舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「がんばっていきまっしょい」を20年ぶりに観て気付いたこと。

2024-07-09 21:47:07 | Weblog


7/9(火)、BSで放送されていた「がんばっていきまっしょい」を20年ぶりくらいに観ました。
最近は観る映画が多いので感想はTwitterにだけ書いて他のSNSやブログは後回しになっている自分ですが、ちょっとこの気持ちを言葉にせずにはいられなくなったので、久し振りに長文の感想を書きます。





「がんばっていきまっしょい」は、1998年の映画で、当時18歳だった田中麗奈さんの初主演映画です。
1976~77年の愛媛県松山市を舞台に、女子ボート部の高校生たちの成長を丁寧に描いた青春映画です。

どうしてこの映画がこんなに好きかというと、何を隠そう僕も高校時代にボート部だったのです。
でも、なんとなく入部したものの、とにかく毎日長時間の練習がきつくて、部内でも他校との試合でも学校の名前をを背負って競わされるプレッシャーがつらくて、成績はずっと悪くて自分の才能のなさを痛感させられるだけで、一緒に試合に出るクルーの足を引っ張るだけで、仕方なくシングルスカル(一人乗り)に乗れば汚い信濃川に落ちるし(普通はそんなに落ちない)、部活以外のことを楽しむ余裕なんて時間的にも精神的にもなくて、でも部活を辞める勇気もそれはそれでなくて、ただ周りに流されてはもがいていただけの、そんなボート部員でした。

だからこそ、入学前からボート部に憧れ、高校にないなら自分の意志で女子ボート部を作って仲間を集めて、一生懸命に頑張る田中麗奈さんが眩しくて仕方なかった。
田中麗奈さんは僕にとって、当時の「なっちゃん」のCMから、最近の「福田村事件」「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」まで本当に大好きな俳優さんですが、映画初主演となる原石のような輝きと重なるような、まだ何も知らない世界を迷いながらも手探りでひたむきに突き進む悦ネエは僕の永遠の憧れです。

ボート部だった頃の自分は、結果至上主義みたいなものに囚われていて、結果を残せない自分には価値がないと自分を無闇に追い込んでは、結果を残せず負けてばかりの自分が情けなくて毎日落ち込んでいました。
だからこそ、「がんばっていきまっしょい」の前半、不器用で失敗続き、「一回くらい勝てるんじゃない?」なんて期待しても結局ドベ(ビリ)続きの悦ネエ達は、ギャグっぽく描かれていますが、僕はもう涙ながらに見られないわけです。

でも、悦ネエ達は、失敗しても挫折しても、たくさんの経験や仲間達との出会いの中で、諦めない気持ち、仲間と過ごす時間など、大切なものを学んでいくし、たとえ負けても人間として成長していく、その姿が後半は描かれていく。
人間、結果よりも本当に大切なものってそういう経験だよなってこと、もっと早く気付きたかったし、あの頃の落ち込んでいる自分に教えてあげたいな。

そして、そんな体験を一緒に頑張ってきたからこそ、彼女達はかけがえのない仲間になれた。
2年目の試合で初めてドベじゃない結果を出した悦ネエ達が、旅館で一泊しながら(僕もボート部の試合では津川の旅館に泊まっていた)、これまでの練習の日々を回想し、まだ何も分からない10年後、20年後をなんとなく語り合う場面を見ながら、ああ、自分もあんな仲間に出会いたかったな、あんな青春を送りたかったな、なんて思ってしまいました。

僕にとってボート部は、二度と思い出したくない、つらく苦しい黒歴史しかなかったので、こんなにきれいな思い出ではなかったのです。
だからずっとその記憶に蓋をして過ごしていましたが、でもちょっと待って?と初めて思いました。

確かにボート部は苦い思い出だったけれど、でも人生はそれだけじゃない、高校を卒業してからのこの20年で、自分にだっていい思い出はたくさんあるし、いい仲間にだってたくさん出会えたじゃないか。
たまたまボート部の時に気付けなかったことがたくさんあっただけで、自分の人生は決して悪いものじゃないと、あらためて思えました。

それに、悦ネエ達は女子ボート部という、今までその高校では前例のなかった世界を自分達の意志で手探りで進んでいて、だからこそきっと楽しかったし、大切な体験になったのかなと思います。
そう考えれば、学校の伝統のボート部にいた時よりも、大人になって色んなことを手探りで頑張ってきた今の自分の方が、寧ろ悦ネエ達のような青春をしているのかもしれません。

「がんばっていきまっしょい」は、ボート部時代に人に薦められて一度レンタルして観ていたのに、その時はまだ子供で気付けなかったことがまだまだたくさんあったんだなあと初めて気付けました。
大人になってあらためて、自分の人生にとってかけがえのない、本当に大切な映画になりました。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 諦めるなんて死ぬまでないから。 | トップ | 雨の日も歩いて行こう傘さして。 »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事