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暮らしの菓音vol.2 演奏

「おいしいお菓子を作るには、おいしくなあれという気持ちで作ること」
そんな言葉をお菓子の本なんかで目にするたびに、
「”おいしくなあれ”だけでおいしいお菓子を作れるなら何の苦労も無いよなぁ」
と、根っからひねくれものの私は思っていた。
「おいしくなあれ」だけで済むなら、同じものを何度も繰り返し作って練習する必要ないし、
材料の状態を見極めて加減する必要も無い。どんな人でも子供でも作れるという話だ。
でもその考えもちょっと違って、要は「おいしくなあれ」だけでおいしいものが作れるわけでは
決してないけれど、どれだけ技術や素材の質が向上しても、「おいしくなって欲しい」
という願いが欠けていると食べる人の心を満たすものは出来ないのだと思う。



モノやモノゴトに込めた願いや思いは必ず人に伝わる。
お菓子にしろ音楽にしろ、きっと何でもそうなのだろうと思う。

ひらく農園さんに第二回暮らしの菓音でギター演奏して欲しいとお願いにうかがった際に、
「ギターは音が小さいから、ピアノの時みたいなコンサートのような感じ(第一回菓音)じゃなくて、
ほんとにBGMのような感じになると思うよ」と言われた。
そもそも菓音イベント事体コンサート主ではないので、それはそれでいいと思っていた。
音楽だけではなく切り絵を見る楽しみもあるし。
しかし、予想だにしなかった菓音1週間前に起こった大震災。

ひらく農園さんのつまびくギターの音色が静かに広がるのをお菓子を売りさばきながら耳にしていた。
それは、乾いた土にじょうろの水がゆっくりと染みこむように、穏やかに心に染み入る鎮魂の音色であった。

市外にお住まいのお客様から菓音終了後にメール頂いた。
「ひらく農園さんのギター演奏に調度居合わせる事ができてラッキーでした。
でも、後1分居たら泣いてました。
震災の影響や私自身の悩み事と…ほんの数曲だったのに胸にがっつり染みました」

コメント ( 2 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
Unknown (cinnamon-cardamon)
2011-04-10 11:14:52
「おいしくなあれ」の気持ちと同様に、
見えないところにこそ、スタッフのみなさんや参加者のみなさんの誠意がたくさんつまっていたと思います。
こういう場に居合わせることができて幸いでした。
杜やさんのお菓子が想像をはるかに上回るおいしさだったわけもブログを拝見してわかりました。

 
 
 
cinnamon-cardamonさま ()
2011-04-11 17:32:49
あたたかいお言葉をありがとうございます。
次回もご都合よろしければまたいらしてください。

「おいしくなあれ」という願いは
味がうまいとかまずいとか、そういうこと以前に
「口に入れる食べ物として真っ当であること」
という基本のところに作用するものと思います。
食べ物の場合、例えば異物混入していないとか。
食べ物ではなくても、
例えば「合格祈願」しても必ず受験に合格するわけではないですが
「祈願」するその気持ちがきっと大事なのでしょうね。
 
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