
1/17(火)に、『マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション』を観て来ました。
これは、2015年に大ヒットしたジョージ・ミラー監督の大傑作映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を、全編モノクロ映画にして再上映するという試みでした。
全世界的に熱狂的なファンを生み出した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ですが、なんでも、ジョージ・ミラー監督が、この<ブラック&クローム>エディションこそが最高傑作だと語っているほどの話題作!
僕も『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は大好きな映画だったので、これは観るしかない!と期待に胸を膨らませて観て来ました!V8!V8!V8!V8!イモーターン!
ひとまず、『マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション』の予告編はこんな感じです。
ちなみに、僕の2015年の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の感想は、ここから読めます。
「2015年に見た映画のベストテン発表します!」

新潟ではユナイテッドシネマ新潟だけで1/14(土)から2週間限定の上映でした。
4DXでの上映だったのですが、会場の外にはNegiccoのポスターが!
Negiccoはユナイテッドシネマの4DXの応援隊をやっているとのことですが、なんと予告編でNegiccoが4DXを体験している特別映像が!
これが観られた時点で、ネギヲタな自分は来た甲斐があったぜ!
ところで僕は2015年に2D字幕、3D吹替えの2形態で観ていたのですが、個人的にはどちらも面白かったです。
吹替えに対しては賛否両論あるという話を聞きますが、僕は別に違和感は感じませんでした。
ただ、少しだけ思ったのは3Dに関してで、そもそも2Dで観ただけでも映像にめちゃくちゃ迫力があったので、敢えて3Dで観なくてもいいのかなとは思いました。
(あくまで個人的な意見ですが、僕は映画を観るときは2Dだけでも全然映像に集中して入り込んでしまう人間なので、敢えて3Dで観なくてもいいかな・・・というか寧ろ、3Dという要素が加わることでかえって集中できなくなることもあり・・・基本的には3Dよりも2D派です。)
また、4DXに関しては、初めて4DXがオープンした時に「パシフィック・リム」を観たきりなのです。
その時は確かにそれなりに楽しくはあったのですが、やっぱり4DXの振動などがある所為でかえって映像に集中できなくなってしまい、やっぱり2Dの方がいいんじゃないかなあ・・・と思ったというのが正直なところです。
とは言え、「パシフィック・リム」はもともと4DXを意識して作られていない映画を後から4DXに対応させていたので、その所為はあるかも知れないし、最初から4DXを意識して作られた映画を観たらまた感想は変わってくるかも知れないですが・・・
(ちなみに、本当は『雨女』という4DXの映画も観ているのですが、記憶の彼方から抹消することにします。)
そんな訳だったので、今回の『マッドマックス 怒りのデス・ロード <ブラック&クローム>エディション』の、4DX、2D、字幕というのは上映形態は果たしてどうなるのだろうか・・・?
そう思いながらの鑑賞だったのですが、結果的には今まで観た4DX作品の中では(と言っても3作品だけですが)、一番楽しめました。
まず、2D字幕という形態が自分が今まで観た中では一番好きだった形態だったということもあって、そこは安心して映画に集中できました。
そして、その上での4DX鑑賞だったのですが、今まで感じたような、4DXになったことでかえって映像に集中できなくなる、ということは全然ありませんでした。
これは多分なんですけど、そもそもこの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』という映画はあまりにアクションが激しくて、僕みたいな人間は2Dでも思わず体が動いてしまうほどなので、それと4DXがうまく連動したのかなあ、などと思いました。
それ以上に、やっぱり4DXで観られて良かったなあ・・・と思ったのは、振動の演出です!
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』には何台もの車やバイクが登場し、映画のほとんどのシーンでカーチェイスが繰り広げられるという驚くべき映画なのですが、そのエンジンの振動に合わせて座席が激しく振動するので、まさに自分も映画の中の車に乗っているかのような感覚に襲われ、半強制的に映画の世界に連れて行かれたなあと思います。
もともと4DXにやや懐疑的だった自分が、ここまで4DXの魅力を堪能してしまうとは、さすがマッドマックスだぜ!
という訳で、4DXの感想はそこそこにして、肝心の、モノクロ映画になったことでどうだったのか?について感想を書いていこうと思います。
結論から言うと、モノクロにしたことで何箇所か分かりにくくなっていた部分もなかった訳ではないものの、全体的にはあの映画を初めて観た時の「こんな映画観たことない!」という感動を、さらに引き立て、アップデートしたかのような作品になっていたと思います。
これを説明するために、そもそも『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がどんな映画だったのか説明しないといけないのですが・・・本当にあの映画に関しては語りたいことがたくさんありすぎてどこから話したらいいのか・・・
出来るだけ簡潔に話しますと、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、伝統的な超王道のアクション映画をド直球で作っていながら、今までまったく見たことのない新しい映画になっていて、しかもそれが現代というこの時代を生きる僕らに向けて作っているメッセージ性の強い映画でもある、と思います。
どういうことかと言いますと、例えばCGの発展に伴ってどんどん迫力あるアクション映画がCGで作り続けられているこの現代において、この『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はほとんどCGを使わず、あの大迫力のカーチェイスをほぼ実写で撮っているのです。
そしてそれが古臭い映像になっているかと言われたらまっっっっったくそんなことはなく、それどころか寧ろ、CGなら何でも出来てしまう現代において、実写でここまでやってる!という驚きがあり、だからこそ心の底から「スゲー!」と大興奮できるアクション映画なのです。
もうこの時点で、CGよりも実写という映画の超伝統的な手法の魅力を最大限に現代で表現した映画だと思うのですが、この映画のすごいところはそれだけではなく、ストーリーにも同じことが言えるのです。
この映画のストーリーを超超超ざっくりまとめると、スゲー悪い奴らに苦しめられていた人間たちが、力を合わせて悪い奴らに勝利し自由を手に入れる、という、まさに王道中の王道ストーリーです。
しかし、そんな王道のストーリーの中にも、現代的なテーマがたくさん登場します。
例えば、資源が枯渇してしまった世界でどうやって生きていくのか、富も権力も持たない一般民衆たちは、どうやって人間らしく生きていくのか、などというテーマは、現代を生きる我々にも決して他人事ではない、地続きの問題です。
また、敵の大ボスであるイモータン・ジョーは、人間の自由を支配しているという意味で極悪人ではあるのですが、ここまで資源が枯渇した世界ではああやって人間たちを利用して生きていく人間が現れても仕方ない、と思わせるだけの説得力があり、単純な悪意の塊としては描かれていないような気がします。
イモータン・ジョーに仕えるウォーボーイズたちの姿は、現代を生きる若者たちが社会から搾取されてしまう現実の問題とも重なり、現代の格差社会を意識して描いているようにも思えます。
そして何と言ってもこの映画が素晴らしいのは女性の描き方で、従来の映画、特にアクション映画における女性は、あくまで男性主人公の引き立て役だったり、男性に守られる存在として描かれることも、少なくなかったと思います。
また、男性と女性が力を合わせる映画では、とって付けたような恋愛要素が登場することも、少なくないと思います。
しかし、この映画の素晴らしいところは、例えば主人公と、女戦士フュリオサが、どちらがどちらの引き立て役ということもなく、徹底して平等に、共にお互いを必要として、あくまで共に戦う存在として描かれているのです。
しかも、二人の信頼関係が恋愛に発展することもなく、あくまで共に人間らしく生きていくために力を合わせて戦う存在として描かれています。
これは恋愛どうこう関係なく、男女は絶対にお互いを尊重しあって生きていかないといけない!そして、性別を超えて信頼関係を築いていける存在である!というメッセージに思え、これは自分がいつも考えていることでもあるので、本当に感動してしまいます。
それどころか、映画では「子産み女」として権力者から搾取されていただけの存在だった女性たちが、自分たちの力で戦って人間らしい生き方を取り戻す!という物語でもあるので、女性の権利が脅かされる現代の問題に対するメッセージにも思えました。
さらに感動的なのは、映画のラストで、頑張ってネタバレは避けますが、映画によくあるご都合主義のハッピーエンドではなく、あくまでこの過酷な現実を受け入れた上で、そこで人間らしく生きていこう!という現代を生きる我々に向けたメッセージを強く感じるものであり、この映画を見ると心の底から「頑張って生きていこう!」と思えるという、本当に感動的な映画なのです。
という訳で、ざっくり語るつもりがかなり長々と語ってしまいましたが、この『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が伝統的な王道アクション映画でありながら、現代という時代に向けたまったく新しい映画である!というのは、そういう意味です。
で、そんな長い前置きを踏まえて『マッドマックス 怒りのデス・ロード<ブラック&クローム>エディション』は、どうだったかと言うと、まずモノクロであることで、先ほど書いたような伝統的な映画っぽさ、がかなり際立っていたと思います。
と言うのも、やっぱりモノクロというだけで昔の名作映画を観ている!という気持ちに僕はなるのですが、しかしそこで展開されているのは現代の映画である、というのが、とても不思議な体験で、最初にこの映画を観た時に感じた「こんな映画観たことない!」という感動をさらに引き立てていた、というのは、そういう意味です。
これもよく言われていることですが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』はもはや神話的な物語という見方も出来る映画なのですが、モノクロになったことで、その神話感がより際立っていたと思います。
何でしょう、映画を観ながら、一体これがいつ作られた映画なのか分からなくなるというか、過去から未来へ時代を超越してメッセージを投げかけているような普遍的な映画であることがより際立ったなあと思いますし、これから何十年、いや、何百年経っても間違いなく愛され続けていく作品であることが証明されたのではないでしょうか!?
また、モノクロになったことで、大空と不毛の大地だけが広がる砂漠の荒涼とした風景や、登場人物たちの繊細な表情、そしてウォーボーイズたちの白さが際立ち、そういう意味でもあの映画の魅力を引き立てていたと思います。
ただ、個人的に思ったのは、イモータン・ジョーの砦で栽培されている野菜の緑と、火を噴くギター男の真っ赤な衣装と真っ赤な炎、そして炎のように真っ赤な砂嵐だけは、カラーの方が良かったかなあ、という気もしましたが・・・
でもまあ、そこらへんを考慮しても、モノクロになったことで作品の魅力がさらに際立った部分の方が断然大きかったと思うので、『マッドマックス 怒りのデス・ロード<ブラック&クローム>エディション』、やっぱり大傑作でした!
DVD化もしているそうなので、まだ観たことのない方は、まずはカラーの通常版で観てから、こちらも楽しんでみることをオススメします。