春雨じゃ

短歌を少しだけ。

驟雨のやうに突然詠んだり。

集中豪雨のやうにまとめて詠んだり。

印象批評 0028:おたく

2006-03-19 | Weblog
昼のあいだ星座おたくの少年は動物園で息をしていた・・aruka

(息抜きをしていたのだ)

なにごとも精通しえぬ虚しさに<おたく>未満を引き籠もるわれ・・ほにゃらか

(あの熱意は尋常ではない)

おたくにはきっとなれない突き詰めることが何より苦手なわたし・・暮夜 宴

(探求心は猜疑心と同棲している追い込むべからず)

印象批評 025:とんぼ

2006-03-19 | Weblog
夕暮れに ナイフ片手に 竹削り 子等に与うる 竹とんぼかな・・美山小助

(受け継いで欲しい和の玩具である)


遊び女にあらぬをとんぼ縛られて雄をいざなふ 逃げられぬまま・・ほにゃらか

(どの世界のオスも確実にひっかかるのはメスと相場が決まっているようだ)


印象批評 024:牛乳

2006-03-19 | Weblog
風呂上り腰に手を当て牛乳を喉に流すと気合も入る・・風流三昧

(親父は風呂上りに気合を入れてなにをするのだろう)

給食で出た牛乳は瓶でなくパックの時代しかも三角・・かのこ

(吾の時代はアルミ容器で脱脂粉乳だった)

きみはいう「力まかせに生きてきた」力まかせに牛乳を飲め・・aruka

(牛乳を飲めば力が出ると教えられたきみのように生きられぬ今)

牛乳を飲んで育った恩がある 兄弟たちの肉は食べない ・・ふしょー

(狂牛病にならず牛より長生きするのが親孝行だ)




印象批評 023:結

2006-03-19 | Weblog
九州で塹壕掘りをせしといふ父帰り来ぬ結核みやげに・・髭彦

(要らぬ土産ばかり持たせたがる)

逃げました 結婚式の直前に 新郎のママ怖すぎたので・・草野つゆ

(なぜかサッチーという名の姑顔が浮かんだ)

結び目がほどけなくなりこれ以上一緒はいやと切ってしまった・・新井蜜

(切れたのではなく切ったのである)

印象批評 021:美

2006-03-19 | Weblog
美しき日日も翳みて八十路なる母は狂女のうすき眉ひく・・ みずき

(恍惚の日増しに若返るこの刹那)

美意識の欠片も持たぬ君になど言われたくないブスって言葉・・暮夜 宴

(ほんま、アンタにだけは言われたくないのじゃ)

印象批評 017:医

2006-03-18 | Weblog
こころ病む患者(ひと)看る医師の時として自ら病むごと見ゆることあり・・髭彦

(伝染するのか伝染させているのかわからないが)

主治医には内緒にしてる本当はお酒で薬を飲んでいます・・草野つゆ

(いいんですよ、治らなくても、好きな酒を飲んで死ぬなら)

顔のない医者に寿命を決められてその通り死ぬための薬だ・・きゅーりをこのむ

(そうだ、顔のない医者の寿命計画に乗せられてイルノダ)

海亀も更年期にはのぼせると医学辞典に載ってるらしい・・新井蜜

(やはり、そうであったか)

歯を削る 不快な音に 耐えかねて 思わず医者の 指かみしめた ・・改行やたら好きな人

(指は削れたか?)

血圧には薬より散歩と言いくれし老医師逝きて廃院となる ・・原田町

(一代限定と決めれば無欲で潔い人生になる)





印象批評 0014:刻

2006-03-18 | Weblog
春風のやや温(ぬる)くして夜は沈む逢魔が刻はまさにこのとき・・船坂圭之介

(黄昏は逢魔が刻、こちらよりあちらで待つ人が多くなり時空の狭間で迷わぬよう)

刻々と現在(いま)から過去となり行ける未来も尽きて土に帰る日・・髭彦

(非情にも世代は交代して逝く)

君が乗る時間帯にもマーカーで印を入れたバス時刻表 ・・天野寧

(粋を解さぬ浮世であるゆえくれぐれもストーカーと誤解されぬ温度で君を)

我捨てし母への恨み刻印のごと四季のはざまに浮かびて消える・・翔子

(何年生きれば母を許せるのか自己との闘いである)