フランスの詩

宮之森享太 翻訳

2011-06-10 | Weblog

                涙

  鳥たちから、羊の群れから、村の娘たちから遠く離れて、
  ぼくは飲んでいた、ハシバミの柔らかな林で
  囲まれたどこかのヒースの中にうずくまって、
  午後の心地よい緑の霧の中で。

  何をぼくは飲めたのか、この若いオワーズ川で、
  声のない楡の若木、花のない芝生、曇り空。
  何をぼくは取り出していたのか、里芋の瓢箪で?
  金色のリキューが少々、風味がなくて汗ばむのさ。

  そのように、ぼくは宿屋の悪い看板に
  なったかもしれない。そして雷雨は空を変えた、
  夕方まで。それは黒い国々、湖、竿、青い
  夜の下の列柱、駅だった。
  
  森の水は処女の砂の上に消えていた。
  風は、空から、氷塊を沼にまき散らしていた. . .
  さて! 金や貝を採る者のように、
  ぼくは飲むのに関心がなかったというのに!

                  5月 1872



朝の良き思い

2011-06-10 | Weblog

         朝の良き思い

     朝の四時、夏、
     恋の眠りはまだ深い。
     木陰の下で夜明けが蒸発させる
          祝いの夜のあのにおい。

     だが向こうでは、巨大な作業場で
     ヘスペリデスらの太陽に向かって、
     シャツ姿で、大工たちが
          もう体を動かしている。

     彼らの苔むした静かな荒野に、
     彼らは高価な上張りを準備する
     そこでは町の富が
          偽りの天国の下で笑うだろう。

     ああ! その素敵な職人たちよ
     君たちはバビロン王の臣下であるから、
     ヴィーナス! 彼らのために少し離れよ
          魂が冠をいただいた愛人たちから。

          おお、愛人たちの女王よ!
     働き手らにブランデーを届けよ、
     彼らの力が安らかであるように
     正午に、海での水浴びを待つあいだに。

                  五月 1872