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ムンクと作品

2024-05-11 21:33:00 | 世界史

【エドヴァルドムンク】 

 ムンクの家系は、学者を多く輩出した名家です。父親も医者で、ムンクは、その長男として生まれました。ムンクは、統合失調症だったとされています。そのため、妄想や幻聴に悩まされていました。その妄想や幻想が彼の作品になったとされています。統合失調症以外にも「強迫神経症」や「アルコール依存症」でもありました。ムンクの母と姉のソフィーは、結核でなくなっています。作品「病める子」の少女は、その姉がモデルです。姉は、15歳の時に亡くなりました。病める子は、死にたいする不安の表現だとされています。この作品は、写実主義から表現主義への転換期のものです。ムンクは、生涯死の影に怯えていましたが、80歳と意外と長寿で亡くなっています。

 【作風】 

 ムンクの作風は「表現主義的」です。その独創的な作風は、ポスト印象主義と表現主義の間を結んだとされます。ただし、技術的には下手でした。ムンクは、パリの短期留学で、印象主義やポスト印象主義の影響を受けたとされています。渦巻くようなタッチ、歪んだフォルム、激しい色彩などは、ゴッホの影響です。ムンクは、自分の作品を「子供たち」と呼んで愛しました。

 ムンクは、風景ではなく、自分の魂の情景を描く画家だとされています。そのため、自らの内面を深く探求しました。絵は、自らの苦悩を語る自伝的なものだったとされています。ムンクは、10代の頃から、自画像を描いていました。子供の頃から、孤独で、情緒が不安定だったとされています。ムンクの絵は、その内面的な葛藤を可視化したものです。 

 【生命のフリーズ】

 ムンクは「生命のフリーズ」という連作を描きました。フリーズとは、連続した壁面絵画のことです。生命のフリーズは「愛」「死」「不安」がテーマだとされています。その中で、愛をテーマにしたのが「声」という作品です。「声」の女性は、ムンクを誘惑した愛人だとされています。しかし、その女性には、愛人が何人もいたので、ムンクは、その一人にすぎませんでした。ムンクは、その女性に翻弄されて、苦しんだとされています。

  「生」と「性」をテーマにしたのが「マドンナ」という作品です。「マドンナ」には、死と新しい生命の兆が描かれています。絵の女性は、男性を誘惑して、破滅に導く魔性の女で、その表情は死をイメージしていました。画面の周りに動いているものは精子で、左手下には、胎児が描かれています。

  「時計とベッドの間の自画像」は、死をテーマにした作品です。ベッドは「死」を、時計は「残り少ない人生」を表しています。 

 【叫び】 

 生命のフリーズの中で、最も有名な作品と言えば「叫び」です。叫びは、油彩やパステルなどで、5枚以上描かれています。絵の中で叫んでいるのは、人間ではなく自然です。ムンクは、日頃から、幻聴や幻覚に悩まされていました。「叫び」の中で、耳を塞いでいる人物は、ムンク自身です。ある時、ムンクは、自然の全てが金切り声を上げるのを聞きました。その時の恐怖を描いたのが、この作品です。 絵のフォルムは、極度にデフォルメされ、遠近法が強調されています。背景に描かれているのが、雲が血のように赤く染まった夕焼けのフィヨルドです。日没というものは「死」「不安」「絶望」の象徴だとされています。



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