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農産品輸送、トラックから鉄道・船に 2024年問題に対応(日本経済新聞)

2023-10-31 | 鉄道
日本経済新聞 2023年7月10日付記事
「農産品輸送、トラックから鉄道・船に 2024年問題に対応」
  

トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」を控え、
農産物を輸送する体制の見直しが進む。

物流や卸売業者は運送手段をトラックから船舶・鉄道に切り替えるなどして
運転手の長距離走行を減らす。
2030年には日本全体で3割超の荷物を運べなくなる恐れがあり、農作物も対策を急ぐ。


青果卸売りの北九州青果(北九州市)は
各産地から農産物が運び込まれる北九州市中央卸売市場内で共同物流拠点を整備する。
荷さばき場や冷蔵施設などを設ける。

これまで産地ごとに対応していた関東・関西方面への出荷品を同拠点に集約する。
2021年7月に新門司港に新設した関東向けフェリーなどを活用して運ぶ。
2023年秋ごろの本格運用を目指す。

北九州青果専務の井手隆徳氏は
「トラック運転手の負担軽減や青果物流通の安定につながる」と期待する。


輸送手段をトラックから貨物鉄道やフェリーなどに転換する動きは
「モーダルシフト」と呼ばれる。
農産品など食品流通はトラック輸送が97%を占める。

2024年4月からは「労働基準法」に基づき、トラック運転手に年960時間の時間外労働の上限規制ができる。
これがいわゆる「24年問題」で、
運転手の負担を減らす環境を整えないと物流に支障が生じかねない。

トレーラーの荷台だけ積めるRORO船やフェリーは対策の切り札となる。
船での移動中はトラック運転手が休息できる。
コンテナだけ船に積んで到着地で別のトラックが引き継ぐ場合にも活用しやすい。


国土交通省は船舶の受け入れ基地となる施設の整備を加速する。
コンテナの位置や到着情報などをデジタルを活用して把握しやすくし、
フェリーで届いた荷物を集める事業者の利便性を高める。
2024年に指針をまとめる。


モーダルシフトには課題もある。
イチゴやサクランボといった青果物は温度調整が必要で形が崩れやすい。
ジャガイモやタマネギなどに比べて鉄道輸送に向かないとされ、
青果物の特性に応じた改善が欠かせない。

全国農業協同組合連合会(JA全農)は2月、
実証実験として佐賀から東京まで鉄道でイチゴを運んだ。
トラックに積めるパレットに4000パックほどのイチゴを載せて、
冷蔵コンテナでおよそ24時間かけて輸送した。

振動を抑える専用パレットはイチゴの形崩れを防ぐのに一定の効果があった。
JA全農の担当者は
「積み込み方といった工夫次第で鉄道輸送の幅を広げられる」と語る。

JR貨物によると、貨物列車26両分は10トントラック65台分に相当する。
鉄道輸送は距離が長いほど輸送コストが下がる。
一度に大量に運べるため運転手不足の解消につながる。
自動車より二酸化炭素排出量も少ない。


農林水産省は3月に果物の物流改善に向けた指針を公表した。
パレットは形状がバラバラだとトラックに積みにくい。
荷物の積み下ろし作業の負担が大きいことから、
指針では大きさや形状の統一基準を示した。


荷主側の意識改革も必要だ。
政府は6月に24年問題への対応策をまとめ、荷主らに物流の効率化を義務づける方針を示した。
フェリーやRORO船の輸送力増強のほか、
船内でのトラック運転手の休息環境の整備を進めると盛り込んだ。

野村総合研究所は1月、
2024年問題に伴うドライバー不足で2030年には全国の荷物の35%ほどが運べなくなると試算した。


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