もう十年近く前からだろうか、徐々に聞こえが悪くなってきたのを自覚し始めた。
当時時間潰しのつもりで参加していた英会話教室で、長方形に並んだ生徒の遠方の、特に女性が
話す英語が聞きづらいと感じたのが最初の兆候だった。
女性だから声が小さいのだろうとか、英語の発音が不明瞭だからだろう、などと聞こえの不調の原因を
相手のせいにしていたが、そのうちにテレビの音声ボリュームが家人とレベルが違うようになって、
ああ老人性難聴が始まったかと自覚するようになった。
英会話教室は、その度に「もう少し大きな声で」とお願いすることも度重なり、相手に失礼だと感じたりして、
とうとう英会話は諦めた。
テレビの視聴も小生の聞こえのレベルにボリュームを上げることがちょっと限界になり、いつの間にかテレビに
イヤフォンを接続することになってしまった。
近頃では、電話の呼び出し音を聞き逃すことが出てきたりして、いよいよなんとかしなくてはいけないのではないか、
と思い始めた。
何人かの友人も「補聴器」の使用を数年前から始めたというし、補聴器という代物の世話にならなくてはいけないのかと、
インターネットなどで調べてみた。
難聴対策用補助具とし2種類の器具が売られていることがわかった。「補聴器」と「拡声器」である。
補聴器とは医療機器で、法律で厳しくその品質、有効性及び安全性の確保が要求されており、
厚生労働省の認定されたものという定義があり、故に一般的に高価なもので、数十万円することが珍しくない。
一方よくテレビなどで宣伝されている耳掛け式や耳穴式のワイヤレスイヤホンは、「集音器」と称し、
医療機器ではない。価格的に種々多様で、数千円からせいぜい数万円代と補聴器と比較してごく割安である。
呼称や法的認定は、性能を保証するものではないから、高価な「補聴器」が必ずしも高性能であるということ
でもあるまい。難聴の内容や度合いによっては必ずしも「補聴器」でなくてはならないということではなさそうだし、
その価格差を考えれば、所謂「集音イヤホン」でも聴力改善補助に相当な効果はあるかもしれない、
と考え今回「耳掛け式集音イヤフォン」を購入してみた。
しかしこれが単なる集音とか拡声だけの機能を有しているだけでなく、専用のスマホアプリで事細かく「調整」ができる。
リスニングモードの選択とか、イコライザー調整、雑音抑制、集音方向、音量調整など調整項目が多く、また項目毎の
調整度合いも何段階もあり、どこをどの程度調整すべきか途方にくれる程だ。
まあ、最初から適正に調整できるはずも無い、当てずっぽうに調整して、使い始めてみた。
聴く必要もない本のページを捲る音とかドアの開閉音とかが必要以上に響いたり、ハウリングのような音が聞こえたりと
予想をしなかった音が伝わってきたりして、びっくりもしたが調整も挑戦だと思い使い始めている。
まあ1週間もすれば使いなれも出て、なんとかなるのでは無いかというのが、使いはじめの感想だ。
80も後半に差し掛かり、生来の身体機能もあちこちガタがでてきて当たり前。
少しでもガタ修正ができれば万歳だ!