信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

八ヶ岳薪能

2010年08月03日 22時42分56秒 | Weblog
  



今日は午後から休暇を取って、小淵沢の身曾岐神社へ薪能を観に行った。
昨日から長野県は気象不安定で、雷と共に豪雨になる。
今晩は大丈夫かな?と心配しながら出かける。

深い森の中にある神社の能舞台は日本一の規模である。
蝉時雨の中夕暮れとなり宮司により舞台のお清めをして奉納をつげ能が始まった。

1,000人以上の観客が全国から集まっているが年々客は増え続け、
特に中高年の女性が大多数を占めている。
自分も中高年である。
小市民だから直ぐに計算をするが1人1万円のチケットだから1,000万以上の舞台だ。
能の出し物は
金春流の翁、狂言福の神、半能石橋といった通常見る機会がない贅沢な演能である。
通常味わえない空気の中で、実に心に染み入る幽玄な世界に浸った。

3時間の時間はため息と共に終わった。
周囲の人々は、良くわからなかったけれど空気だけはすごいと言いながらがやがやと散っていく。

相変らず終了後の車の渋滞は続くが、長野ナンバーがあまり見当たらない。
岐阜、名古屋、千葉、埼玉、いったいどこから集まって来たの?と見渡してしまうほどの
他県ナンバーが続く。
それも姿を消して、真っ暗な道を原村に向かって帰るのだが前も後ろも車の姿はなく
自分の車のライトだけであの1000人以上の人たちはどこへ行ってしまったのだろう
と毎年思うことである。

古典芸能に触れるのはたった一日であるが、金春流は80世宗家を継ぎ、聖徳太子に仕えた
帰化人を遠祖としているという由緒深い流派で誠に恐れ入る。

今回若い跡継ぎが初舞台を踏んだが、跡継ぎたるは運命の家に生まれてから
ずっと並大抵ではない鍛え方を強いられて育って来たに違いないと思われ、古典芸能の世界は小市民には推測困難である。
しんとした気持ちにさせられ帰っていくという毎年の行事であるが、今年も心を洗われて
ああこの土地に引越して来て良かったと思う日を過ごしたのである。