
4/12(土)、13(日)、日本の様々な伝統芸能が新潟に集結する「アート・ミックス・ジャパン」が、今年も開催されました。
日本に昔から伝わるお祭りや土着の伝統文化が好きな人間なので毎年興味はあるのですが、実は今までまったく行けずにいました。
そこで今年は行ってみようと調べてみたら、能、狂言、神楽、人形芝居、落語、浪曲、漫才、和太鼓、琵琶、雅楽、沖縄音楽、アイヌ音楽など、面白そうなものばかりではないか!
しかし、悲しいことに全体的に僕には値段が高かったので、ひとまず無料公演だけ観に行ってみることに。
4/12(土)は予定があったのですが、4/13(日)の無料公演は佐渡の猿八座の人形浄瑠璃。
ちなみに4/12(土)の無料公演は、お寺の和尚さんの法話だったそうで、それも面白そうだった…
最初は猿八座の人から説明があり、佐渡は能や鬼太鼓、文弥人形やのろま人形が有名ですが、実は人形浄瑠璃の伝統もあるとのこと。
人形浄瑠璃の歴史は古く、今では有名な歌舞伎も、もともとは人形浄瑠璃の物語を人間が演じるという形で発展したものだそうです。
演目は「葛の葉」という、占いの天才だった安倍晴明が、狐に育てられたという伝説から生まれた物語。
人間に化けた狐の母と、人間の父と息子の別れを描いた物語で、その息子が幼少期の安倍晴明です。
冒頭、父と母と息子、それから乳母が登場するのですが、例えば父が鍬を担いで畑仕事に行く場面、母が息子の手を引いて歩き出すなどの何気ない日常の場面からして、生きた人間ような繊細な動きに驚かされました。
そして舞台の真ん中には花が飾られており、母が一人になった時に花を見ているとあまりの美しさ狐の姿に戻ってしまうのですが、一瞬舞台の下に母の人形が下がったと思ったら次の瞬間には顔が狐に代わっていたのには思わずびっくり。
息子は狐の母の姿を見て怯えるのですが、その時の体を震わせた怯え方もすごくリアルだったし、母が慌てて元の人間の姿に戻るのも本当に一瞬の早替えある。
それがきっかけで母は狐の姿に戻って人間の家族の元から去っていくのですが、その前に手紙を書き残す場面があり、あらかじめ文字の書かれた小さな紙を伸ばしながら筆を動かす演技をするだけなのに、本当に紙に筆で文字を書いているように見えて本気で感動。
かと思えば、本当に人形が狐のお面の口に筆を咥えて、舞台の裏にある障子のセットに実際に歌を書き残すという場面もあってさらに感動。
人形を操りながらその場で書道も披露する、しかも間違えることのできない一発書きで、拍手が起こっていました。
その後、父と息子は山に母を探しに行くのですが、母が現れない悲しみから父は刀を取り出して、息子とともに心中を図るという驚愕の展開!
ここは、果たしてどうなる!と手に汗握るハラハラする展開!
と思ったら、次の瞬間に2人の前に狐が現れる!
ちなみにその狐は、最初の人形に狐のお面を付けたものではなく、全身がリアルな狐の人形でした。
すると狐は人間の母の姿に戻り(ここも人形が一瞬で入れ替わる)、親子は再開する。
しかし母は夫と息子にそれぞれ形見の品を渡して去っていく。
この形見の品を渡す場面は、人形を操る人が小さな人形の手の部分に実際に自分の手を入れて、実際に小道具である形見の品を手渡すという表現になっていて、芸が細かいなと思いました。
ちなみに、この時に息子に渡した形見の品が、彼が大人になって安倍晴明となった時に守ってくれるという物語もあるそうです。
最後は父と息子が去ったあと、母は悲しみの舞いを踊り、狐の姿に戻って去っていくのでした。
考えてみれば人間が狐になるという突飛な設定なのに、それが人間、人間の体に狐のお面、狐という3つの人形で表現され、それを観てちゃんと物語を楽しめるのって、昔も今も変わらない人間の気持ちがあるのかもしれないなと思いました。
音楽は三味線のみ、台詞や歌などはすべて三味線の奏者の人が一人で担当しているのも凄いのですが、昔の言葉なのに意外とちゃんと物語が伝わるんだなという感動がありました。
いやー、無料でここまで素晴らしい伝統芸能が楽しめるなんて本当にありがたかった!


りゅーとぴあのロビーには石見神楽が飾られていました。
石見神楽は4/12(土)に舞台で有料で上演されたものだそうで、せめてこれだけでも見られて良かった。

また、「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」で使われる藁でできた蛇のミニチュアも展示。
今年は8月に関川村まで「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」の本物を観に行きたいなあ…

さらに、操り人形の横町屋台人形・巫女爺も飾られていたのですが、なんとこれ、もっと早い時間に来れば実演が無料で観られたというのではないか!
人形浄瑠璃を観ていた知り合いに聞いてみたところ、この日はパンフレットには載っていなかったけれど操り人形、落語、大道芸などの無料公演もあったとのこと!
「アート・ミックス・ジャパン」、無料公演だけでも十分楽しめそうじゃないか!
来年はその作戦で2日間ずっと無料公演だけを観ているのもアリだなと思いました。