晴山雨読ときどき映画

“人生は森の中の一日”
山へ登ったり、本を読んだり映画を観るのは知らない世界を旅しているのと同じよ。
       

映画「幸福な食卓」をBS録画で観る

2008年10月09日 | 映画
瀬尾まい子は現役の中学校の先生をやりながら作家でもある。
「卵の緒」を読んで以来好きな作家になったのだが「幸福な食卓」はまだ読んでいない。
映画を観終えて是非原作を読もうと思わされた。





3年前、父が自殺未遂をしてから家族は変わった。夫の悩みに気づけなかった専業主婦の母は家を出て近所に住み、成績優秀だった兄は大学進学を止めて農業を目指す。父は仕事を辞めて再度大学受験して違うものを学びたいと告げた。
佐和子は転校生の大浦君と親しくなる。志望校を目指すために佐和子と友達になりたいと言う大浦は明るく男らしい。そんな大浦に影響を受け佐和子も予備校へ通い受験に望み同じ高校へ進学するが、生きることに真剣になり過ぎ自殺未遂を計った父親を見て、佐和子も兄同様いつか父親のようになるかもしれないと恐れる日もある。
人生をやり直そうとするサラリーマンの父、女性の自立を願う母、そんな両親の葛藤に影響を受ける子供ら、様々な問題を抱えた家庭生活(=食卓)を背景に、主人公・佐和子の心の成長を描きながら家族は再生していく。

大浦の人柄はポジティブで新鮮。真面目な佐和子が彼を好きになるのは必至に思えた。籤でクラス委員になりリーダーシップを上手く取れない佐和子に「真正面から物事に向かおうとするからいけないのだと」秘策を授けたり、孤独だと嘆く彼女に「君は気付かないところでも、守られているんだよ」とも頼もしく教えてくれるのだ。
大浦君とのラブ・ストーリーは爽やかで懐かしい青春映画を観ているようだった。

非情な出来事が佐和子を襲う。
生きるとは何て厳しく過酷なのだろう。



一見軽そうで風変わりなお兄ちゃんの恋人だったが、どん底の佐和子を心配して「家族は壊れようにもそうそう壊れないのだから、もっと甘えたらいい」と励ます。そんな不器用さが私はたまらなく好き・・・。

家族以外の異なる風が吹き込まれることで見直され息を吹き返した家族の絆だった。

ラスト、突然大好きなミスチルの歌が流れて来る。
佐和子は前を向き微笑みながらしっかりとした足取りで川縁を歩いて行く。

♪ くるみ/Mr.Children
作詞:桜井和寿  作曲:桜井和寿  編曲:小林武史&Mr.Children

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ねぇ くるみ
この街の景色は君の目にどう映るの?
今の僕はどう見えるの?

ねぇ くるみ
誰かの優しさも皮肉に聞こえてしまうんだ
そんなときはどうしたらいい?

良かった事だけ思い出して
やけに年老いた気持ちになる
とはいえ暮らしの中で
今 動き出そうとしている
歯車のひとつにならなくてはなぁ
希望の数だけ失望は増える
それでも明日に胸は震える
「どんな事が起こるんだろう?」
想像してみるんだよ

ねぇ くるみ
時間が何もかも洗い連れ去ってくれれば
生きる事は実に容易い

ねぇ くるみ
あれからは一度も涙は流してないよ
でも 本気で笑う事も少ない

どこかで掛け違えてきて
気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに
出会う事で意味が出来たならいい
出会いの数だけ別れは増える
それでも希望に胸は震える
十字路に出くわすたび
迷いもするだろうけど

今以上をいつも欲しがるくせに
変わらない愛を求め歌う
そうして歯車は回る
この必要以上の負担に
ギシギシ鈍い音をたてながら
希望の数だけ失望は増える
それでも明日に胸は震える
「どんな事が起こるんだろう?」
想像してみよう
出会いの数だけ別れは増える
それでも希望に胸は震える
引き返しちゃいけないよね
進もう 君のいない道の上へ

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5 コメント

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Unknown (ミラ)
2008-10-10 20:44:32
瀬尾まいこさん、これ私も読みました!
「優しい音楽」と「天国はまだ遠く」も。

映像になるとこんな感じになるんですね~(*^^*)
「天国はまだ遠く」思いがけず草花が出てきて「ホッ」としたりして~

雨の日には読もうと数冊まだまだ積んでいますが、どれも中途半端です~--;;


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こんばんは(*^_^*) (ばんぶー)
2008-10-10 22:24:16
ミラさんも瀬尾まいこが好きだったのね。pandaさんもこの本を挙げてらっしゃいましたが、女性にはなかなか人気があります。

>「天国はまだ遠く」思いがけず草花が出てきて「ホッ」としたりして

面白そう

明日、また船でそちらを渡りますので許可書を下さいませ山が遠くなっています
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ミラさんへ再度 (ばんぶー)
2008-10-10 22:35:39
でも大浦君を消しちゃうなんて・・あんまりじゃない。瀬尾さんをちょっぴり恨みたくなった私ー、昨晩は眠れませんでしたよ。

「チッチとサリー」は私もとても好きでした。詩画集の”あじさいの花影で泣いたの”というのがお気に入りでした
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お義父様の様子 (ミラ)
2008-10-11 05:36:37
気になりますね~--;;
もうお出かけかしら・・・・・道中気をつけて!!

>大浦君を消しちゃうなんて・・あんなりじゃない
何だかあっけない結末だったような感じでした~
今日は雨みたいDVD「陰日向に咲く」を見ます
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地方都市 (タク)
2008-10-15 05:35:55
この映画は、昨年の2月に映画館で見ました。
地方都市の甲府を中心に撮影されたこと、石田ゆり子が出ていること……を理由に見に行ったと思います。
地方都市でロケされた映画は、映画を見ている間、その町の住人になったようになれるので、好んで見ています。
瀬尾まいこの小説は、『優しい音楽』他、数編しか読んでませんが、なかなかイイ作家ですね。
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