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京都・壬生狂言 ~中世の雰囲気をコミカルに楽しめます

2018年04月26日 | 祭・行事・季節の花

京都のゴールデン・ウィークを代表する風物詩「壬生狂言(みぶきょうげん)」が間もなく始まります。

鎌倉時代に融通念仏の布教のために始められたパントマイム(無言劇)で、中世の芸能の面影を色濃く残しています。コミカルな演者の動きはわかりやすく、ストーリーも理解できます。能や狂言のように肩ひじ張らず、気軽に伝統芸能の美しさを楽しむことができます。


右側の観客席から左側の舞台を鑑賞

壬生は知らなければ絶対に発音できない京都の難読地名の代表例ですが、幕末に新選組が壬生寺近くの八木家と前川家の屋敷を本拠としたことから全国的に案外知られています。寺の境内には局長・近藤勇の銅像や芹沢鴨ら志士の墓があり、若い女性を中心に普段から訪れる人が少なくありません。

壬生寺は平安時代の創建ですが、鎌倉時代の後期に融通念仏の布教に成功した円覚上人(えんがくしょうにん)が中興の祖とされています。不況の成功のカギが現在まで700年間行われ続けている壬生狂言です。

円覚上人は人気を集め、とても大勢の人が境内に押し寄せます。そのため教えを説く声が全員に届かなくなり、動きを見るだけでわかるようパントマイムが考え出されたといわれています。

融通念仏の布教のために始まったことから「大念仏(だいねんぶつ)狂言」とも呼ばれます。円覚上人に起源がある大念仏狂言は京都の各地で現在も伝えられており、壬生寺の他に清凉寺・千本ゑんま堂・神泉苑のものがよく知られています。

大念仏狂言はプロが行う「狂言」とは性格が異なります。演者は地域の有志で作る保存会の人たちで、プロのような研ぎ澄まされた動きでないことが、かえって大衆芸能のとしての味を出しています。

また狂言とは異なり仮面をつけるため、仮面で登場人物の役割や感情を表すこともあります。リズミカルで聞いているだけで楽しくなるような鐘・太鼓・笛の囃子も「狂言」にはない魅力です。

元来は布教のための演目だけでしたが、徐々に娯楽性の強い演目が増えていきます。勧善懲悪など誰にでもわかりやすいストーリーが増え、それが長続きする要因になったのでしょう。


狂言舞台のある大念仏堂の入口

上演は期間中の毎日13時から行われ、現在伝わっている30演目が入れ替わり演じられます。ただし毎日初演の13時からの演目は、最も人気のある「炮烙割(ほうらくわり)」に固定されています。

節分に壬生寺で買い求めた炮烙という焼き物に家族の名前を書いて奉納し、壬生狂言の上演中に割ってもらうと厄除け開運になるとされています。奉納した人が多く訪れます。

「悪いことをしてはいけない」という因果応報がよくわかる名作です。炮烙割の瞬間はとても迫力があります。ただし30分以上前から並ばないと入れない可能性がありますのでお早めに。
すべて自由席です。1回の入場料金1,000円で、その日のすべての演目を鑑賞できます。定員400人の座席は2演目目まではかなり混雑しますが、以降は徐々にすき始めます。

【壬生寺公式Twitterのトップ画像】 炮烙割の瞬間



大衆向けの壬生狂言は、上流階級向けの狂言にはないリズム感とコミカルさが魅力です。能・狂言と比べると入場料金はかなり安いです。春の京都観光の話題作りにはもってこいの伝統芸能です。

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



全演目の登場人物やあらすじを解説する公式ガイド


壬生狂言について(壬生寺公式サイト)歴史と30演目の簡単な解説
http://www.mibudera.com/kyougen.htm
壬生狂言 春の公開(壬生寺公式サイト)詳しい上演案内
http://www.mibudera.com/k_annai.htm
会期:毎年 4月29日~5月5日(日付で固定)、
時間:毎日13:00~17:30の間に5演目上演、最終日5/5のみ18:00~22:00の間に6演目上演
期間中休演日:なし
※壬生狂言は節分の2日間と、10月の体育の日を含む三連休にも上演されます。


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