como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

平清盛 第7話「光らない君」

2012-02-19 23:15:54 | 過去作倉庫11~14
 先週があまりにショボかったので、見放しモードに入りかけた「清盛」ですが、今週は意外やよろしかったです。予告編見た限り、面白そうとはつゆ思わなかったから逆に良かったのかも。
 まあ、こんな感じで、落ちたり上がったりの上下運動を繰り返しつつ、トータル的には上昇傾向で、最終回までつないでいくというのが、大河ドラマとして望ましい流れではありましょう。第7回ともなると、色彩感覚の違和感とか、騒音とか、怒鳴りまくりのセリフとか、そういった生理的な苦手感にも体が慣れてしまうということもありますしね。
 そんな感じで、なんとなく基本トーンがしっくり落ち着くのが第7回あたりだとおもうのですが、今週のアバンはびっくりしました。いきなり8時ちょうどに、女性アナウンサーの声で告げられる「今週のみどころ」。今週はじめて登場する2大女子キャラ・明子と時子の紹介と、二人の恋はいったいどうなるのでしょうか~、みたいな話。おお、いよいよ評判の悪い(私の中で)アバンをガラッと変えてきたのか。まあ、この露骨に女子目線なのもビミョーではあるが、それでも今までよりは…、と思ってたら、そのあとで通常の、頼朝目線のアバンが始まったので、ガクッと脱力。
 さらにそれがまた長くって、冒頭の女子向けとあわせて、4分近くあったでしょうか。ねー、裏の東芝日曜劇場じゃないんだから…。アバンなんか1分以内でいいんだよ。
 ってなことで、毎度文句で初めて恐縮です。今週もお付き合いヨロシク!

第7話 「光らない君」

 で、その長~いアバンの間に、先週西海からしょっ引いてきた暴走族みたいな海賊連中が、検非違使に突き出されることもなく清盛(松山ケンイチ)の郎党になり、それから死んだ爺やの守康(佐土井けん太)の末期養子として、スズキ丸(上川隆也)が武士にとりたてられて郎党に加わった…みたいな話が説明されます。
 こんなことは本編で説明すればいいのに…と思いますけど、まあいい。今回初登場しますのが、源氏物語を読みふけり、その二次元ワールドにどっぷり浸かっている平安時代の腐女子・時子さん(深田恭子)です。
 で、最初長々と、時子ちゃんが源氏物語の、紫の上が登場するくだりを朗読するのですが、これがなかなかお上手。初々しい、かわいらしい声の張りにくわえて、ほんとに腐っぽいイタさも匂わせたりして、すごく感心しました。源氏物語の朗読で一気にドラマ世界を支配した深田恭子ちゃん。すっ凄い!
 先週、汚らしい男連中がどんなにギャアギャア大騒ぎしても、ちっとも気持ちが盛り上がらなかったものを、深キョンの朗読と可愛い紙芝居ふうの絵解きで、一気に世界に引き込まれた…というのは、単に私の趣味の問題なのかなあ。そうかもしれませんが、まあ、お金をかけて気合を入れれば盛り上がるってもんでもない、ということは、先週に引き続きさらよくわかりましたよ。

 先週の海賊討伐のご褒美をいただきに、忠盛パパ(中井貴一)が昇殿するのですが、これ以上忠盛さんの位をあげると平家は武士の格ではなくなって、貴族になってしまうのですね。そこまでの越階は前例が無いので、鳥羽院(三上博史)は、「今回は息子の清盛にご褒美あげとくわ…」といってかわします。
 で、そのお礼をいうために参内するキヨたん。…ですが、なんなんですかそのキタナさは。いくらなんでもありえんよねえ。一応、御所、それも院のおわす奥ノ院ではないですか。御所のトイレ掃除だってもうちょっとマシな格好していると思うよね。
 こんな汚いものの出入りをよく許すよね。廊下ですれちがった藤原忠実様(國村準)も、クッサ~~、と鼻をつまんで、「褒美をもらって出世してもせいぜいここまでよ、武士なんてのは王家の犬なのですもの」と定番のことを言い、ソソクサ去っていってしまいます。
 王家の犬がどーしたこーしたとか、同じこと毎週言われてるんだからいい加減耐性ができてもいいものを…。キヨたんはまたぞろハートを直撃されて、ぬぁにをうっっっ!!とか言って暴れます。ちくしょうっっ!!!と、
烏帽子をむしり取って。
…何度も何度も言いますが、この時代の成人男子が烏帽子を脱ぐというのは、パンツを脱ぐのと同じことなのよ。またぞろ公衆の面前で露出させちまったキヨたん。そろそろ猥褻物陳列罪で逮捕されてもいいと思うなあ。
 それを冷静に止め、フォローする乳人のスズキ丸あらため盛国。みちがえるほど小ざっぱりして、武士の恰好も侍烏帽子も決まっている。ほらっ、主役形無しオーラが、直近にジワジワと!!

 で、露出させたまま(!)お馬に揺られて帰り道。雨のなか、キヨたんと盛国は、道端で何故か「あああぁぁぁ~~!!!」とか大騒ぎしている父娘連れに遭遇。
 なっ何があったのだ!事件ですか事故ですか?!それとも急病かなんかですか?!…って、大騒ぎしたわりに事の真相は、どうも転んだだけみたいですね。何なんだよ。
 大げさだなあもう…。気いつけて帰れよ!っつってサヨナラしては話は展開しないわけで、このオッサン、高階基章さん(平田満)というんですけど、転んだところを助けてもらったのを必要以上に恩に着て、キヨたんと盛国を自宅に招き、娘の明子さん(加藤あい)の手料理をふるまったりするわけですね。 
 んで、これもデフォルトで、明子さんのお料理にいたく感激するキヨたん。そしてお父さんは、おもむろに、「清盛様。うちの娘を嫁にもらっていただけませんでしょーか!!」
 は、早っ!!いくらなんでもそりゃないわー。会って5分で逆プロポーズ、それも娘の父親から。これは、どう考えてもお父さん、早くからキヨたんに、つうかキヨたんちの財産と身分に目をつけてて、雨の日を狙って娘と辻に立ち、一芝居打ったとしか思えません。
 それっていわゆる美人局…。
 家にあがって娘の料理食って「旨いっ!」とか言ったからには責任とってもらおーじゃねーか!!…ちゅうわけなんですな。

 男女逆転劇場は今週もう一題ありまして、はい皆様お待たせしました、鳥羽上皇・タマ子様(壇れい)・ナリコ様(松雪泰子)の愛憎劇場です。
 この間妊娠したとおもったら、ナリコ様、今週はもうご出産。うまれたのは女の子で、もう喜びを隠せない家政婦・堀河(りょう)。これが皇子をあげたりしたら、ますますつけ上がってでかい顔してたまったもんじゃありませんでしたわ、とか言って高笑い。
 ですが、天使のようなド天然のタマ子様は、んな邪悪なことはつゆ思わない。ホントにつゆ思わなくて、ナリコさんとこに、私の部屋とかその手のお店で売ってるような、素敵なピュアコットンのベビーウェアを持って出産のお祝いに行きます。
 んで、経験者の余裕で、肌着とかスタイはいくらあってもいいのよ。わたしも上の子のときはヨダレがすごくて大変で~、ほんと手がかかって~、とか嬉しそうに一方的にママ友の共感をふりまいて、じゃあねお大事に…とにこやかに去っていきます。
 もうナリコさん敗北感でいっぱい。なにが悔しいって、タマちゃんが、イヤミとか優越感で来てるならまだしも、ほんとに心から嬉しそうに、ママ友気分まんまんで来てるじゃないのキーッ!!。
 気が収まらないナリコさんは、そのまま一直線に、トバちゃんのプライベートなお部屋に乱入します。真昼間から。で、なに言うのかと思ったら、「わたしも男の子を生む!絶対産むんだから!!!」
っつって、トバちゃんをやおら押し倒して、げっ、逆レイプ!!
 すげーなもう。回を追うごとにエスカレートして過激になっていく鳥羽上皇の寝室百景。来週はどんなプレイが用意されているのか!?
…って、それが呼び物になるのもちょっとまずいと思うんだけど…まっいっか、面白いから。うん。

 今週はさらに一味違うプレイも用意されてて…。っていうのは、崇徳天皇(井浦新)なんですけど…。
 この人が、佐藤義清(藤木直人)を呼び出して、そのほう歌の名手ということだけど、朕とすこしお話しない…?と。そして、有名すぎる
 瀬をはやみ 岩にせかるる瀧川の われてもすえに逢わむとぞ思ふ
が、披露されるのですが、まあこれって崇徳天皇のこんな若い、天皇時代の作ではないでしょうし(院になってからの作らしいです)、あまりにも有名なのでベタすぎじゃないか?と思いました。
 で、この歌を、「早い流れに引き裂かれた恋人たちが、やがて会えるだろうかと…」とかなんとか、古文の先生みたいな顔して解題するノリキヨ君。「でも、それ以上の意味もあるんですよね」と一言添えたところで、帝のハートを直撃!
「ノリキヨ……次はいつ逢える…?」
くわっっっ!!
 わぁぁぁぁ…。岩にせかるる瀧川の割れても末にあわむとぞ思ふのは、ノリキヨ(西行)のことだったんか!!こっ、これは衝撃の新解釈…。白洲正子さんも仰天だ!
 いや、先走りすぎかもわかんないけど、鳥羽院と待賢門院・美福門院の三角関係とか、よく知られた話よりこっちのほーが断然面白い!どんどんオリジナルでやってくれ。許す!!楽しみすぎる!!

…いや、失礼しました。今週の主題は、平安時代の歌詠みの腐劇場ではなくって、平安の元祖・腐女子の時子ちゃんの視点からみた、キヨたんと明子さんの恋の成就のお話なのでした。
 この時子ちゃんがけっこう面白くて、「伏籠のうちに籠めたりつるものを…っていうのは封印した恋心が解放されたって意味なのよね!!」とかいって日がな一日、んで、琵琶の先生である明子さんの出会いと逆プロポーズの話も、わがことのように妄想して膨らませていたりする。
 そんな時子ちゃんが時子ちゃんであるともしらず、キヨたんは、そこら辺の道で無作法に行き違い、あろうとかそのすぐそばで野グ○をしたりするわけだ。相変わらず原始人のようなキヨたん…つうか、相変わらず異常に狭い京都の町ね。
 いえ、マジでこの京都の町が狭すぎて、偶然の出会いが多すぎるんだよね。このあとすぐ、明子先生といっしょに神社にお参りにいった時子ちゃんは、さっき出会った野○ソ男と会ったりするわけよ。んで、それが明子先生の光源氏(候補)である、と知って、ンマーーー!!っと。
 かように、時子ちゃんは幻滅なんですが、明子さんのほうはマンザラでもない。というのは、そのあと二人きりになったときに、キヨたんの海賊征伐の話になり、海は広くて大きいんだ、月が上るし日が沈むんだ。海にお船をうかばせていってみたいなよその国…みたいな話を聞いて激しく萌えてしまうんですね。
 いやあ、「海を見に行こう」なんて加山雄三のむかしからの定番ですが、まあ、明子ちゃんは時子ちゃんとちがい、ベルばらとかにはまったく興味ないけど北斗の拳とかワンピースには萌えてしまうという…ようは見かけによらず少年漫画嗜好であった、ということで、キヨたんは、明子ちゃんのそこのところのチャンネルをバッチリとらえてしまいます。

…が。
 せっかくノリキヨ君に代筆してもらった恋の詩にも、お断りの文をよこされて、キレたキヨたんは、ダメならダメと目を見て言ってくれ!!とかいって明子ちゃん宅に乱入します。
 明子ちゃんが断ったわけというのは、なんでも、お父さんが自分の良縁をねがってパワースポットめぐりとかをしてて、それで結婚決まったからってパワスポのご利益だと引け目に思うのはイヤだ、と、こういう理由なんです。まあ、現実は親父の美人局まがいのことに嫌気がさしたんでしょうけど…。
 そんな明子ちゃんを、真っ向から直球で攻めるキヨたん。オレは、パワスポとか関係ねえ!自分の意志でお前を嫁にしたいと思ってきたんだ!!!と。
 もうド直球。最近の若者バンドの結婚式ソングみたい。きいてるほうは恥ずかしさにホホ赤らめてしまうわけですが、ここで良かったのは、一部始終を目撃している時子ちゃんの視線ですね。
 自分の大好きな少女マンガの世界が、目の前で書き換えられていく衝撃とか、ある種の感動とか。さらに、「海を見せてやる」云々の殺し文句も、このはるか後に、この娘が、三種の神器と一緒に西海に沈むという強烈な運命を選ぶことを考えると、なかなか趣深いものがあったりして。
 これを、黙って「………」と固まって佇んでいるだけで表現できた時子の存在感は、見事でした。先週の一連の場面が「しゃべりすぎだ、うるせえ」とか思ったのと真逆のアプローチで、これはとても良かったと思います。

 そして、キヨたんは明子さんを自宅に連れて行き、両親に披露して結婚の許可をうけるわけですが、ここで、忠盛さんが白拍子の舞子を迎えた時と心境がリンクするのが面白かったし、宗子さん(和久井映美)のジトッと陰湿な…口にださないけど様々思うところがある風情も、とても良かったと思います。
 まあ、あいかわらず主人公は景気よく、おなかの中まで心境を開陳して大オープンなんですけど、まわりの人が、このようにジトッと、本音を隠して立ち回っていると見ごたえが違ってきますよね。
 つまり、大河ドラマの見ごたえというのはそういうあたりにあるのか?などと考えつつ。

 さあて次回は、お待たせしました、いよいよ悪左府・藤原頼長(山本耕史)登場――!!さらに、崇徳帝もノリキヨにただならぬことを囁いておった。なっ何何??楽しみすぎる。
 また来週っ!