陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「輪舞」

2013-01-03 | 映画──社会派・青春・恋愛
本日の映画は、1950年のフランス映画「輪舞」
輪舞といってもパーティでめかしこんだ紳士淑女が踊るのではなくて、構成そのものがまさに輪舞。
つごう十組の男女の恋愛エピソードが連鎖形式で流れていきます。恋のパートナーを変えながら流れていくお話の主人公たち。しかし、誰もがみな、恋が成就しないという結果の風刺劇。

兵隊に恋をした娼婦。その強引な誘いから逃げ出して、初心な小間使いをものにする兵隊。その小間使いは若主人の初体験となり、味をしめた若主人は人妻にアプローチ。人妻は夜の生活が疎遠になった旦那と寝室で語らい。その旦那はといえば、若い娘を囲っていて。若い娘は自尊心の強い詩人を愛しているが、詩人の本命は大女優。だが女優は精悍な伯爵士官に首ったけ。
そして、最後、この伯爵士官は自分の部下の相手だった娼婦にひと目惚れ…とみごとに最初と最後がつながります。

この十の掌編をつなげていくのが、あれこれと変装しながら語り部となる狂言回し役。
モノクロではありますが、魔術的な映像テクニックで観る者をとりこに。あのスタンリー・キューブリックら当時の若手監督に大きな影響を与えたとされる映画史上重要な一作。

しかし、女に貞淑を求めときながら自分は若い娘を囲っている人妻の夫や、誠実を要求してる癖に自分が保身のために大女優にカマかけてる詩人とか、どうなんでしょうねぇ(苦笑)
最後に出会った伯爵士官と、恋愛を割り切っていて純真そうにみせている娼婦がいちばんマトモな気がします。


監督はマックス・オフュルス。
原作は、アルトゥール・シュニッツラーの戯曲「ラ・ロンド」
おなじ戯曲をジャン・アヌイの脚色、ロジェ・ヴァディムの監督でリメイクした1964年版の「輪舞」があります。

(〇九年八月二十九日)

輪舞(1950)(1950) - goo 映画

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