誘惑の多い横浜の繁華街にある予備校であったが、
脇目も振らず、目指すは予備校、目指すは自宅の毎日を送っていた恵之助。
息抜きは、勉強の合間の「腕立て」「腹筋」時々、「散歩」
週末夜の「めちゃイケ!」が唯一の娯楽だった。
そんなストイックな日常を送れていたのも、
恵之助の母が、朝夕決まった時間に食事を用意してくれて、
お昼はお弁当を持たせてくれたから。
そんなことには気づきもせず、
自分のペースを乱すものは
許さん!
とばかり、
受験生なのだから、
勉強できる環境を家族は配慮して当然、
とばかり、
恵之助は、
穴があったら入りたい。。。
とても恥ずかしいことしてしまうのでした。
恵之助には2つ下の妹がおりました。
いつものように、カリカリカリカリ勉強に励み、
恵之助、唯一の娯楽の楽しみである
「めちゃイケ!」を見るために、リビングへ降りていくと
妹がゲラゲラと、「めちゃイケ!」の裏番組を見ていた。。。。
「どいて」
と、ボサボサのクルクル天然パーマの恵之助は、
ぶっきら棒に言った。
妹はムッとしたのだろう。
「嫌だ」
という。
「どいてよ。『めちゃイケ!』見るんだから!」
とキレる恵之助。
ボサボサ頭、暗〜い、ニコリともしない表情で
「『めちゃイケ!』見るんだから!」
という兄。
憐れ、憐れだ。。。
憐れんで、妹は退いてくれた。
この日の『めちゃイケ!』は面白くなかった。。。。。
恵之助は
反省する間も無く、また、
機械のように
「一浪しても恥ずかしくない大学へ合格する」
という目標達成のため、
タイムテーブル通りに勉強するという目先の目標を
淡々とこなすための生活に戻っていった。
つづく。