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まもなく葵祭の行列_5/15 京都の町が優雅な音と色に包まれる

2019年05月03日 | 祭・行事・季節の花

まもなく5月15日、京都・葵祭の行列の日がやってきます。前回お伝えしたように、祇園祭の艶やかな町衆文化に対し、高貴な王朝文化の素晴らしさが楽しめます。

  • 京都御所から下鴨神社・上賀茂神社まで行列は8kmと長く、多様な借景で平安絵巻を楽しめる
  • 平安貴族の装束は日本の伝統色のオンパレード、普段目にしない色がとても優雅で美しい
  • 行列をどこで見ても5月の陽気と新緑が快適、行列見物には絶好の季節


京都御所、糺の森(ただすのもり)、賀茂川沿いと同じ行列を異なる場所で見るのも乙です。2019年5月15日は水曜日ですが、令和になった直後の開催です。例年以上に話題を集めそうです。


女人列 @加茂街道

葵祭の行列コースは、祇園祭や時代祭に比べはるかに長いため、最も時間的に余裕をもって見物することができます。最も混雑するのは、大きな青空と東山の借景が平安絵巻と抜群に調和する京都御所内です。砂利道で信号などの人工物も一切なく、とても写真映えします。

御所内は有料観覧席が大部分を占めており、無料で見物できる場所はほとんどありません。写真撮影のベストポジションは堺町御門付近ですが、2時間以上前に行かないと最前列の場所取りはできません。有料観覧席は全席指定ですが最前列の指定はできないため、写真撮影にさほどこだわらない方におすすめです。

行列が堺町御門から出てくる丸太町通も、御所内に入れなかった人が集まるためとても混雑します。もう少し先の河原町通り沿いは比較的すいていますが、周囲に京都らしさを感じさせる風景はなく、写真に信号や自動車といった人工物が写りこむことは避けられません。

行列は賀茂川を3回渡りますが、橋の周辺は川と山の借景が美しいため写真撮影には人気のスポットです。最初に渡る下鴨神社手前の出町橋周辺は最も混雑します。下鴨神社の糺の森も、圧倒的な新緑のシャワーの中を行列が進むため、非日常感は抜群です。京都御所並みに混雑します。

空いていておすすめは、午後に下鴨神社を出発して上賀茂神社に向かうルートです。橋を2回渡り、川沿いの加茂街道では行列を最も間近に見物することができます。川の堤を進むため、昔ながらの行列風情も楽しむことができます。


京都御所の有料観覧席

時代祭の行列は、戊辰戦争の鼓笛隊の演奏が先導しますので”さあ始まるぞ”という気になります。葵祭は行列中の演奏は一切ありません。行列の中には楽器を携えた舞人(まいびと)もいますが、下鴨神社/上賀茂神社の社頭の儀で演奏するためのものです。

葵祭でも心地よい響きが楽しめます。馬が歩く際の”カポカポ”という蹄(ひづめ)の音です。葵祭の行列は、数ある祭の行列の中でも特に馬が多いことが特徴です。全部で36頭も参加します。京都御所は砂利道、糺の森は砂道なので蹄の音は聞こえづらいですが、アスファルトの道ではよく聞こえます。特に終盤の加茂街道沿いは行列との距離が近いためバッチリです。

普段は聞かないこともあり、とても心地よい音です。蹄の音が見事に行列を演出しているのは、葵祭ならではです。祇園祭の”コンチキチン”と同じくらいに風情があります。


御馬 @加茂街道

葵祭の行列の最大の魅力は衣装です。時代祭のように武家は参加しないため、公家の装束に統一されています。男性の装束には色の組み合わせがほとんどなく、一色で染められています。そのためとてもカラフルで、行列が写真映えする大きなポイントになっています。

その色はしかも日本の伝統色です。各色とも和風のつつましやかで優雅な趣があり、実に”目の保養”になります。不思議なことにどの色も、周囲の新緑と見事に合います。自然との調和を大切にした和の文化のこだわりが、色使いにも込められているのでしょう。

時代考証は平安時代ですので、強く中世の趣も感じさせます。大河ドラマを見ているようでもあります。そんな非日常感たっぷりの空間に、”カポカポ”と馬の蹄の音が聞こえてきます。ここでしか味わえない極上の時間です。


太田神社の杜若も見頃、上賀茂神社のすぐ近く

葵祭は、季節は最高なのですが、雨が多いという欠点もあります。しかし晴天に恵まれれば最高の一日が過ごせます。神に祈りましょう。新緑の京都で平安絵巻を存分にお楽しみください。

こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。



京都1200年の歴史を祭から紐解く

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葵祭 路頭の儀
【京都市観光協会による行事公式サイト】
【京都新聞による行事情報サイト】

主催:葵祭行列保存会
会期:毎年5月15日(日付で固定)、2019年は水曜日
行列コースと先頭通過時間:
10:30京都御所→丸太町通→河原町通→11:15河原町今出川交差点→糺の森→11:40下鴨神社
14:20下鴨神社→下鴨本通→北大路通→14:55北大路橋→加茂街道→15:30上賀茂神社
【京都市観光協会サイト】 行列コース地図

※行列は、有料観覧席以外の沿道で、自由に見物できます。
※有料観覧席は、京都御所と下鴨神社にあります。全席指定ですが座席指定はできません。
※下鴨神社/上賀茂神社で行われる社頭の儀は見物できません。遠くから様子をわずかにうかがえる程度です。
【京都市観光協会サイト】 有料観覧席のご案内

※写真撮影可能ですが、フラッシュは厳禁です。牛馬が暴れます。

※雨天の場合、翌16日に順延。当日早朝6:00に京都市観光協会公式サイトで発表。
【Web】【facebook】【twitter】
※16日も雨天の場合は中止。行列途中の天候不良で打ち切られる場合もあります。

◆おすすめ交通機関◆

京都御所 :地下鉄烏丸線「丸太町」駅下車、3番出口から徒歩10分
下鴨神社 :京阪電車「出町柳」駅下車、5番出口から徒歩15分
上賀茂神社:地下鉄烏丸線「北大路」駅下車、3番出口から徒歩20分

※行列に伴い、市バスの経路変更が多く行われます。所要時間も通常よりかかるため、鉄道の利用をおすすめします。
※道路の通行止め、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。


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