ある席でSさんから「大阪弁で言うハンナリとはどういう意味だろう」という質問が出た。
「花やかなとか、明るい、とかいった意味だと思いますヮ。はっきり答えられないけど、悪い意味ではないことは確かですヮ」と席にいた仲居さんの説明で、その場は終わったが、大阪で暮らした事のない私は、なんとなく大阪弁に興味をそそられて、それからしばらくたって、たまたま本屋で「大阪ことば辞典」(牧村史陽編)を見つけ、早速買って調べてみた。
ハンナリ=はなやか、はればれ、明朗、陽気、くすんでいない(気質や色彩などについていう)。
花なり(花形、花姿。身なり、いびつなり、などと同じ類で花やかな形)。
花にあり→花なり、あるいはほんのりではないかなど、かって難解大阪弁研究会で種々の節が出たが、結論にはいたらなかった。(同辞典)。
Sさん、納得してくれましたか。しかし、あらためてハンナリという言葉が、暖色系のいくつもの色が滲み合ったような感じを持っている事に驚く。あるいは、それが大阪弁の本質であるかも知れぬ。
それに昔の大阪人は、同じ事を言うのにもユーモラスな表現を使ったらしい。
日本人にユーモアがない、などと言われるが、決してそうでなない。忘れていると言うべきである。
「不景気なところへ物価は上がらずで、サッパリいけまへんがなァ」というのが、現代大阪人の嘆きであろう。かなり深刻である。それでも「不景気でダメダッ」式の東京弁よりはるかにやわらかいが、昔の大阪人なら、「狐にヤイトでセンチ場の火事や」と言いそうである。狐にヤイトは「困窮」(コンキュウ),センチ場(便所)の火事は
「ヤケクソ」。大阪ことばは辞典はまだたくさんこの種の「掛け言葉」を載せている。
倒(こ)け徳利で出放題
仏壇の底抜けで阿弥陀(涙)がこぼれる
下手な将棋で金銀持って苦しんでいる
赤児の行水でタライ(足らい)で泣いている
五合徳利で一升(一生)詰まらん
こういう言い回しをすると、深刻なことも深刻でなくなる。今年のような問題山積という事態のもとでは、この昔の大阪人の笑いの知恵に学びたいものである。
「正月の鯛でにらんでるだけ(手が出ない)」
などとあきらめずに。、ハンナリと行こう。
ついでに「樽は呑み口より垂れ落ちるゆえにタルといい、徳利は口よりドクリドクリと出るゆえにトクリ、チロリは口よりチョロチョロ出るゆえの名なりけり」だそうである。
深刻な不況のご時勢とあれば、トクリじぁなしにチョロチョロがいいかも知れない。
ハンナリとチョロチョロをどう結びつけるか、これはそれぞれの知恵に待つほかあるあい。少なくとも「猿の病気でキキ(聞き)づらい」話はなるべく出さぬことにしよう。
「花やかなとか、明るい、とかいった意味だと思いますヮ。はっきり答えられないけど、悪い意味ではないことは確かですヮ」と席にいた仲居さんの説明で、その場は終わったが、大阪で暮らした事のない私は、なんとなく大阪弁に興味をそそられて、それからしばらくたって、たまたま本屋で「大阪ことば辞典」(牧村史陽編)を見つけ、早速買って調べてみた。
ハンナリ=はなやか、はればれ、明朗、陽気、くすんでいない(気質や色彩などについていう)。
花なり(花形、花姿。身なり、いびつなり、などと同じ類で花やかな形)。
花にあり→花なり、あるいはほんのりではないかなど、かって難解大阪弁研究会で種々の節が出たが、結論にはいたらなかった。(同辞典)。
Sさん、納得してくれましたか。しかし、あらためてハンナリという言葉が、暖色系のいくつもの色が滲み合ったような感じを持っている事に驚く。あるいは、それが大阪弁の本質であるかも知れぬ。
それに昔の大阪人は、同じ事を言うのにもユーモラスな表現を使ったらしい。
日本人にユーモアがない、などと言われるが、決してそうでなない。忘れていると言うべきである。
「不景気なところへ物価は上がらずで、サッパリいけまへんがなァ」というのが、現代大阪人の嘆きであろう。かなり深刻である。それでも「不景気でダメダッ」式の東京弁よりはるかにやわらかいが、昔の大阪人なら、「狐にヤイトでセンチ場の火事や」と言いそうである。狐にヤイトは「困窮」(コンキュウ),センチ場(便所)の火事は
「ヤケクソ」。大阪ことばは辞典はまだたくさんこの種の「掛け言葉」を載せている。
倒(こ)け徳利で出放題
仏壇の底抜けで阿弥陀(涙)がこぼれる
下手な将棋で金銀持って苦しんでいる
赤児の行水でタライ(足らい)で泣いている
五合徳利で一升(一生)詰まらん
こういう言い回しをすると、深刻なことも深刻でなくなる。今年のような問題山積という事態のもとでは、この昔の大阪人の笑いの知恵に学びたいものである。
「正月の鯛でにらんでるだけ(手が出ない)」
などとあきらめずに。、ハンナリと行こう。
ついでに「樽は呑み口より垂れ落ちるゆえにタルといい、徳利は口よりドクリドクリと出るゆえにトクリ、チロリは口よりチョロチョロ出るゆえの名なりけり」だそうである。
深刻な不況のご時勢とあれば、トクリじぁなしにチョロチョロがいいかも知れない。
ハンナリとチョロチョロをどう結びつけるか、これはそれぞれの知恵に待つほかあるあい。少なくとも「猿の病気でキキ(聞き)づらい」話はなるべく出さぬことにしよう。