さしあげる。
「・・・何です?」
ゲーム機です。開くとこうなる。
「あ!これ3DSですね!ご主人がたまに遊んでるヤツ!」
んー、そうね、たまに私が遊んでるのは3DSですが、これはちょっと違うヤツね。惜しいですけど。
「・・・違うんですか?・・・・・・え、パチモノ?」
や、パチモンじゃないです!そんなん買ってこない!・・・これは2DSってヤツですね。
「・・・2?」
2です。
「それは"3"とどう違うんですか?」
3DSの最大のウリだった裸眼立体視が搭載されてません。その分、安くて軽くてバッテリー長持ち。
「最大の魅力を失った3DSですか・・・。」
と言っても、立体視を活かしたソフトが発売されてたのはハード展開初期の頃だけだし、そもそもてぃなさん自身が立体視に対応してない気がするんですよね。
「どういうことですか。バカにされているのですかね、私がそんなに低スペックだとでも?」
いゃ、てぃなさん絶対に画面にめっちゃ近づいて遊ぶことになるじゃない?・・・立体視表示の画面を間近で見ても、立体視にならないじゃないですか、チラチラするだけで。
「あー・・・そういうことですか。・・・・・・あれ?この"2"って、私が遊ぶ想定で買ってきたんですか?」
さしあげるって言ったじゃないですか。
「あ、じゃあ、もらいますー。ありがとう、ご主人。くるしゅうない。」
お喜びいただけたなら何よりです。
「ね、ご主人。これ電源はどこで入れるんですか?ボタンどこです。」
手前のヘリの右側ですね。オレンジのボタンあるでしょ。
「あ、これですね、オレンジのボタンですね。」
そうです。オレンジのボタンです。
「・・・ねぇ、ご主人。何か、ゲームが入っ」
初期設定は終わらせてあります。充電も満タンにしてあります。電源入れてすぐ遊べますよ。
「そうじゃなくて、ご主人。ゲームが入ってないってなってますけど・・・あれ?ソフト無いんですか?」
ソフトは何を買っていいか分からなかったからね、ダウンロードで買おうと思って・・・5000円分のプリベイドを用意してある。
「それは、ずいぶんと太いですね、お腹が。最近すごい目立ってきましたもんね。」
言わないで、見ないで。
「ダウンロードでゲームが買えるんですね、今は。」
今はっていうか、何年も前からそういうマーケットができてますね・・・。
「それは私が選んで良いんですか?買うゲーム。」
もちろんですよ。5000円もあれば選べる幅は広いと思うんで、とりあえずストアを眺めてみましょ。
「んー・・・じゃあ私、アレが遊びたいです。ポケモン、昔の。ご主人が遊んでるのと同じヤツ。」
え、私が遊んでるヤツ?本当に昔のポケモンだよ、アレ。初代よ?
「ご主人が遊んでるところ、たまに見てますけど・・・アレなら私もできそうかなって。だって、歩いて、技を選ぶだけでしょ?」
本ッ当~にザックリ言うとそうだけど・・・語弊があるな、それは。まぁ、たしかに難しい技術の必要なゲームではないね。
「でしょ?アレにします。」
アレかー・・・。
「・・・何か問題あります?」
いゃ・・・アレにするなら・・・。
あるんだよな・・・。
「・・・ん?どういうことです?」
いゃ、プリベイド使わなくても、ソフトが既に買ってあるみたいなものというか・・・ダウンロードの引換券みたいなものがあるんですよ、ここに。
「ふぅん・・・・・・3つも?」
赤・青・黄色、好きなものを選ぶが良いぞ。
「どう違うんですか・・・というか、ご主人と同じのは何色なんですか。」
私が遊んでる緑は、ここにはないです。とはいえ、基本的には中身にほとんど差はないので、実質的には"同じソフト"と言って間違いではないかと。
「ふぅん・・・。」
あと、希望としては、私とは別のバージョンを遊んでほしいです。捕まえられるポケモンが少し違って、別の色でしか出てこないポケモンがいるんですよ。
「へぇ。」
せっかくなんで、交換しましょうよ、そういうの。協力してポケモンたくさん集めましょうよ。
「・・・まぁ、そういうことなら。んー・・・何色にしようかなぁ・・・。」
あ、赤を選んでいただけると、私の緑と合わせて全部のポケモンが捕まえられるんですけ
「黄色にしますね。」
あ、はぃ。・・・ちなみに、どうして?
「私が知ってるポケモンがピカチュウしかいないからです。だったらもう、ピカチュウの描いてあるのを選ぶしかないな、と。」
なるほど。じゃあ、これダウンロードしてきますね。
「5000円のほうは、私が他のゲームを欲しくなる時まで取っておいてください。」
いゃ、だったらアレは私が使います。他のゲーム欲しくなってるんで、私。
「ちょ、何ですか、それ。どうせご主人、買っても遊ぶ時間ないでしょ!」
だって欲しいんだもん!・・・てぃなさんが他のゲーム遊びたくなったら、その時はまたプリベイド買ってきますよ。
「あ、それならいいです。よろしくお願いしますねー。」
「・・・ところで、今年はケーキは無いのですか?」
ありますよー。
「ゲームのダウンロードしてる間に、ケーキ食べましょうよ。」
そんなに時間かかりませんよ、すぐだよアレ。
「私が食べたいと申し上げているのですが。」
あ、はーぃ。用意しますねー。
「いつものケーキと・・・初めて見るケーキですね。」
いつものモンブランと、マスカットのタルトです。
「またこんな大きいの2つも買うんですもんね・・・。」
美味しそうだったんだもん・・・。
「飲み物は?」
野菜ジュースがあります。
「・・・それは初めてですね、ケーキと一緒に出てくるのは。」
じゃ、私はダウンロードしてきますね。
「では私は、ケーキを食べ散らかしておきますね。」
散らかさないでくださいよ・・・。
「・・・あ、マスカットこれ、皮つきですね。取らなきゃ。」
皮ごと食べれるでしょ?それ。
「ご主人はそうかもしれませんけど、サイズ差を考えてください。私の口で皮ごと食べたら、皮の味しかしなくなります。」
あー、そういえばそうね。
・・・ダウンロード終わりました。ちょっとケーキ食べてきます。
「結構かかったじゃないですか、時間。」
ハードのアップデートから始まっちゃったからね・・・。
「画面に箱が映ってますけど、これはどうすればいいんですか?」
下画面の"あける"ってトコに触ると、箱から出てくるんですよ。ダウンロードしたゲームが。
「触る?・・・画面を直接触ればいいんですか?」
です。・・・て、てぃなさんホントに食べ散らかしてるんだけど。マスカット美味しかったー?
「おいしかったですよー。えぃ。」
「あ、開いた。」
そしたら、もうそのゲームで遊べますので。
「ポケットモンスター ピカチュウ、1998年発売・・・。」
20年以上前なのよね・・・。
「20世紀ですね・・・。モンブラン美味しいですか、ご主人。」
うまいス。
「これ、どうやって始めるんですか。」
遊びたいソフトにカーソル合・・・ってるか。なら、Aボタンで選択決定。
「Aボタンってどれです。」
Aって書いてあるボタンです。右側の、一番そっち側のボタン。
「あ、始まりましたね。うわー・・・白黒ですね、これは20世紀のゲー今ピカチュウって言った!今ピカチュウがピカチュウって言った!」
そ、ピカチュウが"ピカチュウ"って鳴くんですよ、ピカチュウバージョンのピカチュウは。
「たしか、ご主人が遊んでるポケモンでは、ピカチュウの鳴き声って"めりりりょ!"みたいな感じでしたよね。」
何て言ったの、今。・・・本来、ピカチュウは"ピカチュウ"って鳴かないんですよ。アニメ版と、このピカチュウ版と・・・あと、まぁ、最新作とかでは鳴くみたいですけど。
「私がよく知るピカチュウはピカチュウって鳴くピカチュウなので、馴染みがあって安心しますね。」
逆なんだよなー、私・・・。
「・・・で、これはどうすればゲームが始まるのですか。」
Aボタンで先に進みます。
「Aって書いてあるボタンですね。」
ちなみにBって書いてあるのはBボタンです。
「・・・あ、これ、もしかして主人公ですか。これ私ってことですか?・・・あれ、男の子?」
えぇ、男の子ですね。
「男の子だけですか?女の子は選べないんですかね・・・。」
選べないですね・・・。主人公を自分って想定しないで、まったく別のキャラクターって考えても良いと思いますけど。
「でも名前を決められるんですよね。・・・せっかくなので、自分にします・・・けど・・・。」
あ、名前入力、私がやりましょっか?
「ご主人に任せると"てぃなさん"って入れるのでイヤでーす。」
いやいゃ、大変かなーって。
「ん、大変、ですけど・・・てー、て、て、て・・・"て"はどこですか。」
そこそこ、あ、そっちじゃない。あ、それそれ。
「いー、い、い、い、いー・・・小っちゃな"ぃ"・・・あれ?・・・・・・"い"じゃなくって、大きいほうじゃなくって、小さい・・・あれ?んぇ、あれ?」
あ・・・そっか、小さい"ぁぃぅぇぉ"って入力できない。できませんわ、"てぃな"って名前は使えませんね・・・。
「えっと、じゃあ・・・ふぇ?ん、じゃあどうすればいいんですか・・・。」
妥協して"ていな"で手を打つとかですかねー・・・。
「えー・・・・・・しょうがない、ですかね・・・。"ていな"かぁ。」
ゲームの仕様なんで、仕方ないって割り切りましょう。・・・意外と、字面はそんなに差がないから。大丈夫ダイジョブ。
「君の名前は"ていな"というのか。いいえ、違います。」
オーキド博士に文句言わないの。
「あ、もう一人出てきた。ライバル・・・の名前も私が決められるんですか。ライバルって何です。」
ゲーム中、ちょくちょく出てきて、主人公と戦うことになる子ですね。言葉の通り、ていなさんのライバル。
「ふぅん・・・なら、"ごしゅじん"にしますね。」
え、この子"ごしゅじん"って呼ばれることになるの。
「ん、ゲーム始まった!・・・の?これはもう、主人公を動かせるの?」
十字キーで動けますね。
「見慣れた画面って感じしますね。ご主人が遊んでるので、よく見てる画面。・・・で、どこに行けばいいんでしょう、これは。」
階段あるでしょ、右上のほう。・・・研究所までナビしますわ。
「研究所?」
当面の目的地。
「ポケモンもらえるって言ってる。・・・そんな簡単に生き物を自由に・・・命の価値が軽い。」
それを言い始めると、このゲーム遊べなくなるから・・・。
「あ!ごしゅじんに私のポケモン取られた!何このご主人、生意気ですね。」
そういう子なんだ!私とは別人なんだ!許してやってくれ!
「・・・あ、ピカチュウもらえた。ならいいです、許してやります。」
名前どうするの?
「ピカチュウにも名前つけられるんですか?・・・あ、ホントだ、つけますかって聞かれてる。」
「せっかくだから名前つけましょう。・・・そういえば、ご主人もポケモンに名前つけてましたもんね。」
捕まえたポケモン全部に名前つけてますよ。そういう遊び方してる。
「どうしようかな・・・ピカチュウだから・・・ピカ、ピカ・・・。」
「ピカちゃん。」
悩んだ割には。
「何ですか。文句でもありますか。」
いいえー、かわいいと思いますよー。
「よし、ではここから、ピカちゃんと私の冒険の始ま・・・ご主人がケンカ売ってきましたけど。生意気ですよ、このご主人。」
そういう子なんだ、私じゃないんだ。これから先、何度かケンカ売ってくるけど許してやってくれ。
「あー、初めてのバトル始まっちゃいますか、この流れは。」
始まっちゃいますね。セーブしてないから、ここで負けると最初から・・・にはならないんだっけ、負けても大丈夫なんだったか。
「え、どっち・・・?」
「がんばりましょう、ピカちゃん。負けられませんよ。・・・相手のポケモンは、これは犬ですかね。」
犬かな、どうだろ。・・・・・・・・・ん、あれ?あ、もしかして、間違ってるんじゃないかな、これ。
「何の話ですか。」
ピカチュウの名前・・・"ピカちゅん"になってない、これ。
「え・・・・・・あ・・・あ、ホントだ・・・何で?」
なん・・・んー、入力ミスじゃないですかね・・・。
「名前のつけなおし、できますよね?」
できるけど・・・結構ゲームを先に進めないと、できるようにならない。
「へぇー・・・ふぅーん・・・・・・。」
最初からやり直す?今なら巻き戻りも少ないけど。・・・全然進んでないから。
「・・・まぁ、このままでいいです。"ピカちゅん"でもかわいいし。」
ですか。
「それで、戦い方が分からないのですが。」
"たたかう"をAボタンで決定して、使える技が表示されるので、十字キーで選んでAボタンで決定です。
「Aって書いてあるボタンですね。」
Xって書いてあるのはXボタンです。
「ピカちゅん!でんきショック!」
ばりばりばりー。
・・・勝ちましたね。
「勝ちました。」
おめでとうございます。
「・・・・・・1つ、分かったことがあります。」
何でございましょ。
「あ、その前にセーブのしかた、教えていただいていいですか。忘れそうなので・・・。」
Xボタンでメニュー開いて、レポートを選んで、そうそう、それがセーブ・・・で、何が分かったんですか?
「すっごぃ疲れる・・・。これで遊ぶの、疲れますね。十字キーとAボタンの間を、こう、何度も往復して・・・。」
PSPの時もそうだったじゃないですか。あの時は・・・最終的にプチマスィーンと協力してプレイする形に落ち着いてましたっけ?
「今回もそうなりますかね・・・。PSPよりかは、幾分か遊びやすいですけど。十字キーとボタンの間の距離も狭いし、素早い操作も必要ないので。」
ゆっくり遊んでいきましょう。疲れない程度に。
「ご主人に追いつきたいですね。まだクリアしてないんでしょ、ご主人のポケモン。緑でしたっけ?」
クリアしてませんけど・・・もう結構近いですよ、エンディング。先にクリアしますよ、たぶん。
「え?・・・待っててくださいよ、私が追いつくまで。」
え、ヤダー・・・。早くエンディング見たいですー・・・。
「何このご主人、白状。」
てぃなさん、今のペースだと何年後になるか分からないじゃないですか、追いつくのなんて。
「何年先でも一緒にいますよね、私とご主人。」
そりゃ、いますけど。
「では、待っててくださいますよね。」
ヤですー・・・。
「約束しましたからね。」
してないしてない。全然してない。
「・・・ちょっと、今日はこれでゲーム終わろっかなーって思うんですけど・・・。」
てぃなさんのペースで進めてけばいいと思いますよ。
「ご主人、待っててくれないみたいですけどね。」
私は私のペースで遊びますので。
「こういうご主人なんですよねー・・・。」
知ってるでしょ?
「知ってますけどー。」
(懐かしすぎるゲームですが、良い物はいつ遊んでも良い。良いっていうのは、そういうことだ。)