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ソシュールの「ラングとパロール」

2023-09-18 12:42:00 | 西洋哲学

【ラング】 

 ソシュールは、文化に内在する「言語習慣の体系」を「ラング」と呼びました。ラングは、各要素間の「差異関係」によって成り立っています。それは、我々と世界を媒介する関係の網の目です。我々が見ている世界は、ラングによって「分節化」されています。もし、文節化されていなければ、世界は意味を持ちません。人々は、これまでラングに基づいて世界を解釈してきました。ラングは、文化現象の基本原理として働いています。

 【社会的存在】

 人間だからと言って、もともと、会話が出来るわけではありません。会話をすることが出来るのは、ラングが存在しているからです。ラングは、社会に内在し、人々の頭の中にあります。それは、一つの言語共同体のメンバーが、共通に持っているものです。例えば、日本人は、日本語を共有しています。日本人同士、お互いに話が通じるのは、それを共有してるからです。ラングは、人々が日常的に行う言語活動の基本的な条件になっています。それは、言語行為に先立って、潜在的に存在する社会的な事実です。 

 【制度】 

 ラングとは、言語のルールです。それが、言語活動の規範になっています。ラングとは、個人の外側にある社会的な制度です。それは、自己完結的で、それ自体で存在しています。ラングとは、言葉の項目を組織的にまとめた「一覧表」や「倉庫」ようなものです。会話をする時は、この一覧表から選択しており、言葉というものは、完全に自由なわけではありません。ラングとは、複数の言葉を結びつけて、意味を持たせるシステムです。人々は、ラングを使って会話をしています。

 【パロール】 

 ラングは、「パロール」の実践によって具体化します。パロールとは、個々の具体的な会話のことです。ラングだけがあっても、実際に会話が行わなければ、それは具体化しません。パロールとは、特定の場面で行う「発話行為」です。その発話行為は、特定の話者によって行われます。その一回限りの出来事がパロールです。パロールと言う概念は、会話を行為としてとらえています。例えば、ある日本人が、日本で具体的に何か日本語を発することです。 

 【制約】 

 言語活動とは、ラングとパロールを含む概念です。ソシュールは、ラングとパロールは区別しました。しかし、それらは、相互に依存し合う関係です。ラングは、パロールに先立って存在し、その条件となっています。そのため、パロールは、ラングのないところでは機能しません。パロールを可能にしているのが、ラングだからです。仮に、ラングを無視して会話した場合、言葉の意味が通じなくなります。 

 【時間】 

 ラングは、各自のパロールの実践を通して構成され、変更されてきました。パロールには、ラングの構造を変化させる力があります。ラングとは、時間の流れをある一点で区切って、固定化した概念です。時間の流れを無視することを共時的と言います。ラングは、時代とともに変化してきました。そのため、ラングが変化した場合、パロールも変化します。例えば、日本語も歴史とともに変化してきました。その時代ごとに話し方が違うのは、そのためです。話し方は、話していくうちに、変化していきました。




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