第7回読書会を市立図書館ミーティングルーム4にて開催しました。
今回取り上げた本は、木内昇「漂砂のうたう」
明治時代初期、遊郭で働く主人公の青年とその周りをとりまく上司や遊女たちの群像劇。主人公の人生や仕事に対する考え方・向き合い方の変化や時代の急変に翻弄される廓の情景を丁寧な文体で描いた作品です。
【印象に残った参加者の感想】
・明治初期の旧士族の落ちぶれた様が、心理描写を含めて表現されていて面白かった。死んだとされていた小野菊が実は生きていた、というどんでん返しは小説の手法としてはどうなのか?という疑問は残ったが。
・吉次たちにそそのかされ、小野菊を貶める策に加担してしまった主人公の定九郎が、最後は小野菊と和解し、彼女の元に失くした巾着を戻すことができてよかったと思います。
・明治という新しい時代の中で下級武士となる士族の人達を貧農から「遊女」になる女性の生き方に感心しながら読みました。怪談話をバックに展開する話のすすめ方に作者の作品づくりの上手さを感じました。激しい時代の流れの中にあって生きる人の姿は興味があります。コロナも少し落ち着き、久しぶりに参加できてよかったです。
第8回は11月26日(金)木内昇「新選組 幕末の青嵐」です。
資料は市立図書館で準備しております。
市立図書館ミーティングルーム4でお待ちしています。