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ソシュールの「シニフィエとシニフィアン」

2023-09-17 19:38:00 | 中国哲学

【シニフィエとシニフィアン】

 ソシュールは、言語をシーニュ「記号」と名付けました。シーニュは「シニフィエ」と「シニフィアン」が結合したものです。シニフィエは「所記」、シニフィアンは「能記」とも言います。シニフィエとは、心の中にある「意味内容」のことです。人間は、その意味内容を伝えようとします。その時、実際に使われるのが「文字」や「音声」です。それらの表現方法は、シニフィアンと呼ばれています。シニフィアンは、それ自体では、意味を持ちません。シニフィエと結合することによって、はじめて意味を持ちます。シニフィアンとは、何かと何かを区別する「差異化」の働きです。その差異化よって、シニフィエは区別されます。 

 【ラングとの関係】 

 シニフィエとシニフィアンの結び付きは「ラング」によって決められています。ラングとは、言語体系の規則の総体のことです。言語は、ラングの規則によって、制約されています。そのため、言語は、完全に自由ではありません。ラングは、シニフィエとシニフィアンを結びつけ、言語を「有意味化」するものです。シニフィエとシニフィアンの結びつきには、絶対にそうしなければならないわけではありません。例えば、日本人は、動物の犬を「犬」と呼んでいます。それは、ラングに従って「犬」と呼んでいるからです。 

 【パロールとの関係】

 言語も一つの出来事であり、まったく同じことは起こりません。しかし、それは「同一性」を主張します。例えば「夕ご飯を食べた」と言った場合、それは昨日と今日とでは違う出来事です。それにも関わらず、言葉としては同じに表現されます。そもそも、現実世界には、まったく同じ出来事は起こりません。それを同じように表現していることを同一性を主張してると言います。個々の具体的な会話も、一回限りの言語活動です。それを「パロール」と言います。パロールは、ラングの「具体化」であり、個人的な実践です。それは、特定の「時」と「場所」で起こります。 

 【言語の一般的特徴】 

 言語とは、差異の体系です。それぞれの言葉は、相互依存関係にあります。言語には、それ固有の絶対的な意味は存在しません。分節化されて、はじめて意味を持ちます。また、言葉が意味を持つためには、時間上に線状に配列されなくてはいけません。バラバラに配列されていたら意味を持たないからです。言語は、シニフィエとシニフィアンが「恣意的」に結合されています。恣意的とは、そうしなければないない必然性がないという意味です。

 人間は、一つのものの見方に固定化しなければ、物事を認識することが出来きません。そのため、言葉によって制約しています。また、言葉が意味を持つためには、それ以外の言葉が存在していなければなりません。例えば「犬」と表現した場合、それ以外の選択肢が消され、動物の犬が頭の中に浮かびます。   

 【ラングと共同体】 

 ラングは、一つの言語共同体が共通に持つものです。それは、言語共同体に属していないと展開されません。ラングは、言語習慣として社会に内在するものです。例えば、日本に住む日本人は、日本語を話しています。それは、日本語という言語体系の総体が存在しているからです。ラングという存在が、話すことを可能にしています。それは、外的実在ではありません。精神的なものとして、心の中にあります。




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