狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

『雨月物語』/岩井志麻子

2020年05月30日 23時30分06秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、岩井志麻子の小説『雨月物語』を読み返していました。

 上田秋成の『雨月物語』に岩井志麻子が女性の視点を入れて再編成しています。
 上田秋成の『雨月物語』は読んだことはあるのですがもうすっかり忘れていました。
 こんな時は鳥頭なのが恨めしい。
 なので上田秋成の『雨月物語』とは比較できません。


 ねっとりと美しく妖しい文章。
 情念と妄執の世界。
 強烈な恐さではなく人の想いの強さに哀れを誘いその後にゾッとする物語です。
 岩井志麻子特有の濃い世界ですね。



 昨晩は夢中になって読んでいました。
 面白いですよ。
 お勧めであります。


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『本日は大安なり』/辻村深月

2020年05月28日 23時24分26秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、辻村深月の小説『本日は大安なり』を読み返していました。

 結婚式である企みを実行する双子姉妹。
 結婚式のプランで新婦に振り回されたウェディングプランナー。
 叔母の結婚に誰にも言えない複雑な気持ちでいる男子小学生。
 秘密を抱えたまま結婚式の当日を迎えた新郎。
 一つの結婚式場で同じ日に4つの結婚式が行われるのだが……。

 結婚のお話です。
 4つのエピソードが代わる代わる語られていきます。

 あるお話はバットエンドにしかならないと思いましたが、(一応)ハッピーエンドでしたね。



 面白いですよ。
 お勧めであります。

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『舟を編む』/三浦しをん

2020年05月26日 23時30分29秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、三浦しをんの小説『舟を編む』を読み返していました。
 
 主人公で変わり者でいつも周囲から浮いていた馬締光也は玄武書房の第一営業部から辞書編集部に異動となる。
 辞書編集部では新しい辞書『大渡海』の編纂作業が始まっていた……。

 辞書作りのお話です。でもって、お仕事のお話です。


 もう少しボリュームがあったほうがよかったかなぁ? 
 あ、でも、厚い本は売れにくくなる傾向があるから仕方なかったのかなぁ? 

 一つのことに熱中できる人は羨ましいなぁ、と思った次第にございます。

 面白いですよ。
 楽しめました。



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私が大好きな莫迦小説。

2020年05月25日 23時54分02秒 | 小説・本に関する日記
 今回の記事は、今まで私が読んだ愛すべき莫迦小説の中で特に印象に残っている莫迦小説を紹介してみようという趣向でございます。
 因みに莫迦小説とは、私が抱腹絶倒し大爆笑した小説のことを私が勝手に莫迦小説と呼んでいるだけで侮蔑の意味はありません。褒め言葉として使っております。


 最初にご紹介するのは、エロ神様で莫迦小説の神様で私の心の師、森奈津子先生の短編小説『哀愁の女主人、情熱の女奴隷』であります。
 こんな小説があってよいのだ。と私の常識を一変させた怪作にして超傑作の短編。
 丁寧で上品な表現でエロくて下品でぶっ飛んだお話となっていて大爆笑できる小説でありますよ。

 次にご紹介するのは、奇才・森見登美彦先生の『恋文の技術』でございます。
 書簡体小説で主人公の守田一郎が友人・知人・妹達に出した手紙で構成されています。格調高い文章で阿呆な青年を表現していて面白いです。
 無駄にプライドが高くて小狡くて器が小さくてスケベで負けず嫌いででも真面目で純朴で意外と優しい主人公が自分をよく見せようと頑張っている文章の可笑しさを醸し出していて読んでいて笑ってしまいます。

 次に紹介するのは、天才・筒井康隆先生の『朝のガスパール』です。
 新聞掲載で書かれた作品で読者からの要望に応えて物語が進むという読者参加型のメタ・フィクション。
 読者の反応を読み切った筒井康隆先生が繰り出す怒涛の展開は大爆笑でありました。

 次に紹介するのは、おかもと(仮)先生の短編小説『空想少女は悶絶中』と『空想少女は潜伏中 腐れ維新』です。
 ちょっとしたことを大仰に表現して緊迫感を生み出して笑いを生み出しています。
 乙女達が大暴走。 
 言葉の選び方がとても面白い作品でありますよ。

 次に紹介するのは、夢枕 獏先生の小説『わたくし未婚の地の文でございます』です。
 文学のパロディ小説です。
 語り部の主人公がどうなっちゃうんだろ? と、はらはらどきどきなお話なのです。
 転落していくお話なのですがとても面白いのです。

 次に紹介するのは、大原まり子先生の『処女少女マンガ家の念力』です。
 少女マンガ家とその妹と妹の恋人や少女漫画家の飼い猫や編集者などが繰り広げるハチャメチャな日常のエンターテイメント連作コメディ短編小説集です。
 ライトでポップでぶっ飛んでいます。
 世界はこんなに楽しい! と、思わせる楽しい小説です。

 次に紹介するのは、万城目学先生の『プリンセス・トヨトミ』です。
 万城目学先生といえば法螺話。『プリンセス・トヨトミ』はおそらく万城目学先生の作品の中で一番大きな法螺を吹いている作品です。
 大笑いするというより法螺を楽しむお話。
 万城目学先生の法螺の吹き方はとても面白いです。

 次に紹介するのは、森 博嗣先生の『どきどきフェノメノン A phenomenon among students』です。
 森博嗣先生といえば冷徹な論理のミステリーで有名ですが、ロミ・品川が暴走するZシリーズのような莫迦小説も書いています。
 『どきどきフェノメノン A phenomenon among students』は大学を舞台にしたラブコメディです。
 変人がてんこ盛りでもりもり出てきます。

 次に紹介するのは、神林長平先生の『死して咲く花、実のある夢』です。
 神林長平先生は、シリアスモードの小説と能天気モードの小説があるのですが、『死して咲く花、実のある夢』は神林長平先生の能天気モードの小説の代表格です。
 3人のキャラクターが不可解な状況に陥って何が起こっているのかを議論するのですが、その議論がまるで漫才みたいにボケとツッコミの応酬なのです。
 そんな能天気な議論から能天気な結論に至り行動して検証してまた能天気な議論が行われる。とても面白いです。

 最後に紹介するのは、京極夏彦先生の『どすこい。』です。
 京極夏彦先生の作品は、妖しく蘊蓄たっぷりで重厚な作品が多いのですが、『どすこい。』は悪ふざけ度が全開のパロディ短編小説集です。
 数々の名作をネタにして笑えるお話にしています。
 繰り返しネタが大好きなお方は大爆笑すると思います。



 如何でしたでしょうか?
 もし今回取り上げた作品の中で気になる作品があったなら是非是非読んでみてください。
 楽しめると思いますよ。

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『ホルモー六景』/万城目 学

2020年05月24日 23時22分04秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、万城目 学の小説『ホルモー六景』を読み返していました。
 『鴨川ホルモー』のサイドストーリー6編が収録されている短編集です。
 『鴨川ホルモー』では名前だけとかほんのちょっとだけ出ていた人とかに焦点があてられていたり、有名人が出ていたり、『鹿男あをよし』とリンクしていたりと、楽しいです。
 一風変わったファンタジー『鴨川ホルモー』の裏側を描いた短編集。
 面白いですよ。
 楽しめました。



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『南極。』/京極夏彦

2020年05月20日 23時29分41秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、京極夏彦の短編小説集『南極。』を読み返していました。
 パロディ短編集『どすこい。』で出ていた南極夏彦を主人公にしたパロディ短編集です。
 ギャグ小説です。

 コアな京極夏彦のファンにとっては、『どすこい。』と『南極。』は試金石となる短編集みたいです。
 「こんなのは京極夏彦の作品と認めない!」と床に叩きつけて忘れてしまうか、「こんな作品もあっていいんじゃない」と鷹揚に認めるか、「これこそ京極夏彦の作品だ!」と熱狂するか、コアな京極夏彦のファンはこの3者に分かれるみたいです。
 集英社は、京極夏彦の才能を全力で無駄に使ってるなぁ……。
 好いですよ良いですよ。

 私は妖しくて怖い京極作品も好きだけど、こんな作品も大好き。

 ラストの赤塚不二夫とのコラボ作品はメタな描写が満載で大好きですよ。
 面白かったです。



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『ビアンカ・オーバースタディ』/筒井康隆

2020年05月17日 23時12分30秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、筒井康隆の小説『ビアンカ・オーバースタディ』を読み返していました。

 高校生で超絶美少女のビアンカ北町は生物研究部の部員で、ウニの生殖の実験に飽きて下級生の精子を実験に使ってしまうほどの好奇心旺盛で生物学の研究に熱心。
 放課後は危険な生物学の実験研究にのめりこんでいた。
 ある日、彼女が生物研究部の部室にいると彼女の前に『未来人』が現れて……。

 名作『時をかける少女』の主人公の性格をラノベ風にぶっ飛んだ性格にして展開をラノベ風にしてラノベを読んでいる人達に対して少し皮肉を効かせると『ビアンカ・オーバースタディ』となる、ってことでしょうか。

 ラノベのレーベルで出版してラノベ読者の方達の求めるものを出すふりをして引っくり返す。
 清々しいほど確信的な悪ふざけであります。
 面白いですよ。
 楽しめました。



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『宇喜多の楽土』/木下昌輝

2020年05月16日 22時59分09秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、木下昌輝の小説『宇喜多の楽土』を読み返していました。

 父親である宇喜多直家の死により、秀家は宇喜多家を継ぐ。
 日本を統一しようかという勢いの織田家は織田信長の横死で重臣達が主導権争いをしている最中。
 宇喜多家は、西の毛利家から圧迫を受けていて織田家の主導権争いを制しつつある羽柴秀吉を頼りにしている。
 しかし秀吉と毛利家は同盟締結を考えているという情報が宇喜多家に入る。
 秀吉と毛利の同盟が結ばれると、宇喜多の領土は毛利に与えられることになる可能性があった。
 秀吉との会見に臨んだ数えで11歳の秀家はそこである人物と出会う……。

 宇喜多秀家の義を描いた小説です。




 私が暮らしている倉敷美観地区周辺の多くは昔は海でした。
 なので倉敷には海に関係する地名が多く神社も海の神様を祀る神社が多いです。

 倉敷美観地区周辺から瀬戸内の海岸線まではそこそこの距離があり、安土桃山時代から始まった干拓事業で干拓された土地は広範囲です。
 かつては海岸線はもっと北にあり、昔の倉敷美観地区周辺は陸地もあったでしょうが小島が点在する海で、岡山の中心地は今の岡山市や倉敷市ではなくもっと北にあったということになります。

 岡山の中心地である岡山市は宇喜多氏が本拠地としたことで発展をはじめました。
 倉敷市も宇喜多家の干拓事業をはじめたからこそ今の繁栄があります。

 宇喜多家の改易で宇喜多家が治めていた地はバラバラに分割されました。
 それ故に岡山県は県民がまとまるシンボルが少ない地となりました。
 旧吉備王国の地は常に権力者達によってバラバラに分割されて相互に監視し合う体制にさせられてきたと言えます。


 
 宇喜多秀家は、秀家の父親・宇喜多直家のような恐ろしい智謀で畏れられるような人物ではなく、心優しき貴公子。
 父親の真の理想を受け継ぎ、領民を想い、幼い頃から兄弟のように育った秀吉の養子達を想い、前田利家の願いを受け継ぎ、秀吉や家康と対峙する。
 時代の流れに抗った宇喜多秀はどうなるのか?
 結末は史実から分かっています。
 その結末にどのようにして至ったのか? を描いています。

 面白いですよ。
 お勧めであります。


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『ハーモニー』 /伊藤計劃

2020年05月05日 17時48分53秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、伊藤計劃の小説『ハーモニー』を読み返していました。

 高度な医療経済社会が築かれた超管理社会の未来。
 人はナノテクノロジーで完璧に管理されていて病気は存在せず老いも存在しない。
 しかしそれ故にプライバシーも存在しない。
 全てが管理された世界。
 そんな世界で、同時刻に互いになんの関係もない6582人の人間が自殺を計る事件が起こる。
 WHOの監察官・霧慧トァンはその事件の背後にかつて自殺したはずの親友の影を見る……。
 人類の最終局面に現れるユートピアとは?

 この作品は、第40回星雲賞(日本長編部門)と第30回日本SF大賞を受賞しています。




 争いの無い世界を出現させる為に、全人類を最適化された行動をとる感情を持たない意識の無い状態にする。
 人が人為的に進化するならばその方向になるのかもしれません……。しかし……それは人間と言えるのでしょうか?

 作家・伊藤計劃が死を見詰めざるを得なくて、理想の高度医療社会を幻視して、でもそんな理想と思える社会が本当に出来たとしたならと考えて……。
 目の前に迫る現実を見詰めざるを得なかったので綺麗事のその向こうにあるものを見詰めた結果……。
 壮絶で美しく悲しく怖ろしい超傑作が生まれました。



 意識とは何か?
 魂とは? 進化とは? ユートピアとは?
 そんなお話です。
 全てがフラットな世界に向かう美しい恐怖。

 ラストは意外でありました。
 無に還っていく怖ろしく寂しく静かで美しいラストであります。
 う~む。そんなラストにしちゃうんだ。ってラストでありました。
 もしかすると涅槃寂静と呼ばれる状態は或いは彼岸とは、この物語の最後に現れてくる世界のようなものかもしれない。

 とても面白いです!
 お勧めであります!


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『西城秀樹のおかげです』/森奈津子

2020年04月27日 22時50分36秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、森奈津子の短編小説集『西城秀樹のおかげです』を読み返していました。
 私は森奈津子先生の作品は、SF与太話を集めたアンソロジー『SFバカ本』に収録されていた『哀愁の女主人、情熱の女奴隷』がファーストコンタクトでした。
 森奈津子先生の小説は「電脳娼婦」も好きです。
 「電脳娼婦」の後書きのSF論は超秀逸。面白いです。


 この『西城秀樹のおかげです』は抱腹絶倒のエロ&SFの短編集。
 収録されている作品は、「西城秀樹のおかげです」、「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」、「天国発ゴミ箱行き」、「悶絶! バナナワニ園!」、「地球娘による地球外クッキング」、「タタミ・マットとゲイシャ・ガール」、「テーブル物語」、「エロチカ79」の8篇です。




 私は莫迦小説が好きで色々と莫迦小説を読んでいますが、森奈津子先生の短編「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」があまりにも衝撃的過ぎて、その短編を読んで以来、私は森奈津子先生を莫迦小説界の神様と崇め奉っています。
 なので、神様の作品は本屋さんで見つけ次第買うことにしています。
 後で買おうと思って見逃したら次に行った時に無かったというケースが多いのです。
 好みの作家さんの作品は見つけたら即買いが鉄則です。

 こんな小説があってよいのだ。と私の常識を一変させた怪作にして超傑作の短編集です。
 抱腹絶倒の莫迦話が詰まっている作品です。
 お勧めでありますよ。


      
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『聖なる怠け者の冒険』/森見 登美彦

2020年04月22日 22時54分11秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、森見登美彦の小説『聖なる怠け者の冒険』を読み返していました。

 社会人2年目の小和田君は休日は怠惰に過ごすことを頑固に守るという信念を貫き通す怠け者。
 休日の土曜日のある朝。目が覚めると彼は小学校の校庭の真ん中で椅子に縛られていた。
 目の前には狸の仮面を被り不気味な黒マントを羽織った奇怪な男が居た……。
 異様な状況から始まる休日の土曜日を小和田君は無事に怠惰な休日することが出来るのか? 




 宵山の京都を舞台にしたファンタジーでドタバタ劇です。
 『有頂天家族』や『宵山万華鏡』や他の作品にもリンクしていますね。
 デビュー当時の濃い文体から少し柔らかくなっていますが相変わらずの森見節です。
 言葉の使い方が面白いです。

 このお話の主人公は動きません。
 序盤から中盤はこの動かない人物が主人公でお話がまとまるのだろうか? と心配になるほど動かない。
 でもなぜか物語は転がっていく。
 不思議です。

 ふらふらと物語が転がっていくうちに非現実の京都に彷徨いこみ、そこでふらふらしているうちに日常の京都に戻ってくる。
 お馴染みの森見ワールドが炸裂しています。

 面白いですよ。
 お勧めです。


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『シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗』/高殿円

2020年04月19日 22時34分57秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、高殿円の小説『シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗』を読んでいました。

 2012年。ロンドンはオリンピック開催で沸いていた。
 アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、除隊してロンドンに戻ってきた。
 仕事を探しているのだが簡単に見つからない。
 住む場所に困っていた彼女は、友人ミカーラからフラットシェアを勧められた。
 シェアの相手はシャーリー・ホームズという名の女性で、ちょっと変わり者だという……。

 ジョーは、ベイカー街221bで、頭脳と電脳を駆使する顧問探偵のシャーリー・ホームズと同居することになった。
 シャーリーのもとには、女刑事レストレードや政府高官の姉マイキーから難事件が舞い込む。
 ジョーは助手としてシャーリーと現場に赴いてはwebストランド誌に事件の成り行きを(自分たちを男性化して)連載している。

 ある日。
 ジョーの叔母キャロルが結婚するとの報せが入る。
 夫となるヘンリーはデヴォン州アルスターの名家バルカヴィルの子孫で、最近、前当主が亡くなって跡を継ぐことになったという。
 ジョーはバスカヴィルの屋敷に招待されて……。



 『シャーロック・ホームズ』の登場人物を女性に置き換えて舞台を現代にした推理小説で『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』の続編であります。




 エンターテイメントとして非常に上質であります。
 面白かったですよ。
 楽しめました。


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『素足の季節』/小手鞠るい

2020年04月17日 15時46分11秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、小手鞠るいの小説『素足の季節』を読み返していました。

 県立岡山A高校に入学した杉本香織は、隣のクラスの間宮優実と知り合いになり友達になる。
 香織は読書が好きで妄想が好き。中学生の時のある出来事がきっかけで友情や信頼という言葉が信じられなくなっていた。
 しかし優実と出会ったことで頑なな心がほぐされていく。
 ある日、優実は廃部となっていた演劇部を復活させると言い出す。
 そして香織に演劇部を立ち上げるので部員になって欲しいと頼み込む……。
 香織は断っていたのだけれども……。



 岡山県の進学校は私立よりも公立が強くかつては選抜方式もあって他県とは少し趣が違うのかもしんない。
 進学校で県立岡山A高校となるとあそこかぁ。と思いながら読んでいました。
 この小説のモデルとなった高校は岡山県の中では進学校として名高い高校なのです。
 私は倉敷に住んでいたので学区外。私は倉敷の進学校に通っていました。
 私が通った高校は部活動を奨励する変わった進学校であったので、この小説のモデルとなった高校とは少し雰囲気が違います。年代も違うし。
 でも方言は懐かしい。
 今は私の周囲の人達はきつい岡山弁は使わない人が多いのです。
 私も幾つか転々としたことがあるので純粋な岡山弁を使うことができなくなっています。
 昔は岡山弁で喋ってた。懐かしい。

 私の高校時代は灰色だったなぁ。と読みながら思い出してしまいました。
 主人公達は少女なのですが、大人に向けたお話であります。

 面白かったですよ。
 楽しめました。


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『蒲生邸事件』/宮部みゆき

2020年04月15日 21時02分28秒 | 小説・本に関する日記

 昨日の夜は、宮部みゆきの小説『蒲生邸事件』を読み返していました。

 主人公の尾崎孝史は予備校の受験のため滞在していたホテルで火災に巻き込まれる。
 逃げ道を失った孝史はある男に助けられるのだが……。
 孝史が緊急避難的に連れてこられたのは戦前の日本。二・二六事件真っ只中の東京。
 蒲生憲之元陸軍大将の館に身を寄せた主人公達は、館の主の蒲生憲之の自決に遭遇する。
 しかし自決した館の主の手元には何故か拳銃が無かった……。

 第18回日本SF大賞受賞作です。



 序盤の主人公の傍若無人ぶりには頭を抱えながら読みましたよ。
 しかし後半を考えると序盤に主人公が傍若無人なのは物語として正解なのですね。

 二・二六事件最中の戒厳令下にある帝都東京の雰囲気を見事に描いています。
 私は情報としては知っているけどどんな雰囲気だったのかはよく分からない。この物語の雰囲気が正解かどうかは分からないけど成程こうであったかもしんないと思わせるような描写です。

 伏線も見事に回収していて、ラストシーンも秀逸。
 SF色はそれほど強くないのでSFが苦手な人でも大丈夫だと思います。

 面白いですよ。
 お勧めです。


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『わたしは虚夢を月に聴く』/上遠野浩平

2020年04月09日 22時45分57秒 | 小説・本に関する日記
 昨日の夜は、上遠野浩平の小説『わたしは虚夢を月に聴く』を読み返していました。

 探偵の荘矢夏美はある日、友人の妙ヶ谷幾乃から紹介されて女子高校生の少女の奇妙な依頼を受ける。
 依頼人自身が名前も姿も性別すら思い出せない友人を探して欲しいと依頼されて夏美は幾乃と共に調査を始めるのだが……。
 その結果、夏美は世界の真実と彼女自身の正体を知ることになる……。

 ナイトウォッチシリーズ三部作の第二作目です。


 夢か現かってお話で「この物語で現とされている世界も本当に現実?」と何処までも疑うことができます。
 シミュレーターの中にシミュレーターがあって更にその中にシミュレーターが……。

  ブギーポップシリーズの『VSイマジネーター』を読んでいないとわけが分かんなくなるところもありますが、面白かったですよ。
 楽しめました。


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