高橋のブログ

不定期に..

【カーキ色のユートピア 「リンツ第三帝国ブルックナー管弦楽団」(6)】

2019-04-20 07:25:51 | 日記


※現在のリンツ・ブルックナー管とは別のオーケストラです。

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ウイーン・ブルク劇場の支配人.ミュツテルがワインヘーバーの詩「オルガンーアントン・ブルックナーの魂に」を朗読した。
 そこに10分遅れて、帝国総監督のグラスマイアーが真っ黒なSSに囲まれて現れ、次のように語った。


「アントン・ブルックナー、尊敬すべき音の巨匠よ!あなたと我らが総統.アドルフ・ヒトラー、ならびに大ドイツ帝国を讃え、
いつの時代にも、あなたの作品を世に知らしめることを誓うべく、ここに集まりました。」


 4月4日、ヒトラーがプライヴェートに訪問してきた。

 普段から、自分の本拠地のことを忘れなかった彼はブルックナー修道院とこのオーケストラをとても大切に扱っていたのだった。

 楽譜の調達が始まった。ケルン、ライプツィヒの放送局のオーケストラが活動を休止していたため、これらの所蔵楽譜の大部分が移された。
ヨッフムによるトレーニングは順調に進み、1943年4月20日、つまり予定されていた総統への引き渡しのちょうど1年前には聴衆を限定して演奏会が行われた
(「ジークフリート牧歌等)。

 それ以降、「田園」、シューマンの第1番、ブラームス第1番、「グレイト」などの交響曲を披露する演奏会が開かれたが、ブルックナーの交響曲はまだ取り上げなかった。
それは9月5日、つまりブルックナーの誕生日に開くことにしていたのである。

 この日に、帝国管弦楽団はブルックナーの交響曲の中でも大作中の大作、交響曲第5番を演奏することになった。

(続)
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