春雨じゃ

短歌を少しだけ。

驟雨のやうに突然詠んだり。

集中豪雨のやうにまとめて詠んだり。

印象批評 012:噛

2006-03-17 | Weblog
噛み終えたガムがあなたの靴底で歩みを鈍らすこともあるはず・・五十嵐きよみ

( なにやら情念のような気配)

噛み砕き貪り喰えば恋だって痩せてしまうぜ 落ち着こう 俺 ・・DEATH IS A LONELY BUSINESS

(がつがつするなよ)

印象批評 010:桜

2006-03-17 | Weblog
桜咲く季節(とき)来りせば動き得ぬ脚をさすりてわが嘆き居り ・・船坂圭之助

(咲いたとて見にさえ行けない不自由や)

桜など関係なくて薬局でバンドエイドを20枚買う・・ハナ

(この時期がイチバン多忙なのよ、何枚あっても足りないほどに)


桜咲く隣家の下駄が飛んできて晴れだと子どもが前歯見せをり ・・紫女

(下駄を飛ばして天気占い、勢い余って私の庭まで。元気な子供の声、下駄が当たって桜が散るかも)


印象批評 009:椅子

2006-03-17 | Weblog
人生の椅子取りゲームに勝ってきた彼は老後もすわりつづける ・・aruka

(譲る、育てるを知らぬ傲慢は多い)

髪の毛を引きちぎっては泣く婆が椅子から落ちて月夜が途切れる ・・紫女

(婆よ、月夜を返せ)

放課後にお前の椅子を蹴り倒す鉄の匂いに沈む復讐・・ぱぴこ

(復讐心は蹴りで納まったようだ)

印象批評 008:親

2006-03-17 | Weblog
父親になんてなりたくなかったと思ってる春 雲が流れる・・新井蜜

(はてさてなんのせいやら親となり)

「親日」をふた言目にはひけらかす医者の後妻が切りわける菓子・・謎彦

(後妻の厚かましさであろうか)

親子丼のグリンピースの青き実の「みなと食堂」廃業となる ・・みの虫

(良心的な店から潰れるという経済政策は、なんとかならないものだろうか)