
3/1(金)、シネ・ウインドで『未来を乗り換えた男』を観て来ました。
予告編はこんな感じです。
さてこの映画、設定からして面白くて、ナチスドイツのファシズムの歴史と、現代の難民問題を合わせたような世界を舞台にしています。
そんな設定のドイツから、フランスへと亡命した主人公が、亡くなった小説家に成りすましてフランスに潜伏するというサスペンスです。
基本的には静かなシーンの連続で、物語はあくまでも淡々と進んでいくのですが、冒頭の列車に潜伏してのドイツ脱出や、亡くなった小説家に成りすましてからのバレるかバレないか、そして、無事に逃げ延びたと思われたフランスにも迫るファシズムの影など、手に汗握るスリリングなストーリーに引き込まれました。
特に、一歩間違ったら殺されていてもおかしくないみたいな展開を、さらっと描くことが、かえって不気味なんですよね。
例えば、ネタバレをギリギリ回避して話しますが、終盤、主人公がある登場人物とともに行動をするかどうかで、ちょっと揉めます。
揉めた末に、二人の別れが描かれ、しかもこのシーン、そのままエンディングになってもいいくらい、切ない感じで描かれるんですよ。
と思いきや、次のシーンでは、別れた相手が襲撃を受けて殺された、という事実が、静かに主人公に伝わってきたりするのです。
しかも、それが本当に静かに淡々と伝えられるから、かえって不気味で背筋がざわっとするんですよね。
まさに主人公が生き延びているのはあくまで偶然であるということを前面に押し出したストーリーになっていたと思います。
それが、国から迫害され国を追われる世界の中で生きていくことの厳しさが突きつけられるようで、非常にメッセージ性も強い映画でした。