こんにちは
宮沢賢治の「烏の北斗七星」はこんなおはなし。
烏の新しい少佐は、お腹が空いて山から出て来て、殺された山烏を思い出して、
あたらしい泪をこぼしました。烏の新しい少佐はマジエルの星のいるあたりを仰ぎました。
(ああ、マジエル様、どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界が
なりますように。)美しくまっ黒な烏は、みんなといっしょにきらきらきら涙をこぼしました。
宮沢賢治の「よだかの星」はこんなおはなし。
ある夕方、鷹がよだかのうちへやって参りました。「おい。まだお前は名前をかえないのか。
ずいぶんお前も恥知らずだな。お前とおれでは、よっぽど人格がちがうんだよ。おれの名なら、
神さまから貰ったのだと云ってもよかろうが、お前のは、おれと夜と、両方から借りてあるんだ。
さあ返せ。」夜だかは、どこまでも、どこまでも、空へのぼって行きました。寒さや霜がまるで
剣のようによだかを刺しました。はねがすかっりしびれてしまいました。そしてなみだぐんだ目を
あげてもう一ぺんそらを見ました。これがよだかの最後でした。