(有)大津屋 駅前本店

湖西の限定酒 ”これっきりごめん”
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雑感

2012年01月08日 09時05分06秒 | ひとりごと
新年明けましておめでとうございます。
本年も、旧に倍して お引き立ての程お願い申し上げます。


「小鳥の来る日」

誰が書いたのか
「ビワはひっそりと寒気の中に花ひらく。冬は花の少ない季節なのに、それでもビワの花は目立たない。枝の先のほうに、そっと群がって咲いている。
花粉をはこぶのはメジロなどの鳥たちだ。そのためか、ビワの花はいい匂いで小鳥たちをひきつける。魅きつけられるのは小鳥ばかりではない。ビワの花の香りに誘われて上を見上げた時だけ、木枯らしに丸い背がピンと伸びる。ここにビワがあったのかと思い出す。」という文章がある季刊誌に載っていた。


私の母の実家にもビワの木はあったし、いま両親が住んでいる家にもビワの木があって、初夏になると沢山実をつけるが、その花が、そんないい匂いを撒き散らしていることには、てんで気がつかなかった。

私のいまの家にはビワはないが、一本、十数年昔植えたマユミの木があって、冬になると果包が裂けて赤い実が花のように、どの枝にもこの枝にも一杯着く」。花は梅雨時に咲く。薄緑のケシ粒くらいの大きさで、それこそ無数に咲く。梅雨に打たれて、半分以上も散ってしまうが、散り残った花は、だんだん実をみのらせて、十一月にもなると大豆ぐらいの大きさになるであろうか。しかし、まだ果実は袋に包まれたままである。
 それが寒さとともに次第に赤身を帯びてきて、十二月半頃には包みが割れ、真赤な包みの中からいくつかの実が現れるようになると「なんという花ですか」と尋かれたりするほど美しい。葉はもう散り尽くして、木全体が赤い。
 その頃になると雀が群がる。時にはヒヨが来たり、篭から逃げ出したものか、セキレイが姿を見せることもある。この冬はメジロが来ている。初めてメジロを見つけたのは、新年を迎えて何日かしてからだった。その時は七羽来た。翌日になると、また二、三羽増えていた。
 ガラス戸越しにそっとのぞく。くすんだ緑の羽毛、目のまわりが白い。それぞれ、マユミの実をついばんでいる。一つついばめば、二つ三つこぼれるが、それを拾おうとはしない。おそらく、周辺の不良猫どもが何匹もいて、不意を狙って飛びかかってくることを、本能的に感じ取っているのであろう。猫の中に時たま、梢めがけて矢のようにかけ登るやつもいるが、到底つかまるような相手ではない。
「家でぬくぬく寝てばかりいるあんた方に、つかまるようなメジロや雀がいるもんですか」と母は笑う。
 小鳥が来てくれるというのはうれしいものである。
「小鳥の来る日」(吉田弦二郎著)とう本があったことを思い出す。内容はすっかり忘れてしまった。

不意に現実に返る。
「この頃、会社を訪ねてくる人がいなくなった。それだけ、取り引きに暖かい触れ合いが無くなったのでしょうか。昔は、もっと用がなくても来てくれたものですが」
というすでに現役を去ったある親しい人の話がよみがえる。そういえば
「来訪者は家族と思え。使用人は兄弟と思え」という訓があった。いまはその人の利用価値をまず考えたがる人が多いのではあるまいか、そうも思う。
                続 考えてみたい事 秦野欽作著より