〇〇である」となりますが、人工知能の場合には単に「〇〇である」となって主語がないのです。

人工知能は、手書き数字のパターンが0から9までのどれに該当するかを分類しているに過ぎません。

以上の分析から分かるように、人間の「認識」と人工知能の「認識」には本質的な違いがあります。