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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

荒廃した世界を舞台に繰り広げられるスチームパンクSF『移動都市 モータル・エンジン』観てきました!

2019-05-02 02:19:47 | Weblog


5/1(水)、ユナイテッド・シネマ新潟で「移動都市 モータル・エンジン」を観てきました。
新潟市では、ユナイテッド・シネマ新潟のみでの上映だったようです。





予告編はこんな感じです。



核戦争で文明が滅んだ後の荒廃した世界を舞台に、都市がまるごと巨大な戦車になったような移動都市が戦争をするというとんでもない世界観でした。
本当に実在するかのように細部まで作り込まれたスチームパンクな映像美、権力や格差社会への風刺など、非常によく出来たSFで見応えがありました。

映画の冒頭、いきなり主人公たちの移動都市に、巨大な移動都市「ロンドン」が襲い掛かってくる、という衝撃的なアクションシーンから始まります。
広大な荒野を、巨大なビルというか、お城くらいの大きさの移動都市が、「マッドマックス」かってくらい手に汗握るカーチェイスならぬ移動都市チェイスを繰り広げるので、とんでもない迫力でした。

すると、巨大都市「ロンドン」は、おもむろに主人公たちの都市を内部に取り込んでしまう、劇中の言葉を使えば「都市が都市を食う」という、他の映画では観たことがないような驚きの展開がいきなり起こります。
そして、取り込まれてしまった移動都市の人々は、「ロンドン」によって支配されてしまうわけですが、主人公にはある目的があり、そこから脱走するところから、物語は動き出していきます。

「ロンドン」は、そこの権力者の部屋の物凄くリッチな作りとかから察するに、おそらく富裕層が暮らしているであろう都市、一方で主人公たちが暮らしていたのはもっと小さい移動都市で、おそらくレジスタンスというか、スター・ウォーズにおける帝国軍に対する反乱軍みたいな感じの立ち位置なんだろうなってのがすぐに伝わってきました。
そんなロンドンが主人公たちの移動都市を支配するという展開も、優れたアクションシーンであると同時に、「ロンドン」という名前の通り、先進国が発展途上国を植民地にしていく感じとかを皮肉っているのでしょう。

そう考えると、近未来を舞台にしたSFでありながら、同時に人類の歴史などを描いた物語とも言えてるし、こういう特殊な設定の物語によって現実の問題を浮き彫りにする力があたり、この映画が優れたSFである証拠だよな、なんて思いました。
素晴らしいなと思ったのが、例えばロンドンと主人公たちの経済格差とか関係性とかが、特に説明はなくても都市の外観とか人々の服装とか装備している武器とかで、なんとなく伝わってくることで、そういう細部まで作りこまれた舞台美術は本当に素晴らしいなと思いました。

さて、取り込まれてしまった移動都市の人々は、「ロンドン」によって支配されてしまうわけですが、主人公にはある目的があり、そこから脱走するところから、物語は動き出していきます。
そこから主人公が繰り広げる冒険は、アクション満載ですごくワクワクするものだったんですが、同時に「こんな都市もある」「こんな人達もいる」と、どんどんこの物語の世界観がどんどん広がっていって、どんどん物語が豊かになっていく感じがすごく面白いなと思いました。

印象的だったのは、冒頭に巨大な移動都市のアクションというスケールの大きなシーンを描いたあとで、主人公が脱出してからは、地を這う人間からの視点も描いていたことでした。
例えば、移動都市が高速で移動するような距離を一歩ずつ時間をかけて歩いていく姿とか、移動都市が通ったあとの巨大な車輪の轍が、地面に立った人間からするとちょっとした丘くらいの段差になっていたりとか、そういう、巨大都市と人間の対比をすごくしっかり描くんですよね。

この、巨大都市と人間の対比は、人間が作り上げた文明や科学技術の強大さと自然界における人間のちっぽけさの対比にもなっていたり、文明を失った人間の弱さの象徴になっていたり、すごく印象的でした。
さらに面白いのが、そういう移動都市の外側の世界の人間たちが、地下に居住していたり、小さな移動住居が登場したり、様々なサバイバル術を描いていたことでした。

主人公は、この世界の様々な人間たちに出会いながら冒険していくんですが、主人公とはまた別の目的のレジスタンス的な人物に出会って行動を共にすることになったり、封印されていた最強の殺し屋みたいな奴が解き放たれて主人公を追い掛けてきたり、まあとにかく盛り沢山な内容でした。
しかも、その度に訪れる色々な町や村にそれぞれ設定があったり、中にはいくつもの気球の集団が一つの巨大な空中都市を作っていたりとか、とにかくビジュアル的にもストーリー的にも、映画の中に一つの壮大な世界が広がっていく感じがすごくて、どんどん引き込まれていきました。

そして物語が進むにつれて、主人公の過去や、ロンドンの陰謀、そしてこの世界の秘密などが徐々に明らかになり、最終的にはロンドンが大量破壊兵器を起動させて戦争で世界を支配しようと動き出し、主人公たちはそれを阻止するために奮闘するという、壮大な物語へと発展していきます。
戦闘、戦争の脅威を迫力ある映像で描きながら、その中で戦争を止めようとする人間たちの物語も描く、まさに映画だからこそできる表現だなと思いました。

これ、よく考えたら「スター・ウォーズ」のデススター破壊みたいな話だなとも思ったんですけど、そういう王道なストーリーを、スチームパンクという新たな映像表現で見せたのが凄く面白くて良かったです。
舞台設定、ストーリー、キャラクター、映像表現、メッセージ性など、全体的にすごく見応えのある映画で、初めて「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」や、「スター・ウォーズ」や「マッドマックス」のシリーズを観た時くらい面白かったです。

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