高橋のブログ

不定期に..

【カーキ色のユートピア 「リンツ第三帝国ブルックナー管弦楽団」(7)】

2019-04-22 21:24:12 | 日記


※現在のリンツ・ブルックナー管とは別のオーケストラです。
-----------------------------------------
9月5日、いよいよ修道院にてブルックナー生誕記念演奏会が開かれた。指揮は専属のヨッフム。曲目は以下の通り。

ブルックナー  弦楽オーケストラのための間奏曲
ヘンデル    オルガン協奏曲第10番
ブルックナー  交響曲第5番

 オルガンのソロは、ライプツィヒから呼んだラミンであった。ラミンは合唱指揮者でもあり、帝国合唱団
(こちらも管弦楽団同様にドイツ国内からより抜かれたメンバーで構成)の指導も行った。

 そしてこの第5番演奏を皮切りに帝国管弦楽団のブルックナー演奏及び録音は一気に増加する。
第2番、第4番、第6番、第7番、第8番、第9番...。
客演指揮者として、カバスタ、シューリヒト、カイルベルト、クナッパーツブッシュが指揮台に立った。
まさに帝国管弦楽団の輝かしい時代が始まったのである

 戦争の苦境がグラスマイアーの計画を妨げてきた。活動の主眼が録音に置かれるようになったのである。
ヨッフムと録音したブルックナー第7交響曲の録音テープがドイツ全土に放送された。
(なお、この演奏に関しては、フルトヴェングラーが練習に立ち会い、積極的に助言した。)

 しかし、宣伝省ゲッペルスは、この帝国管弦楽団の詳細については秘密として報道を差し控えるよう通達した。
つまり、演奏者不明のブルックナー第7番が、東部戦線の相次ぐ敗退で意気下がるドイツ国民を勇気づけたのである。
(4月、帝国管弦楽団は、当初の予定通り、総統生誕記念演奏会を行ったが、ヒトラーが臨席したかは不明である。
 ソ連軍との死闘で、リンツに来るどころではなかったであろう。ヒトラーはエバと僅かな側近のみで誕生日を祝ったようである。)

その後、5月に帝国管弦楽団は、ウィーン楽友協会で特別演奏会を行った。

1944.5.9:モーツァルト交響曲「リンツ」、ブルックナー交響曲第5番
5.10:べ一トーヴェン「コリオラン」序曲、ブルックナー交響曲第8番

 指揮は共に、ヨッフム。この公演は大成功となり、新聞には熱狂的な論評が載った。
ヒトラーはこの報を知り(あるいは、実際に聴いたか?)、このオーケストラを「ドイツ放送.リンツ.帝国ブルックナー管弦楽団」
であることを発表した。
 (この時の第5番の演奏が、録音として残っている)

(続)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【第21回長野マラソン完走記】 | トップ | 【カーキ色のユートピア 「... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。