はい、ここ最近の思い出でブログに書いてなかったことをどんどん書いていこうシリーズ!
続きまして、Accendere(アッチェンデレ)の『半神』を観劇した思い出を書いていこうと思います!
Accendere『半神』は、9/19~25にえんとつシアターで行われた公演です。
僕は、9/21(水)に観劇してきました。
と言う訳で、早速感想を…といきたいところですが、その前にどうしてもこれだけは言われてくれ!ってことがあるので、書いていきます!
何かと言うと、俺がこのAccendere『半神』の観劇前にどういう気持ちだったのか、そして、どういう気持ちでこのAccendere『半神』という演劇を観に行ったのか、ということです!
いや、こういうことは、先ほどのハンニャーズ『モノキリガタリ』の時も書いたんですが、今回はもっと長くなるでしょう!
何故なら、僕がこのAccendere『半神』というを語る上で、ここの部分こそが一番重要だと思うからです!
Accendere『半神』という公演が行われるということを知ったのは、公演の半年くらい前でした。
それからの半年間、俺はこのAccendere『半神』という演劇をどうとらえるべきか、そして観に行くべきかどうかについて、激しく悩み続けてしまったのです!
普通、演劇の公演を知ったら、観に行くのを楽しみにするか、これは観なくていいやって切り捨てるか、もしくは観たいけど観に行けなくて残念だなあって思うか、そのどれかだと思うんですよ。
しかし、Accendere『半神』に対しては、「観ておきたい」と「観なくていいや」が自分の中でせめぎ合い、その日の微妙な気持ちによって変わってくるという有様で、はっきり言って観劇する前からこんな気持ちになる演劇に出会ったのは初めてでした。
要するに素直に喜ぶことは出来ないが、バッサリと切り捨てることも出来ないという、言い換えれば、Accendereをこじらせている状態だったわけです。
自分とは無関係のたかが一つの演劇団体ごときのことで気持ちをこじらせるとは、一体どういう心境なのか!?
どうやら僕の中にAccendereという団体に対する、ある種の警戒心みたいなものがあったと思うんです。
警戒心というのはですね、恐らくこのAccendere『半神』という演劇は、新潟演劇という界隈の中だけではそれなりに話題にもなるだろうし、そして期待を持つ人もそれなりにいるだろうけど、俺はそう簡単にその流れは乗らないぞ!ということです。
いや、普通に考えて、自分と同世代の人達が、新しい演劇団体を立ち上げて頑張っているなら、僕は応援したくなるってもんです!
それに、Accendereという団体のメンバー一人一人(さっきーと岡田とイシケンと南ちゃんと内藤くん)、僕は好きですよ!普通に応援してますよ!
しかし…しかしです! そんな5人が集合して、一つの演劇団体を作って活動するとなった時にですね、なんでしょう…何だかよく分からない近寄りがたさを僕は感じてしまっていたわけです。
この、個人個人は嫌いじゃないのに、一つの集団になると近寄りがたくなってしまう現象のことを、俺は野球部現象と呼んでいます!野球部ってそういうことあるよね!
そして、そんなことを考えれば考えるほど、どうして俺は自分と無関係なたかだか一つの演劇団体に対してこんなに悩んでしまうのか? どうして俺は普通に演劇を頑張ってる人達を素直に受け入れられないのか? 狂っているのは俺なのかAccendereなのかはたまたこの新潟演劇という世界なのか?
…などと言った様々な自問自答が渦巻き、そんなことを悩む自分自身に苛立ち、いつしかAccendereという団体について考えること自体が苛立ちに変わっていくのであった!!それは何故なのか!?
そして、そういう苛立ちは何故か、このAccendereの仮チラシを見る時に最高潮に達するのである!それは何故なのか!?
その理由は、自分でもはっきりと分かっているのです!
俺がAccendereを素直に受け入れられない理由、一言で言えば、こういうことです!
2年前のEdge Bronx Theaterの『無差別』が引っかかっているから!
一応解説しておきますと、Edge Bronx Theaterは、2013年に『売春捜査官』、そして、2014年に『無差別』を行った団体です。
そして、『無差別』には、今回のAccendereの劇団員である5人が全員出演しているので、かなり関連が深い公演だと思っています。
と言うか、もう普通にEdge Bronx Theaterでやれば良かったじゃんじゃね? とすら正直思っています。
まあ、そこらへんの事情はよく分かりませんが、少なくとも僕の中では、Edge Bronx TheaterとAccendereはほぼ同じ団体です。
だからこそ、Edge Bronx Theaterに対する自分の評価が、そのままAccendereに対する期待に繋がってしまったんだろうなあと思います。
では、そんなEdge Bronx Theater『無差別』が引っかかってしまう理由、それはですね…
要するに俺は、Edge Bronx Theater『無差別』は過大評価されている!と思っているのです。
ここで僕が問題だと思うのは、過大評価されているEdge Bronx Theater『無差別』そのものに対してももちろんありますが、それと同じくらい、Edge Bronx Theater『無差別』を過大評価した自分を含む新潟の演劇シーンに対しての気持ちもかなり強いです!
そもそも、『無差別』は、Edge Bronx Theaterが作った戯曲ではなく、柿喰う客の中屋敷法仁さんが作った戯曲です。
あ、ここで勘違いして欲しくないのは、既製戯曲を使うなって言ってる訳では決してありません!
これを説明するためには、俺が『無差別』という戯曲をどう捉えているかを語らなくてはいけない!
と言う訳で、長くなりますが書いていきますね。
えーと、俺は柿喰う客の『無差別』という演劇を、生で観劇したことはありませんが、たまたま柿喰う客が演劇公演をUSTREAMで公開するという企画をやっていたので、Edge Bronx Theaterより前に、本家の『無差別』をネットで観ました。
その時、俺は、これはヤバすぎる演劇だ!と思いました。
何がそんなにヤバいのかと言うと、この『無差別』という演劇は、ぱっと見エンタメ演劇なんですが、実際は、日本人がいかにヤバい存在であるかという現実を我々に強烈に突きつけている演劇だと思ったのです。
『無差別』は、戦前から戦後にかけての日本人の、動植物などの自然界との付き合い方や宗教観の変化を描いているのですが、どの時代においても日本人は罪深い存在としか描かれず、それは避けることの出来ない現実として描かれているため、劇中では悲劇の連鎖しか起こらず、まったく一箇所たりとも救いがないのです。
そして、何がヤバいって、そんな日本人の存在そのものを揺るがすようなヤバい演劇を、東日本大震災や原発事故などが起こった後のヤバい日本で上演してしまったということです!
この演劇で描かれている悲劇は、おそらく現実の我々にも地続きの問題であり、そういう重すぎる現実から目をそらすな!と激しく言われているような気持ちになるのです。
だから、Edge Bronx Theaterはそんなヤバい演劇を、よくやったな!って思いましたよ!
俺だったらやりたくないです。何故なら、俺みたいな奴がやったら気が狂うと思うから。
もし出演依頼とか来ても全力で断っていたでしょうね。いや、実際なかったから良かったなあと思うし、この先もそんな機会ないと思いますが…
そういう意味では、彼らがこの『無差別』という演劇をやったことは、凄いことなんだなあ、よくやったなあ…とは思います。
また、この『無差別』という演劇を新潟でやるのは価値があることだとも思いました。
何故なら、Edge Bronx Theaterが『無差別』を新潟で公演することで、おそらく中屋敷さんがこの戯曲に込めたであろう想いが、柿喰う客を観に行けなかった人達にも届いていくとしたら、それは素晴らしいことだと思ったからです。
で、実際に僕も観劇しました。
観劇しながら、やっぱりヤバい戯曲だなあ!観られて良かったなあ!と思いました。
と言う訳で、それなりに満足してしまった俺なんですが…観劇から結構時間が経った今、こう思うのです。
俺はあの時、『無差別』という物語には確かに感動した、しかし、Edge Bronx Theaterという団体に対しては、果たして感動したのだろうか…
確かに、みんなそれなりに上手かったと思います。
でも僕が演劇に求めるのは上手いかどうかではなくて、上手いとか下手とかそういう次元を超越した、もっとこう、強い想いみたいなものなんですよ!
要するに、あれだけヤバい演劇をやっておきながら、彼らから「ヤバいことをやってしまっている!」という想いを感じることが出来なかったのです。
いや、「演劇を頑張っている!」は伝わってきたのですが…
そう考えると、あの公演は、いい戯曲をそこそこ上手くやっただけの公演になってしまってはいないだろうか…
いや、もしかしたら彼らはちゃんと考えていたけど、俺が感じ取れなかったってだけなのかも知れませんが…そうだったらゴメンなさいって感じなんですが…(笑)
そして、このEdge Bronx Theater『無差別』過大評価疑惑問題において、僕が問題視しているのは、何もEdge Bronx Theaterだけではありません!
それと同じくらい、と言うか、それ以上に俺が問題だと思っているのは、そんなEdge Bronx Theater『無差別』を、過大評価した新潟演劇という界隈なのです!
とは言え、何だかんだでこのEdge Bronx Theater『無差別』という演劇は、まず、あの『無差別』を行ったことが凄いと思うし、役者さんたちの演技や演出にも熱は入ってたと思うので、評価に値する演劇だとは僕も思います。
実際、この演劇はシネ・ウインド演劇賞やつくつな演劇賞などを受賞して、それなりに評価されていてように思います。
しかし、『無差別』という物語の本質的なヤバい部分や、それを実際に観劇してどういう印象を受けたか、どういうことを考えたか、などに言及している人は、少なくとも自分の周りにはいなかった気がします。
いや、俺が知らないだけで本当はいたのであれば、ゴメンなさいって感じなんですが…(笑)
僕は、演劇は観劇しているときではなく、観劇後にどういう気持ちになったか、どんな考えを持ったか、などの感想を深め、誰かと共有していくことで、その演劇は価値を持っていくものであり、それこそが演劇の面白さだと思っている部分があります。
特に、『無差別』みたいなメッセージ性の強すぎるヤバい演劇であれば、なおさらそういう考え方は重要になっていくと思うのです。
しかし、もしもこの演劇が、役者の魅力や演出の格好良さという表面的な部分のみが注目され、誰も実際の戯曲の本質的な部分にまで言及しないのに、それだけで評価されてしまうとしたら、演劇という文化に対して、こんなに勿体無いことはないと思うのです。
Edge Bronx Theater『無差別』過大評価疑惑問題で、僕が一番引っかかっているのはこのことなのです。
とは言え、恥ずかしながら僕自身がこのような考えを自分が持つに至ったのは本当に最近のことで、当時は自分もみんなと一緒になってすごいなあ!って盛り上がっていた人間の一人なのです。
だから、こういう考えを持つのは、自分に対する戒めでもあります…(と言うかそれ以降、観劇したら出来るだけその演劇の本質的な魅力は何なのだろうかと考えるように心掛けてます。)
僕の、Edge Bronx Theater『無差別』が引っかかっているというのは、こういうことです。
だからこそ、今回のAccendere『半神』も、似たようなことになったら嫌だなあ…と警戒心を持ってしまった、と、こういう考えをご理解いただけましたでしょうか?
さらに、Accendere『半神』のチラシには「新潟演劇えりすぐりのキャストが真っ向勝負を挑む」などという大仰な一文が書かれているではないか!
この一文は、僕の警戒心を逆撫でする結果となりました!
いや、いいですよ!そういう「俺達最強!」みたいなノリ、嫌いじゃないですよ!実際、僕もよくやりますし、BLUESもよくやりますし…
でもそれは、あくまでネタとして言ってます!っていうのが分かるから笑えるのであって…
でも、なんとなく、Accendereはマジで言ってるような気がしたんですよね。
それが、先ほどの過大評価疑惑と重なってしまってですね、より一層の警戒心を強める結果となってしまった訳です。
で、ここまで前置きで、大事なのはここからです。(前置き長いわ!)
以上のようなことを踏まえた上で、一番考えるべきは、じゃあ、俺はどうするべきなのか!?ということです。
そこで僕は、色々考えた結果、やっぱりこのAccendere『半神』を観に行こうと思いました。
内容がどうあれ、こんなに半年間もこじらせた演劇を見ないのはモヤモヤが残るだけで、かえって不健康だと思ったのです。
そして、大事なのは、ただ観るだけではなくて、しっかり観よう!人の意見に左右されずに、自分の目で冷静に観よう!ということです。
その上で、過大評価も過小評価もせずに、自分の言葉でちゃんと感想を言葉にしよう!と、思ったのです。
そのために、俺、萩尾望都の原作漫画『半神』をわざわざ買って読んだんだからな!
しかもこれ、満喫とか古本屋とか色々探したけどどこにもなくて、近所の本屋にもなくて、結局、観劇前に新潟駅前のジュンク堂で新品を買ったんだからな!
萩尾望都の『半神』、面白かったです!
しかし、本当に短い話だったので、これを2時間の演劇にするって、どういうことなの野田秀樹!ねえヒデキ!って思いました。
と言うのも、この『半神』という演劇は、原作は萩尾望都、脚本は野田秀樹ですが、それ以外に、レイ・ブラッドベリの『霧笛』という短編小説の要素も入っているのだそうです。
そもそも、萩尾望都はレイ・ブラッドベリの短編小説をいくつか漫画化していて、その中に『霧笛』という作品があり、さらにそれとは別にオリジナルで『半神』という漫画を描いていて、その二作品の要素をミックスして野田秀樹とともに一つの演劇を作り上げた、というのが、この『半神』という演劇が生まれた経緯のようです。
なので、本当ならレイ・ブラッドベリの短編『霧笛』も非常に読みたかったのですが…すみません!時間がなくて読めませんでした!
とは言え、萩尾望都の『半神』はちゃんと読んだわけだし、そもそも俺が新品の漫画を買うなんて本当に珍しいことなんだからな!700円くらいかけてるんだからな!
と言う訳で、気持ちの準備も済ませたところで、満を持して観劇したAccendereの『半神』は、果たしてどうだったのか…!?
後半へ続く!!!!!!!!!!!!!!!