como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

平清盛 第28話「友の子 友の妻」

2012-07-15 23:36:41 | 過去作倉庫11~14
♪ともだ~~ちはいいもんだ~ 目と目でものが言えるんだ~ こまぁたときはちからをかそうえんりょはい~ら~な~い~~♪♪

…っと、こんな脱力ソングが終始脳内を流れる第28回でございました。

 思うに、この「ともだちサイコー」的な価値観がドカンと居座ってるのを取り除けば、この平清盛ってドラマ、だいぶマシになるんじゃないでしょうかね。まあ、ほかにもしょうもない部分は多々あるのですけど、この無批判なともだち至上主義。なんとかならんかと思います。
 別に司馬遼太郎先生の歴史観が絶対だという気はないけど、先生が、「友情というのは明治以降に海外から輸入された道徳観」であり、それまでの日本には概念として存在しなかったとおっしゃってるのは、これは正しいと思うんですよね。
 論より証拠、歴史ドラマで無造作に「友」とか「友情」とか口に出して言ったり、そういう価値観が無条件で優先されたりすると、途端に漂ってしまうチープな空気感が、それを実証してます。

 まあ、今週はだいたいこんなもんだろうと思ってたので、とくにガッカリもしませんし。とりあえず最後の5分の脱力劇場がなかったら、まずまずの回であったと思います。
 それにしても生ぬるい平治の乱ではありました。天下大乱なんて感じは全然しないし、戦後処理もダレダレ。しかも肝心のキヨモリに貫録がない。なんだかこれまでのところを見回すと、ウスラわびしくなるような、お寒い内容でございます。
 とりあえず、気力を絞っていってみましょう、

第28話「友の子 友の妻」

 前回、反乱に失敗してあわれ囚われの身となったデブ頼(塚地武雄)と成親ちゃん(吉沢悠)は、後白河上皇(松田翔太)をたよって仁和寺に駆け込みます。
 おお信頼…なんと哀れな。疲れたであろう腹もすいたであろう、さささ食うが良い、とサービス満点で、ふたりの前に御馳走を並べる上皇様。
 しかもお給仕は、亡き信西のスケバン嫁(浅香唯)です。最初のうちこそ、楚々としてお給仕してくれてたんですが、そのうち上皇様が、今様をうたうサービスしてくれちゃって、デブ頼が反射的に追従し、「おおっ上皇様、新曲でございますか?」と。
 すると上皇様は、「長恨歌じゃ。愛する家臣に裏切られた呪いの歌じゃ」と、ヨーヨーならぬ巻物をザッと放つ!!あああっ!!と巻物に眉間を直撃させてデブ頼驚愕した刹那、そこには
「おまんら、許さんぜよ!!!」
っと三代目スケバン刑事がヨーヨーを構えて立ちはだかり、こうして、あわれデブ頼と二枚舌の成親ちゃんの希望は泡のように消えたのでありました…(半分くらいウソ)。

 かくして、裁判はキヨモリ(松山ケンイチ)に一任され、デブ頼は死刑。成親ちゃんは、いちおう重盛の義兄ということもあるので、今回は無罪ということに。「次は許さんけんね!!」とキッつく絞られた成親ちゃんは、はは~っと恐れ入ってひれ伏しますが……。うん、楽しみね、次が(笑)。なんかこの成親ちゃんの爬虫類的な二枚舌と、ウソ泣きに、軽く惚れちゃってる私がいる(爆)。
 それはともかく。武士が公家を死刑にしたなんて前例のないことで、都を驚愕させる…んだそうですが、どうせなら伝聞じゃなく、デブ頼の首がさらされるところまでガチでやってほしかった。猛暑日だし。すこしホラーで涼しくなるくらいのサービスあってもね
 あんなセリフやこんなシーンで寒くなるんじゃなく…(以下自粛)

 で、前回、賽の河原の異次元幻想シーンから脱出したヨシトモ(玉木宏)は、三人の息子と一緒に亡命の途上にあります。
 途中、頼朝(中川大志)が、「父上、鬚切はどーされたのですか?落としたのですか!?」と突然言い出します。いやあれは異次元の世界に置いてきたので……とも言えず黙り込むヨシトモ。頼朝は健気に、「探してきます」とか言って、マジで探してるうちに迷子になって、ひとりぼっちで孤立してしまいます。できる子なのかトロいのかよくわからん。
 んで、頼朝を置き去りにしたまま、ヨシトモは、まず重体だった朝長の止めを刺しておいて来て、悪源太(波岡一喜)とも別れ、忠臣・正清とふたりになって、とりあえず正清の舅の長田忠致を頼ります。この人保元の乱のときに一回出てきたね。顔見せ程度に。
 忠致さん家で、とりあえずご飯食べさせてもらい、親切にもてなされた主従でしたが、「では、お風呂の支度をしてきましょうね~」と中座したところで、ヨシトモが危険を悟ります。ハッ!!風呂に入れて裸にして背中を流すふりして三人がかりで殺す気だな!!
 んな「平家物語」のテキストどおりの最期を遂げてなるものか。奮い立ったヨシトモは、これで源氏は終わりだ。正清、ともに死に花咲かせてくれようぞ!と、ふたりで立ち上がります。で、お舅さんが「お風呂の支度ができました~」って言ってきたとこで、ふたり、うぉおぅぅぅっっっ!!!と咆哮して、庭へ飛び出し、ふたりともに刺し違えて果てるのであります。
 いままでありがとう正清。オレに木登りを教えてくれたのはお前だった、愛してるぜ正清。とかなんとか言って、うう、なんか見てるほうが恥ずかしい。男ふたりの心中シーン。
 まあ、とにかく玉木さん趙さんお疲れ様でした。玉木さんには、長年(「功名が辻」以来)、「日本一ヅラの似合わない男優」と決めつけてきたのを、謹んでお詫びし、撤回させていただきたいと思います。声も居住まいも所作も素晴らしかった。今後もぜひバリバリ時代劇に出……いや、まあ……月代ヅラは似合わないと思いますけどね、やっぱりね。そこはほら、顔的にさ

 さて、先週、神出鬼没の鬼若(青木崇高)に拉致…じゃなくて助けられた常盤(武井咲)は、隠れている間に牛若丸を出産していました。
 三人のこどもたちを助けるために六波羅に出頭する、そしてキヨモリ様のお慈悲に賭けてみる、という常盤。まあ、お慈悲って言葉の意味がね…ようは色仕掛けで……って思われても仕方ない。
 それを聞いた鬼若は身をもんで悔しがりますが、まあ、こいつがどうこうできる問題じゃないし。それにしてもこいつなんなんですかね。すでに比叡山は破門されてんじゃないですか。ってかその出自さえ忘れられてて、もはやストーカーにしか見えませんよ、この行動。

 ひとりになって山中をさまよっていた頼朝は、残党狩りにひっかかり、つかまって、六波羅に連行されます。
 キヨモリの前に引き出され、そこで、父と兄たちと正清の最期についてつぶさに語られる頼朝。キヨモリも、なんだかさっきまでテレビで見ていたようにリアルに具体的に(爆)、ヨシトモたちの死にざまを語るもんだから、頼朝はもう打ちひしがれちゃって、うっうっうっ…うぇえぇ~~、と大泣き。いや、子供だし、いいけど……でも、ちょっと泣きすぎ。お母ちゃんが生きていたらひっぱたかれた思うよねこれ。
 で、囚われの身となった頼朝のとこに、宗盛がやってきます。オレが内裏の戦でヘタレたのは初陣だったからなんだからな!慣れてなかっただけだからな!!とか、いきなり言い訳されて、キョトンとしてた頼朝、「ああ、あの時の…」と言ってしまい、って忘れてたのかよ!と、宗盛を逆切れさせてしまいます。なんだよてめーなんか逆賊の子なんだからな!!とかいってみっともなく一方的にブチ切れる宗盛。いや…これって壇ノ浦の後日談で回収するのかな。ってかそんなとこまで話はつづくのか?
 わかりませんが、とにかくこのアホの宗盛をおばあちゃんの池禅尼(和久井映美)が処理しにきて、池禅尼と頼朝の対話のシーンになります。亡き両親と兄たちのために卒塔婆をつくりたくて、ヒノキと小刀を所望したという頼朝に、いたく心を打たれた禅尼様は、キヨモリに、「左兵衛佐殿の一命をたすけて欲しい」と助命嘆願。あのこは亡き家盛に似ているので…というのは、まあ人口に膾炙するエピソードどおりです。
 そんなんダメです、平氏が頂に上るために源氏の残党ばらは殺しつくすのだ!それが友の子であっても!!と無情なことを言われた禅尼様は、そのままハンストに突入。ハンストっつっても、一食抜いた程度らしいのですが。
 で、ハンスト中の禅尼様のところに、じいやの家貞(中村梅雀)がやってきて、そんな無理はしなくても、もう禅尼様のお心は亡き殿に届いておりますよ…かなんか言って。
 なんかさー、この家貞って、死んだ忠盛の口寄せ専門のイタコみたいな人だよね
 ということで、池禅尼の「家盛に似ている」云々が、ようはハッタリだったらしく、お決まりの生ぬるい半笑いのうちにユルユルと禅尼様の抵抗はフェードアウト。そんではどうやって頼朝の助命はなされるのか、といいましたら、これが

これが…

もう、この先は見なかったことにしたいのはやまやまなのですが…

 いやもう、なんでこー、毎回ぬかりなく脱力玉をしこんでくるんですかね。ここまでは、まあ多少生ぬるいけど、そこそこまとまって悪くないと思ったのに。
 再度頼朝をお白洲に引き出したキヨモリは、頼朝に、あの源氏重代・鬚切太刀を見せます。そう、頼朝が賽の河原に置いて行った、あれ。
 っということは、あのシーンは異次元の幻想シーンでも、ふたりの心象風景とやらでもなかったのだな
 なんてこった…。ホントにキヨモリ・ヨシトモがふたりの世界にワープして、夢の一騎打ちをやり、そこで敗れたヨシトモがあとも振り返らずにお家重代の家宝の太刀を捨ててきたとは。そんな、そんな話を聞きたくなかったっっ!!と、心の底から打ちひしがれた頼朝は、もう殺してください、できたらその鬚切で、いますぐ僕を殺してください!!と自暴自棄になります。
 そしてキヨモリが、すらりん!と鬚切太刀を抜いたらば、おおっ何たること、またしても超常現象がおこって、目の前の頼朝子役は消え失せ、そこにはヨシトモ@玉木宏が出現するではアーリマセンカ
 そんで、これもお約束でギャラリーは消滅し、またもファンタジックなふたりの世界。♪ふ~~たり~のため~ せ~かいはあるの~~♪♪、という白昼夢の世界出現!!
そしてキヨモリは、こころゆくまでウスラ寒いセリフを歌い上げるんですよ。泣きながら。これがすげーんだわまた。まあ聞いて。

オレは武士の世界の頂に立つ!一人で道なき道をゆく! 苦しいこともあるだろさ、悲しいこともあるだろさ、だけどボクラはくじけない、泣くのはいやだ笑っちゃお、じゃなくって、勝った俺だって辛い苦しい!苦しいんだ!そんなオレをひとりにして勝手に死んで勝負を投げやがってヨシトモのバカヤロー!!

…っと、概略このよーなことであったかと思います。
 なんなんですかね、この理屈。いっぽー的にそんなん言われて非難されたヨシトモも不本意だったと思うし、ましてお父ちゃんと妄想された頼朝は、それこそ迷惑だったでしょーに…。
 それだというのに、頼朝ったら、このとんでもない妄想男を、マンセーしちゃうのよ。その大きな背中に圧倒されてどーたらこーたら…とか言って。
 さすがにここまで崩壊が進むと、どうマンセーしても説得力が無い気がするが…。

 ほんで頼朝は伊豆に流され、出頭した常盤はキヨモリに保護されます。保護って…まあその前に「友の妻に手を付けるなどできるはずがないっっ」かなんかゆーていましたけど、劣情の前に、友情もなにもあったもんではない、という話なんでしょうな。
 ほら、友情という概念は明治以前には存在しなかったけど、劣情の存在は古来あるんだからさ。ヨシトモとの妄想の友情劇場よりも、常盤ちゃんを押し倒すキヨモリのショットのほうが、はるかに説得力がありました、ってなことで。

 来週は、あー、あの滋子姫の再登場か…(棒)。
 とりあえず、ロンドンオリンピックを楽しみにしましょうね。がんばれ男子マラソン!


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