本日7月9日は、1623年以来途絶していた日英間の通商再開を求めてイングランド船・リターン号が長崎に来航した日で、エカチェリーナ2世がロシア皇帝に即位した日で、在リトアニア日本領事代理・杉原千畝がユダヤ系難民に日本通過ビザの発行を始めた日で、サイパンの戦いが終結した日で、アラスカ州のリツヤ湾で高さ500メートルの観測史上最大の津波を観測した日です。
本日の倉敷は曇りのち雨でありました。
最高気温は三十度。最低気温は二十二度でありました。
明日は予報では倉敷は晴れとなっております。
私の顔は此の頃またひとまはり冷たくなったやうである。
元から表情豊かな顔ではなかつたが、此の頃またひとまわり無表情の鉄仮面になつた。表情筋がぴくりとも動いていない。
愛嬌のある者といふのは、表情豊かに感情を表現してゐるものである。
無表情の鉄仮面の顔で愛嬌のある者といふのはあまり實例が無いやうに思はれる。
想像する事もむづかしい。
無表情の鉄仮面の顔の人は全てを素直に諦めて「鉄血」あるひは「熱血」あるひは「冷血」といふ事を心掛けるより他に仕樣がないやうである。
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは、非常に冷たい瞳の人であつた。
やはり愛嬌のある者ではなかった。
けれども鉄血であった。冷血でさへもあつた。高尚で優雅な姿に就いては密かに修養したこともあつたであらうと思はれる。
私もかうなればキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのやうな者になるやうに修養するより他は無いと思つてゐる。
無表情な顔になるとよつぽど氣をつけなければ人に傲慢と誤解される。
冷たいつらをしやがつて、いつたいなんだと思つてゐるんだ等と、不慮の攻撃を受ける事もあるものである。
先日、私は街の或る店へはひつて獨りでミルクを舐めていたら、酔っぱらったあるお方が呼びもしないのに傍へ寄つて來て、「あなたは屋根裏の哲人みたいね。ばかに偉さうにしてゐるがもてませんね。キザに藝術家氣取りをしたつて駄目よ。夢を捨てる事ね。歌はざる詩人なの? ねえ! ねえ! あなたは偉いよ。こんな処へ來るにはね、まづお洒落な服を着てからおいでなさい」と、酷い事を言つた。
私が着ていた服は地味な服だつたのである。
私は機嫌が悪かつたので「ぶっ殺す! うぬのお尻の穴に手首を突つ込んで奥歯をがたがたいわせてあへあへ言わせてやる! 何度も何度も何度も何度も逝かせてよがり殺してやる! 快楽の果てに恥辱にまみれて死ぬがよい!」と下品な言葉を言い捨ててお勘定を頼んだ。
さすがにそれから暫らくは外出したくなかつた。お下品でお下劣なことを言つてしまったことを後悔してゐた。なので靜かにお部屋の中で過ごした。
鼻が赤くならなければいいが、とも思つてゐる。