サンチョパンサの憂鬱

夕刻のサンチョパンサ……正義の人ばかりあふれてる

正しいだけの……人も話も詰まらない。

日常の街もテレビもこの国の津々浦々の組織も練り込まれていない薄っぺらな道德や安直・短絡安普請の正義だけで成り立っている。
この国の風景は単に詰まらないだけじゃなく人を哀しく虚しくさせる?

狭小で偏狭なホリエモンの正義?によって尾道のギョーザ屋さんは先月遂に廃業に追い込まれた。
夫婦が協力しながらやっとの思いで繁盛さたギョーザ屋が……何故?そんなことで?廃業に?
奥さんは未だに対人恐怖に怯え人前には立てないという。

どうしてあそこまで?ホリエモンは自分の正義に固執したんだろう?
日頃のカネ持ってんどぉー自慢の大物?ホリエモンが小市民のギョーザ屋の亭主の一言『マスクして』に激怒したのだろう?

尚且つ年という時間を遥かに超えて折に触れてホリエモンは自分の正義を取り憑かれた様に語り続けた不思議である。

恐らく『お前ごときギョーザ屋が?』俺に盾突き注意するとは何事だ!ってな烈火の怒りだった?そんな薄っぺらでありながら執拗な正義の主張だったと察しはつくけれど……。

彼は様々の理由を後付けして自分の正義の城を必死で強化し続けた。
何故なんだろう?殆ど執念?と言ってよい切迫感があった。
イッパシの大人なら誰でも分かっていると思う。

彼は単に『後ろめたかった』のである。

我は我々は絶えず立派で正義である!……そんな稚拙なモデルに捕われた人、組織は自らの意志を以て自分の誤謬や過ちを受け入れる力がない。

自らの行動原理じゃなく、世間の風向きに圧力を感じた時、型式のみので『謝罪の儀式』に逃げるだけである。詰まり心はない。それは自分にも相手にも何の意味ももたらさない稚拙な演劇に終始する。

先日書いたけど……NHKはジャーニー喜多川の犯罪を知りつつ自分の利得の為に傍観者に徹した。世間に批判してよし!のコンセンサスが醸成されたとなると白々しく『検証』と称して新たな正義のアリバイを作るのである。

だからこそ凝りもせず?新たに正義の組織を気取る為に、ジャニーズ関係者は紅白に出演させないと『新たな犠牲者』を作り、偽善の道を走り続けるのてある。

その正義は薄っぺらな『自分の優位性をベース』にして演るから『新たに罪を再犯してること』には一切の頓着を見せない。

ここにもホリエモンとギョーザ屋さんとの関係と同じ『後ろめたさ』がそっくりそのまんまシンクロするのである。

ヒトカドの大人は『自らの悪徳をハッキリ認識している』ものである。そうじゃなきゃ?ホントの大人なんて演れる筈がない。

自らが自らの『無知の知』、『無恥の知』、『悪徳の知』を得て初めて大人は始まるのである。

それは『大人の心の完成度』として最低限必要な要件。しかしこの心の習熟度って容易には得られない。

悪徳を知る正義は自分を許し、他者を許す力がある。ま、司法で言うところの『情状酌量』を以てして自分とまた他人と対することが出来る。

ホリエモンもNHKも『自分は間違う筈がない』と信じて疑わないのである。
こういう人も組織も非常に怖いものがある。
事実、ギョーザ屋さんは廃業に追い込まれ、ジャニーズのタレント達は故無き選別の差別によって表現の場を奪われてしまった……。

エッ?そんな理由で?そんなことしちゃうの?
と驚く事件の主はそんな感覚の延長線上にて起こしている……。
いわゆる『盗人にも三分の理』だけが溢れかえってる国、ニッポン。
97%の悪徳は手付かずで垂れ流しで放置となる。

楽して効率よく大人を気取りカッコ付ける為に『何か?それらしい代用品』として君臨しだした価値……ソレがカネとか権威とか知名度なんてのを有難がる様になったのである。 
『素晴らしいのインスタント化』だと思う。

余りにも凡庸で狭小、狭量、安易にして稚拙、幼稚な価値観・判断なのだが?……。
しかしそれも、形而上の完成度にはキリがないから人間の促成栽培も無理はないとする声が聞こえ来る。

最低限の大人として、自分の無知、悪徳を知ったならば?……『何か?それらしい代用品(カネ、権威、知名度などなど……)』を世間に持出したら一番『最悪の恥晒し』だと分かる筈……。

とすると?いまのこの国では『いい歳した大人のアマチュア』ばかりが大きな声で大手をふって闊歩しているというとこなんだろう?

ミスター円の榊原英資さんが二十数年も前に発表した書『幼児化する日本』は今考えれば凄く秀逸な予言書だったのだと思う……。
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