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石清水八幡宮 ~京都でいつもと違う初詣

2017年12月31日 | 祭・行事・季節の花

参道は神々が住む地へ向かうことを感じさせる

 

 

石清水(いわしみず)八幡宮は、京都の南、淀川をはさんで天王山と向かい合う小高い男山(おとこやま)の山上にある。平安京の鬼門を北の比叡山・延暦寺とともに守り続けており、京都市中の神社とは異なる神秘的な雰囲気を感じることができる。社殿の朱色が緑に映える姿が美しい。境内からは、山の麓で合流して淀川になる三本の大河や、北に広がる京都盆地の雄大な眺めが楽しめる。初詣では、伏見稲荷や八坂神社のような混雑は避けられる。いつもと違う開運祈願におすすめしたい。

 

平安時代前期の860(貞観2)年に、大分県にある八幡宮の総本社・宇佐神宮から勧請(かんじょう、祭神を分けて祀ること)され、清和天皇によって創建された。以来、皇室や源氏を中心とする武家から厚い崇敬を受け続けており、宇佐神宮とともに三大八幡宮の一つと呼ばれる。鶴岡八幡宮など、石清水八幡宮から勧請されてできた八幡宮も数多い。遠方の宇佐神宮に比べて都に近い石清水八幡宮の方が便利であり、実質的な総本社のようにみられていたのかもしれない。

 

 

 

参道からは京都盆地や木津川・宇治川が美しい

 

 

参拝するには、京阪電車・八幡市駅から男山ケーブルで上るのが便利だ。ケーブルカーの山上駅からは徒歩5分ほどで上り坂はほとんどない。一方参道を徒歩で登っても20分ほどで、上り坂もさほどきつくない。わずか3分のケーブルカーと比べてじっくり雄大な景色が楽しめる。上り下りどちらかに歩くことをおすすめする。

 

 

 

国宝になって間もない「本殿・桜門」

 

この神社は、社殿の漆塗りの朱色が美しい。関西でも奈良の春日大社と双璧で、周囲の木々の緑に朱色がよく映える。賽銭箱が置かれている楼門から回廊で囲まれたエリアが本殿で、現在の社殿は1634(寛永11)年に徳川三代将軍・家光が修造したものだ。2016年には国宝指定されている。楼門の欄間の彫刻は、極彩色で龍と虎の表現が荘厳だ。江戸時代初期の徳川家による神社建築が京都に残る数少ない例であり、京都にいながら日光東照宮を見ているような錯覚を起こす。

 

山上には興味深いエピソードが残されている。アメリカの発明王エジソンは、土産にもらった扇子の竹製の骨を偶然、白熱電球の点灯部分であるフィラメントの素材として使ったところ、とても長持ちした。1880(明治13)年頃、世界中の竹の中から男山の竹が最も長持ちすることを突き止めて実用化し、以来十数年アメリカの街を照らし続けた、という話だ。山上には記念碑があり、毎年エジソンの命日には電気業界関係者が集まって慰霊祭を行っている。

 

【公式サイトの画像】 エジソン記念碑

 

 

 

徒歩で行く参道の途中には「松花堂(しょうかどう)」跡地がある。本阿弥光悦らとともに「寛永の三筆」に数えられる江戸時代初期の一流の文化人で、石清水八幡宮の神宮寺の僧侶だった松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)の庵の跡地である。昭乗が箱の中を十字に区切って煙草盆や絵具を入れて茶会を楽しんでいたことに因んで、昭和になって料亭「吉兆」が提供して評判になったのが「松花堂弁当」である。

 

 

 

今では八幡の方が有名になった「走井餅」

 

 

山の麓にある「頓宮」の門前には、「走井餅(はしりいもち)」がある。江戸時代半ばに大津で創業し、東海道五十三次にも描かれた名店だが、鉄道開通で東海道の通行者が減ったためか、1910(明治43)年に当地に移転してきた。京都らしい上品な甘みが、参道を歩いた体をとても元気づけてくれる。

 

 

【公式サイトの画像】 走井餅

 

 

 

神秘的な境内には、多くのエピソードが残されている。長い歴史とともに時代に応じた人々とのつながりを保ち続けているということだ。奥深い神社である。

 

 

 

こんなところがあったのか。

日本の世界の、唯一無二の「美」に会いに行こう。

 

 

町の発展と共に歩んできた京都の神社の祭礼を分析 

石清水八幡宮

http://www.iwashimizu.or.jp/

原則休館日:なし

 

 


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