azusa flutter

ayami yasuyhoのダンサー・栃本あずさが時々思ったオモイ。

西川千麗先生

2014-12-09 | 思うこと
12月6日(土)から13日(土)まで、京都・烏丸にあります、京都芸術センターにて、

日本舞踊家、西川千麗先生が30年にわたりつくりだした舞台衣装、舞扇、かつらを展覧しております、

「千麗舞台美術展 -舞の靈性ー」

が、開催されております。

千麗先生が舞われた衣装は1つ1つ強い想いが込められており、舞扇も1つ1つ心が強く現れ、

先生の強さ、心、生きる力、舞うということの美しさ、強さを身近に感じることのできる展示でした。



私は11年程前に先生と出会いました。

当時はクラシックバレエを生活にしていたのですが、ちょうどとても大きな舞台に出演した後で、

自分のバレエに対して自信を無くし、先の見えない大きな渦の中でもがいていた時でした。

ちょうどそんな時期に、先生がバレエのダンサーとの共演で作品を作りたいということで、

先生の作品に出させていただきました。

その当時、先生がどんな方で、どんな踊りをされるか知りませんでした。


先生の作品の稽古は、動きが少なく、ただ立ってるだけであったり、歩くだけであったりと、

辛い稽古が続きました。

その稽古の時間の間に、時々先生はお話をしてくれました。

先生のお話を聞くと、何か、何処か、私は自分の心の奥が少し痛くなることを経験しました。

時々、知らない間にぽろっと涙を流している時もありました。


先生との稽古を通して、何かはっきりとは分からない「モノ」が私の身体の中で大きく大きく、

ゆっくりと揺れ動いていくのを感じました。


先生の出会いから2年後、私はクラシックバレエを辞め、今のダンスの道を歩き始めました。

先生の出会いは私にとって大きく踊りの人生が変わったきっかけになりました。



先生はバレエを辞める時にもいろんなお話をしてくれました。


あらためてこの展示会に行き、先生の息が聞こえそうな衣装や舞扇を見させていただいたとき、

私はバレエを辞め、ダンスを始めたころの情熱を思い出しました。

先生はあの時「生きていることすべてが踊りになります。」「踊りは甘ちょろいモノではまりません」

など、おっしゃいました。

今は生活をするために必要な仕事におわれ、あのころの情熱が小さくなってることを気づかされました。

「踊りたい」

どうしても踊りたいとバレエの世界を飛び出したあのころの情熱。

その情熱を忘れず、もっと大事にしていかなければならない。と思いました。

そして、もっともっと今の時間を大切にしなければいけないことに気づかされました。


踊りは甘ちょろいモノではないのです。


自分の呼吸をもっともっと大切にしていかなければいけない。

そこからしか踊りは生まれない。踊れない。



展示品はとても素晴らしく、とても力強く、先生の魂、苦悩や美しさが宿った重圧感のある作品でした。


「踊る」ということの難しさ、重圧さ、苦しみ。

その中から生まれる美しさ。

もっともっと頑張りたい。頑張らなければいけない。

そんなことを思いました。






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