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京都・今宮神社「やすらい祭り」 ~中世の趣を色濃く残す行列が見事

2018年04月03日 | 祭・行事・季節の花


祭りのポスターが中世っぽくてかっこいい

京都市の北部にある小高い船岡山の北に位置するエリアは「紫野(むらさきの)」と呼ばれています。千利休や一休さんゆかりの大徳寺があり、さらに北側に今宮神社があります。平安時代に京都で盛んだった怨霊を鎮める儀式「御霊会」を執り行う社として創建されました。

その御霊会の名残として、京都でも有数の中世の趣を感じさせる「やすらい祭」が4月第2日曜日に行われます。有名な祇園祭も御霊会が起源です。2つの御霊会がどのように現在に伝えられてきたのか、京都の文化の奥深さを体験できる稀有な祭りです。

平安京における御霊会は、疫病の流行を鎮めるために863(貞観5)年に神泉苑で行われたものが最初とされ、祇園祭の原型もこの頃には行われていました。科学が存在しなかった平安時代には、人々は疫病や天変地異の恐怖に常にさいなまれていました。

平安京の中心の朱雀大路の真北にある小高い船岡山を神が宿る山に見立てたのでしょう、御霊会を行う社を築きます。この社は1001(長保3)年に現在地に移され、「紫野社」と名乗るようになります。現在の今宮神社の創建です。

やすらい祭の原型となる御霊会は、平安時代を通じてかなり盛んに行われていたようです。平安時代末期には「詣でる装束が華美に過ぎる」ためやすらい祭り自体が勅命で禁止されたほどです。応仁の乱による中断を経て江戸時代に復活します。

江戸時代は今宮神社のあたりは農村地帯でした。このため現在のやすらい祭は、農村部の厄除けの姿を踏襲していると考えられます。今宮神社には境内の南部に位置する西陣エリアの都市部の町衆の厄除けの姿を踏襲している祭もあります。5月に行われる「今宮祭」です。


やすらい祭りの行列は「花笠」が主役

大鬼の装束は現代のイメージとはずいぶん異なる

祭りは花笠を主役とした行列が、境内の北側の氏子エリアをまわることで始まります。中世を感じさせる独特のテンポ良い囃子に導かれ、大鬼が「やすらい花や」の掛け声で疫神を追い立て、花笠に集めまる踊りを披露します。疫神は最後に今宮神社で鎮められ、花笠の中に入った人は健康に過ごせると信じられています。

やすらい祭は、囃子の拍子と装束がとても神秘的です。とても中世を感じさせます。どのような時代考証を経たのかはさらに調べなければわかりませんが、現代人が見ると祇園祭や葵祭よりもさらに原始的な祭りの姿を伝えている印象を与えます。


参道にもいにしえの情緒があふれている

参道には京都の数ある門前名物でも横綱級の情緒を味わえるお店が二軒あります。串刺ししてきな粉をかけた餅を焼き白味噌のたれをかけて食べる「あぶり餅」の店です。

「一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)」は創業が平安時代の1000(長保2)年で、今宮神社が現在地に鎮座する頃と重なります。日本最古の飲食店と言われています。もう一軒の「かざりや」も江戸時代初期の創業です。二軒で微妙に味は違います。二軒ともYou must visitなお店です。


店頭で焼かれるあぶり餅の香ばしさはたまらない

「やすらい人形」という厄除けのお札も売られています。とてもかわいいです。とても中世的なデザインで、いかにも厄除けに効き目がありそうに見えます。お土産としてもおすすめです。


やすらい人形

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



京都の祭の理解は京都の歴史の理解に


今宮神社
http://www.imamiyajinja.org/
原則休館日:なし
※拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。

やすらい祭
開催日:毎年4月第2日曜日


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