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音楽大好き男の徒然なる日記

3・11から11年 避難者の人権は画餅か(東京新聞 2022年3月9日付社説)

2023-03-15 | 日記
(ブログ初出:2022年3月19日付)

東京新聞 2022年3月9日付社説
「3・11から11年 避難者の人権は画餅か」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/164497?rct=editorial

ロシアがウクライナに侵攻し、多くの避難民が出ているというニュースは、
根本久美子さん(44)にとって人ごとではありません。
「自分ではどうしようもない大きな力に巻き込まれ、
この戦争がいつ終わるとも、いつ故郷に帰れるとも分からない」

その理不尽さに11年前の福島の人々の姿が重なるからです。
根本さんは、東京電力福島第一原発から30キロの福島県沿岸の地域に住んでいました。

2011年3月、
爆発した原発建屋から煙がわき上がる瞬間を見た根本さんは放射能の恐怖におびえながら県境を越え、
約250キロ離れた新潟市に避難します。

そこで立ち上げたのが、避難者を支援する団体「スマイルサポート新潟」です。
支援対象は大半が自分と同じように母子だけで避難した自主避難者でした。


◆コロナ禍、生活苦の悲鳴
国が定めた避難指示区域外からの自主避難者には、原発周辺の双葉や大熊、浪江町など
強制避難地域の人たちのような東電からの賠償はありません。
生活費は持ち出し。
夫は妻子に仕送りするため福島に残って働く。
切り詰めた二重生活に耐えてきた人たちも、コロナ禍で一気に困窮しました。

24時間対応の根本さんの相談電話には助けを求める連絡が頻繁に入ります。
「食べるものがなくて」
「仕事がなくなった」
「コロナで陽性になった」。

皆、身近に頼れる人がいないのです。

寄付で集めた食糧を配ったり、送ったり。
月数件だった相談は多い月で50件以上に増えました。

命が危ないと感じれば、根本さんは夜中の雪道でも駆けつけます。
活動には福島県から助成を受けていますが、支援物資の送料も膨らんで資金難です。
日本中がコロナ禍に苦しんでいますが、
原発事故で壊された生活が、さらに追い詰められていることは分かってほしい、
と根本さんは訴えます。

福島県によると、原発避難者はピーク時に県内外で約16万4,000人いましたが、
今年3月時点では約3万3,000人です。
新潟県への避難者も約7,000人から約2,000人に減りました。
自主避難者の統計はありませんが、スマイルの支援先でも帰還する人が増えています。

背景にあるのは、放射線量低下を理由に福島県が2017年3月、
災害救助法に基づく借り上げ住宅の無償提供を打ち切ったことです。
生活費や教育費に加え、新たに家賃まで負担することは難しいとして、避難をあきらめたのです。

自主避難者が古里を離れたのは放射能の影響を避けたかったからです。
根本さんの故郷の家も、裏山が除染されず放射線量は高いまま。
やむなく新潟に中古の家をローンを組んで買ったものの、
その選択が正しかったのか。
根本さんは「いつも先が見えなくて、手探りです」と苦笑します。


◆社会の冷淡、政治が助長
原発事故がなければ苦労することもなかった自主避難者に、日本社会は冷淡です。

「勝手に避難した。困窮は自己責任」
「いやなら福島に帰れ」。
心ない言葉がネット上にあふれます。

「避難するならご勝手に」と言わんばかりに自主避難者を顧みない
政府の姿勢が、社会の冷たさを助長してはいないでしょうか。


福島県は一部地域を残して避難区域を解除し帰還を促しています。
撤去方針が示された放射線量測定のモニタリングポストは街中に存続することになりましたが、
事故から11年を経ても避難を続ける人は、「復興」を掲げる政府には不都合な存在なのでしょう。

原発事故の翌2012年には、当時野党だった自民党も含む全会一致で
「子ども・被災者支援法」が成立します。
無用な被ばくを免れる「避難する権利」が明記された画期的な法律でしたが、
政府は限られた支援策しか基本方針に盛り込まず、同法は骨抜きにされます。

逃げる権利を担保する仕組みもつくられず、放置されたままです。

人権は、それを守る仕組みが伴わなければ、絵に描いた餅にすぎません。
避難した選択を自己責任と片付け、何も公的に支援しないのでは、
避難する権利が「ある」状態とは言えないのです。
 
国連の人権機関も、古里から避難する、しないにかかわらず、
住民の被ばくを避ける方策をとるように日本政府に勧告しました。

災害多発列島に住む私たちは、いつ避難者になってもおかしくありません。


そのとき人権は守られるのか。
自主避難者の苦境は、私たちの行く末をも映し出しているように思えてならないのです。


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「忘れるな」―――、
これは言っておきたかった。


「今この国で進んでいるのは貧困と格差の拡大。
 非正規雇用を増やし、株価バブルを作ることで今や底無し。
 そこにこの物価高。
 家計はどんどん追い詰められ、バブルも破裂寸前。
 10年かけて滅茶苦茶になった経済を再生するため何より重要なことは、
 自民党の利権政治からの脱却。
 『生活が第一』の政治の実現。」

「この10年で国民の生活は豊かになっただろうか?
 雇用は安定しただろうか?
 平等な社会になっただろうか?
 企業は成長しただろうか?
 子どもの数は増えただろうか?
 年金も医療も安心できるものになっただろうか?
 地方は活性化しただろうか?
 もう10年である。
 『やってるふり』の政治に必要なのは鉄槌である。」


「腐った政治を放置すればいずれ国全体がぼろぼろになる。
 国民には『やってるふり』で必要な対策はせず、
 その一方で自民党のお友達だけが甘い汁を吸う。
 だから全てが悪くなる。
 それでも多くの国民が何となく現状維持がいいというなら、
 この国はゆでガエルのようになってしまう。
 刮目しなければならない。」


「覚えているだろうか。
 総理が公金を使った政府の花見で後援会800人をもてなした。
 総理の親友優遇のため制度自体が変更された。
 総理案件の隠蔽改竄で善良な公務員が自殺に追いやられた。
 総理長男企業と総務省幹部が癒着していた。
 総務官僚は1人7万円の接待を受けた。
 いま問われているのは国民の倫理観。

   小沢一郎 さんのツイートより。


「《政府が、被災者の心のケアやコミュニティー形成などの
 被災者支援予算を2年間で半分近くに減らすなど、
 支援策の縮小・打ち切りをすすめていることは重大。
 被災者支援、暮らしと生業の再建に必要な予算を確保することをはじめ、
 国が最後まで責任を果たすことを強く求める》」

   志位和夫 さん(日本共産党委員長)のツイートより。

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