

1/13(木)、新潟市美術館「香月泰男展」を見に行ってきました。
110年前に生まれ、若い頃から油絵を志した香月泰男は、戦争で4年間シベリアに送られるが絵を描くことを辞めず、帰国してからは戦地での過酷な体験を元に「シベリア・シリーズ」という大作を描き続けた。
まさに人生そのものを賭けて絵を描いていたことが伝わる展示でした。
前半、香月泰男が若い頃に影響を受けたゴッホ風に自分の故郷や祖母を描いた初期の作品からして見応えがあるのですが、そこから今度はピカソの影響を受けて、立体を幾何学的に表現していくようになり、少しずつ自分の作風を確立していきます。
そんなことが伝わる前半の展示からして興味深いのですが…
しかし、そんな未来ある画家は戦地へと送られてしまうのですが、彼はそこでも密かに戦地に紙と画材を持ち込んで絵を描き続けたそうです。
そして帰国後は、4年間のシベリアでの過酷な戦争体験を元にした「シベリア・シリーズ」と呼ばれる作品群を描き続けたそうで、後半はずっとその展示でした。
「シベリア・シリーズ」からは、猛威を振るう自然や厳しい任務、そして死への恐怖と絶望が伝わってきて、まるで自分がシベリアに送られてしまったかのような恐怖を覚えました。
でも、こんな絶望の中でも絵を描くことが数少ない希望だったんだなとも感じられ、まさに絵に人生を賭けて生きてきた香月泰男の人生そのものみたいな展示でした。
新潟市美術館では昨年、戦死した画家の作品をあつめた「無言館」の作品展を見ましたが、それを少し思い出したりもしました。
命を懸けて人が絵を描くということの意味を、あらためて考えさせられる展示でした。