狐の日記帳

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『人民は弱し 官吏は強し』/星 新一

2020年06月08日 12時38分06秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、星 新一の小説『人民は弱し 官吏は強し』を読み返していました。
 星新一はショートショートで有名でありますね。
 この小説は、星製薬を築き星薬科大学の創設者である星一を息子である星新一が描いた小説です。

 明治末。
 12年間の米国留学から帰った星一は製薬会社を興す。
 日本で初めてモルヒネの精製に成功するなど事業は飛躍的に発展した。
 彼自身は、フェアな競争で後れを取ったら相手を追い抜く新しい道を開拓しその積み重ねで産業が発展する、と信じていた。
 賄賂をばら撒いたり料亭に役人を招待して接待することが大嫌いだった。
 儲けた金は全部株主への還元や薬の販売店の啓蒙や最新の工場設備の導入に使ってしまう。
 そして産業の発展になることは関係省庁に臆することなく直言する。
 しかし、星製薬は政争に巻き込まれてしまう……。
 星製薬の事業への執拗な妨害で、会社経営は次第に窮地に追い込まれて……。



 いつの世であっても変わらないものでありますね。
 政治案件で攻撃を受けた企業は、たとえ何もしていなくても悪評がついてまわります。
 メディアは無責任に悪者と決めつけて報道します。
 確認を取らず嘘や出鱈目やデマを使って悪者と決めつけた者を攻撃します。
 無実であってもメディア攻撃を受けたら悪評はそう簡単には払拭できません。
 無責任な噂をばら撒く輩はいつの世にも存在します。
 それでも決して屈せず挑戦を続ける姿には清々しさがあります。

 無機質っぽいショートショートとは違って、熱量の溢れるお話であります。
 面白いですよ。
 お勧めです。


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