湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

かもめ食堂

2006年11月20日 | 日常生活
 昨夜、寝る前に『かもめ食堂』という映画のDVDを観た。

 群ようこ原作・荻上直子監督の静かで淡々としたこの映画はすでに友達の部屋で一度観ているのだけれども、ここ数日なんとなくこの映画のことを思い出すことが多かった。本にしても映画にしてもこういうことはたまにある。読んだそのとき、観たそのときは面白かったということでひとまず終わる。けれども少し時間を置いてから、そこに漂っていた何かにあらためて気持ちがひきよせられる。心がそれを感じとるまでに時間がかかるような種類の魅力というものもきっとあったりするのだろう。

 オープンしたもののなかなかお客さんがやって来ない日本の家庭料理を出す小さなお店。舞台はフィンランドである。店主は武道家の父に育てられたという小柄な日本人女性。ふとしたことで知り合ったちょっとわけあり風の二人の日本人女性が寂しい客入りのそのお店を手伝うことになる。そこでの彼女たちのやりとり、そして少しずつだけれどもやってくる地元フィンランドの客?たちとの地味なやりとりが何ともおかしく、心地良く、そしてあたたかい。

 お客さんがなかなか増えないあいだも彼女は泰然とした態度を失わない。見事なくらいに凛としている。その姿はすごく自然なのだけれども、目をこらせばその小さな彼女の体に秘めた思いがしっかりと詰まっているのがほの見える。そしてある日その思いが通じる瞬間が訪れる。それは日常の延長といったなんてことのない小さな瞬間ではあるのだけれども、彼女の思いが昇華するのには充分な、確かな瞬間だったように思う。

 地味な映画だとは思う。けれどもそこには何度でも味わえるおかしみやあたたかみといったものがあると僕は思った。これからの季節に観る映画としてはなかなか悪くないと思うのでもし興味を持たれた方は是非。

 ところでせっかくなので本のほうも読んでみたいと思って先日図書館に予約を入れたんですけど、鎌倉藤沢の両図書館ともにすでにそうとうな予約数でした。というわけで購入に心が傾いたのですが、読みたい本や予約してあって届いた本(それも読むのに時間がかかりそうなもの)が手元に結構あったりするのでもうしばらく待ってみようかなと。一部のお気に入りの作家の本を除いて、最近はもっぱら図書館利用の読書生活です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿