先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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寺田紡績500名など女性だけの争議 1924年の女性労働者の闘い② (読書メモ)

2022年05月26日 07時35分15秒 | 1924年の労働運動

 寺田紡績500名など女性だけの争議  1924年の女性労働者の闘い② (読書メモ)
参照 
「協調会」史料(寺田紡績争議)
「日本労働年鑑」第6集/1925年版 大原社研編 

1、女性労働者だけの争議・ストライキ
 「日本労働年鑑」第6集があげている1924年中に女性労働者だけで闘った主な争議の一覧です。その中の一つ寺田紡績を「協調会」史料から紹介します。
 三浦メリヤス(20名) 名古屋
 堺織機株式会社(40名)大阪
 富山県織物模範工場(200名)富山
 妻木村製陶工場(女工)岐阜
 積志村玉田機業工場(18名)静岡
 野田醤油会社袋縫女工(200名)千葉
 堀米製糸場(60名)群馬
 大和合同紡績今宮支部(女工)大阪
 岸和田紡績会社(130名)大阪
 日本燐寸会社(200名)兵庫
 寺田紡績工場(440名)大阪
 広島保温器製造会社(40名)広島
 共済会長浦分院看護師(17名)神奈川
 宮城県立病院看護婦見習い(32名)宮城
 尾道遊廓沖店(120名)広島
 門司馬場遊廓(6名)福岡
 中村遊廓(8名)愛知
 松阪遊廓(5名)三重
 宇和島市芸妓(25名)愛媛
 横須賀遊廓(10名)神奈川
 福井栄廓(7名)福井
 福原遊廓(240名)兵庫 

寺田紡績争議、女性だけ500名のストライキ!
 1924年(大正13年)10月末日、大阪府泉南郡株式会社寺田紡績工廠の上田新任工場長は、「2割の勤務手当中1割を本給に繰り入れ、残りの1割は賞与として6ヶ月毎に支給する」と発表し、また11末には60名の人員削減を行いました。怒った女性労働者560名は、秘密に話し合いを行い、前年1923年(大正12年)11月のストライキでは、労働者代表となった仲間たちが全員クビにされたので、今回は労働者全員の意志を示すために、交渉より先にみんなで一斉にストライキに入ろうと決めます。12月4日、朝番出勤予定の249名の女性たちは朝6時の就業を拒否して全員でストライキを敢行し、夕方6時からの晩方の285名も就業を拒否して、先のストライキの仲間たちに合流しました。昨年の争議でクビにさせられた失業中の元岸和田労働組合南支部長福田久之助と泉州聯合会と大阪聯合会は、この闘いを応援する姿勢を見せますが、職場の男工170名は、卑怯にも、なさけないスト破りをし、平常通り就業についたのです。この裏切者!、スト破りの男どもは、500名ストの女性たちからはさぞ軽蔑され、陰口をたたかれ、罵倒されたのではないでしょうか。

 狼狽した会社は、ストライキをやめて仕事に就くように女性労働者を必死に説得し、その結果5日の午前6時には285名中71名がストをやめて就業します。最も頑強な30名を除く他の女性労働者も午後2時半からは仕事につきます。しかし、午後6時からの285名は固く結束し、あくまでストライキを続け闘う意志を示しました。会社は仕方なく、午後4時にスト参加者一同を娯楽室に集め、社長より「今後、皆さんの待遇を他社に劣らないように改善をすると約束するので、なんとか午後6時から就業してくれ」と説得すると共に、中心的リーダーと見た6名の女性を会社事務所に呼び、社長と重役から「今後は多くの職工手当を増額したい」と言い、ストをやめて仕事についてくれと懇願しました。女性たちは全員で協議して、会社の提案を受け入れ、5日午後6時と6日午前6時から全員が就業しました。 
 
2、男性と共に連帯して女性労働者が多数で闘った争議・ストライキ
  明治紡績株式会社(200名中半数が女性)福岡の紡績争議では労働者代表を男女半々(女性3名と男性3名)とするなど、多数の女性も男性と共に果敢に闘った争議・ストライキもたくさんあります。主な一覧です。
    西松メリヤス株式会社(120名)大阪
 小泉製麻株式会社(90名)兵庫
 和歌山紡績紀ノ川工場(800名)和歌山
 森永製菓第四工場 兵庫
 和歌山毛織株式会社(40名)和歌山
 日本電気株式会社(250名)東京
 山三製糸場 長野
 日本カタン糸株式会社(300名)滋賀
 入ト製糸工場(270名)茨木
 飯島生糸工場 長野

3、女性教員の運動、「全国小学校聯合女教員会」創立
 1924年、全国で「女教員会」がぞくぞくと結成されます。
福岡県添上郡女教員会(1月13日)
群馬県山田女教員会(1月27日)
高知県長岡郡女教員会(2月15日)
甲府市女教員会(3月11日)
長野女教員会(4月26日)
広島県賀茂川女教員会(6月7日)
香川県女教員会(9月20日)
岐阜県女教員会(11月8日)

ほかに熊本県、岡山県、千葉県など各地で「女教員会」が結成されます。5月30日には東京で第四回全国女教員大会が開催され、女性教員の地位向上を目的とする全国的な女性教員の組織「全国小学校聯合女教員会」創立を決議します。6月の千葉県実業補習校専任女教員大会では、女性教員の待遇改善の要求が当局に提出されました。

 11月8日「第七回大阪府下女教員大会」が開催され、以下の宣言を発して女性差別への怒りを満天下に示します。
『 宣言
 抑々男女教員の待遇に関しては何等差別的法令の存するなし、然るに事實は之に反し如何に優秀なる女教員ありとも単に女子なるの故をもって待遇を制限せられ進展を抑止せらるるの現状なり、(中略) 我等はあくまで公正なる世論に訴え不合理なる性的差別待遇改善の機運を促進し女教員のため向上発展の進路を開拓せんことを期す。』



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