個人破産の目的はただひとつ、法律に則り
裁判所による免責を獲得して借金をチャラにしてもらうことです。
多額の借金が0になり、その上で人生を再スタートすることができるのですが
破産という烙印が押されるのですから7~10年間は借金をすることができません。
つまり、借金をせずにやり直しなさい、ということです。
ところが、裁判所が誰にでも無条件で免責を許可してくれるわけではなく
もし免責不許可事由があると、破産状態は認められたのに免責が認められない
つまり借金がチャラにならないという不幸な事態に陥ります。
「借りて返す」または「返して借りる」状態をペダルをこぎ続けなければ倒れてしまう
自転車の操作に例えて自転車操業と呼びますが、これは“すでに返済不能の状態”と言われ
借金をチャラにする免責の許可を受ける際の免責不許可事由の一つに該当すると言われています。
『すでに返済不能の状態なのに、そうでないように偽り、債権者を信用させて
さらに金銭を借り入れたり、クレジットを利用して商品を購入したとき』
確かに、会社が倒産したり個人が多重債務に陥るパターンではありますが
なぜ返すのに借りたり、返したのにまた借りなくてはならないのでしょうか?
それは日常生活における1ヶ月のお金の流れを考えてみれば簡単です。
お給料が入り、まず何にも先に生きていくために必要な生活費を確保します。
そして、その残りで返済をしなくてはならない訳ですが、生活費の除いた残りのお金だけでは
返済額に足らないから借り入れをしなければならないのです。
つまり、ご自分のお給料ではもう返済はできないという証拠であるとともに
借金の額は増えて行くことになります。
これを「返済不能の状態」と言いますが
借りて返してということを繰り返して見た目では返済が遅れていないので
「返済不能」だと認識できていない方も少なくありません。
このことに気づかずズルズルと同じことを繰り返していることが大問題なのです。
忘れてならないのは高い金利でなければ借りられない信用状況に
徐々に格下げされていくことで、収入に対して借金総額が多くなるほど
返済不能の危険率が上がることを貸金業者は知っているのですから
同じことを繰り返すうちに高利になり、返済の総額は膨大な額になっていくのです。
この「自転車操業」という状態は上記の免責不許可事由に当てはまります。
「借りて返す」もしくは「返してまた借りる」訳ですから
『すでに返済不能の状態』とされているのに『さらに金銭を借り入れた』のですから。
また、保証人がついているなどの理由から一部の会社だけに返していたら
『破産の原因があるのに、特定の債権者に弁済期前に債務を弁済したとき』に
該当しますので、同時に二つの免責不許可事由に該当することにもなります。
おそらくこのようなことをしてしまう方のほとんどが
「何とかして遅れないように必死だった」だけだと思います。
何とか返済をしなければという責任感から行ってしまったのだと思います。
しかし、それが免責不許可事由に該当してしまうのですから
まだしていない方はしなくても済むように早期に対策を考える必要がありますし
してしまった方もこれ以上繰り返すことだけは止めなくてはなりません、と
弁護士などの専門家は言いますが…。