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希望の光

うだるような暑さのさなか、黙々とお菓子を焼いてた今日の午前中。
「ピンポーン」杜屋さん、宅急便ですよー
顔なじみの宅急便のお兄さん。「お酒が届いてますよ」
お酒?実家からかな?と思って送り状を見たら、県外にお住まいのお客様からだった。
わ~~~お酒贈って下さったんだ~~~
いそいそがさがさと箱を開けて取り出す。
わ~~~日高見だ~~ ・・・・・・

 

・・・ん?「震災復興酒 希望の光」「絶対負けない石巻」
酒瓶の前面のラベルの文字。普通の日高見と違うお酒?



くるり裏返し、酒瓶裏側のラベルにびっしりしたためられた文章に目を通す。
読みながら、思わず涙があふれた。

日高見は、震災で甚大な津波被害を受けた宮城県石巻市にある「平孝酒造」さんのお酒。
宮城県誇りの銘酒のひとつ。
今日送って頂いたこのお酒の裏面ラベルには、
震災時の蔵の光景、もろみの状況、蔵元さんの思いが切々と書かれていた。
天塩にかけて醸したお酒が「白い絨毯のように」床一面にあふれ、停電により何の対処も出来ない、
その光景を目の当たりにした作り手さんの思いは如何だったろう。
そしてあきらめかけたお酒を味わった時の感動は如何だったろう。
読みながら想像していたら、自然に泣けてきた。

贈って頂いた方にお電話させて頂いた。
私同様、宮城県にご縁をお持ちのそのお客様と会話が弾む。
現地で被害を受けられた方も悲喜こもごも。
地震で強く揺れたのにお皿ひとつ割れなかった。
建てたばかりのマイホームが津波にあったけど流されなかった。
「津波が来た地域とほんの少しの差で来なかった地域と、天国と地獄のように違っていて
 でも被害を受けた人と受けなかった人と、善人悪人の区別は全く関係ないのに
 その違いは一体何なんでしょうね・・・」
震災は、あまりにも分け隔てなく平等であった。
善人が助かったわけでも悪人が被災したわけでもその逆でも全くない。

震災で亡くなった人だって行方不明になった人だって全財産失った人だってたくさんいる。
その中で自分は平穏無事に生きている。
「被災した石巻市の惨状を見た時に、弊社は本当に生かされたのだと強く感じるほか有りませんでした」
そんな日高見の蔵元さんの文章に共感を覚えた。

写真では読みにくいため、「平孝酒造」さんの「震災復興酒 希望の光 日高見」
ラベル文章をここに紹介させて頂きます。

このお酒は、平成23年3月11日(金)の東日本大震災によって被災したお酒です。
純米酒を中心に大吟醸や純米吟醸など、発酵中のお酒が被害に遭いました。
震災直後、仕込み蔵は地震の揺れの激しさから、発酵中の醪(お酒)がタンクから溢れ、
床一面、白い絨毯を敷き詰めたのかと、錯覚するような情景でした。
溢れ出た醪は霧状になり辺り一面に立ちこめ、蔵の奥が良く見通せない状況で、目の前の光景を疑いました。
そして、溢れ出た醪が発生している音なのか、今までに聞いた事の無いような音が蔵内にこだまし、
まるで醪の悲鳴のようにも聞こえ、何とも言えない恐怖感を覚えました。
 
建物のいたるところが壊れ、立ち入る事が困難になり、同時にライフラインが寸断し、
発酵中のお酒の管理が出来なくなってしまいました。
何の手立ても出来ず、ただ、呆然と指をくわえて見守る日々が続きました。
一週間が過ぎても復旧の目処が立たず、発酵中の醪の全廃を覚悟しました。
しかし、震災から二週間目、電気など一部ライフラインの復旧などが重なり、
諦め掛けていた醪を、遂にお酒として甦えさせる日がやって参りました。
 
ただ、放置している時間が余りにも長く、垂れ口から搾りだされるお酒の品質がとても心配でした。
しかし、我々の心配をよそに、そのお酒はとても力強く生命力に溢れ、我々に勇気と希望を与えてくれました。
本来の酒造りでは、如何に良い酒を造ろうかと凌ぎを削りますが、
このお酒からは普段の酒造りでは味わえない感動を貰いました。
蔵の有る宮城県石巻市はこの度の震災で、壊滅的な被害を受けました。
勿論、弊社も甚大な被害を受けました。
しかし、被災した石巻市の惨状を見た時に、弊社は本当に生かされたのだと強く感じるほか有りませんでした。

普段の生活では感じ得ない、感謝の気持ちを強く痛感させられ、
造り酒屋として何か地域に貢献する事は出来ないか、自然とその様な気持ちが芽生えて参りました。
そして、この気持ちを大事にしたいと考えるようになり、この被災したお酒を震災復興酒として販売し、
少ない金額になりますが、売上金の一部を義援金として、私達の住む石巻市に献金したいと考えております。
また、我々が励まされたこのお酒を通して、御愛飲頂く全ての方々に
希望の光をお送りする事が出来れば幸いに思います。(以上「希望の光」裏面ラベルより)


「本当は、このお酒を手土産に19日の暮らしの菓音に行こうと思っていたんですけど行けなかったので…」
カノンチャリティセットをご購入下さった上にこのお酒を送って下さったお客様からは、
ご支援とご声援の二つを同時に頂戴した気分。
自分を信じて下さる方がいるというその強みは計り知れないほど大きいものがある。
そして実は他のお客様からも様々なご声援を頂いている。
メッセージやお手紙や差し入れやカンパなどいろいろなカタチで。
私自身とても励まされています。本当にありがとうございます。
そしてまた、私も他の人や存在に微々たる支援と声援を送ることを継続していこうと思います。

それはさておき、このお酒を味わうのがめちゃ楽しみー

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