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下鴨神社「流鏑馬」 ~射手のパフォーマンスが京都の春を彩る

2018年04月28日 | 祭・行事・季節の花

京都の5月3日と言えば、下鴨(しもがも)神社の流鏑馬(やぶさめ)です。5月15日の葵祭(あおいまつり)に先立って行われる、前儀(ぜんぎ)と呼ばれるプログラムの一つです。

青もみじの新緑が美しい糺の森(ただすのもり)を勇壮に駆け抜ける馬の蹄の音や、的に矢が当たって「パァーン」と割れる音は、とてもすがすがしく聞こえます。中世の貴族や武家の最先端ファッションを彷彿とさせる射手(いて)の装束も見ものです。



葵祭は日本で最も古い祭の一つで飛鳥時代に起源がさかのぼると考えられています。平安時代初期には国家的行事として定着します。

現在は天皇が使者である勅使を派遣して行われる「勅祭」の中でも最高格式の一つとして行われています。いずれの神事も故実にのっとった装束でとても厳かに行われており、中世の趣を強く感じさせる祭です。

下鴨神社の流鏑馬は数多く行われる葵祭の前儀の中でも、最もよく知られています。飛鳥時代から行われていたと考えられており、現在の神事は明治維新直後からの100年間の中断を再開した1973(昭和48)年から行われています。保存会の有志がパフォーマンスの維持に努めています。



最高格式の勅祭だけあって、デザインが見事な装束を身に着けた射手が馬にまたがりスタート地点に向かう姿は、場をまさに中世にタイムスリップしたように見せてくれます。会場の糺の森の木々はとても背が高く、神聖な雰囲気をより強調しています。

会場の馬場は400mほどの長さがあり、かなりの見物客を収容できます。3か所ある的の前には1人2,500円の有料観覧席が設けられています。チケットの予約・前売りはなく、当日12時からの現地販だけです。写真撮影にベストな最前列を確保するにはチケット販売2時間以上前から並ぶことをおすすめします。

なお有料観覧席についての公式サイトはありません。京都の寺社のベントはこうした情報発信が充分でないものがよくあります。皆さん声をあげましょう。

有料観覧席以外は無料の立見です。こちらも最前列を確保するには午前中の早い時間から場所取りが必要です。三脚・一脚は使用禁止、前が見えなくなるので日傘も禁止です。フラッシュ撮影は馬が興奮するので厳禁です。過去にフラッシュ撮影して事故を引き起こし、逮捕された人もいます。



1時間ほどかけて、5頭の馬が3回走ります。回数は多いですが、かなりの高速で駆け抜けるため、最前列でないと構図の決まった写真をゲットすることは難しいでしょう。私が撮影した写真も他の見学者がどうしても大きく写ってしまっています。

写真撮影は馬にまたがった射手がゆっくり歩きながらスタート地点に向かう時がおすすめです。借景の新緑とカラフルな装束がとてもインスタ映えします。

射手の方は相当の訓練を積んでいると思われます。私の見た限りでは7割方的中させており、「パァーン」と割れる音の後に一斉に歓声が上がる光景は、とても雅(みやび)な瞬間です。

目の前を高速で馬が駆け抜けていくと風を感じ、とても迫力があります。競馬場ではこんな間近で馬が走っている姿を絶対に見ることはできません。



的の背後には射手が的を見やすいよう浅葱(あさぎ)色のパネルが設置されています。この色も新緑と絶妙にマッチしています。的を交換するスタッフの衣装も中世を思わせる山吹色で、イベントの視覚効果を盛り上げる演出は完璧です。

京都で行われる唯一の流鏑馬でもあります。ぜひお出かけください。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



京都の祭り・行事の365日、年が変わっても大まかな日程把握に便利


下鴨神社 葵祭の神事 ←内容説明
http://www.shimogamo-jinja.or.jp/rituals#03
葵祭の前儀「流鏑馬神事」(京都新聞サイト)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/aoi/zengi.html
開始日:毎年5月3日(日付で固定)13:00~15:30
※見学に条件はありません。無料で自由に見学できます。
※流鏑馬開催時間はおおむね14:00頃から1時間程度です。13:00からはまず神事が行われます。

 


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