陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ショーシャンクの空に」

2010-01-18 | 映画──社会派・青春・恋愛


この一月十七日は阪神・淡路大震災から十五年。
私は直接被害を受けたわけではないですが、地震の衝撃を浅い眠りで感じたひとりです。地震が起こった当時以上に、いまだなお苦しい生活を強いられている方はおおぜいいらっしゃるかと思います。
天災というのではないのですが、身に降りかかった災難から苦境に追いこまれていきながらも、みごとに状況を脱した人間の物語をお届けします。
1994年の映画「ショーシャンクの空に」のレヴューです。

アカデミー賞受賞作というお墨付きに惹かれて鑑賞しても、えてしてなにも心に残らない作品もあるものですが、これは違いました。さいしょは乗り気じゃなかったけれど、開始三分の一ぐらいで引き込まれていってしまった。そして二時間を超える映画だとたいがい飽きてしまう私が、140分もの間、目が離せなかった。そして、「コンタクト」「シンドラーのリスト」とならび、もう一度観なおしたいと感じた良作です。


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若き銀行副頭取だったアンディー・デュフレーク。
1947年、妻とその愛人を殺害した容疑をかけられ、終身刑で監獄入りに。ショーシャンク刑務所では、彼の周囲になじまない物腰から浮いた存在だったが、「調達屋」のレッドやその仲間たちとの親睦を深めていく。アンディーを快く思わない連中に酷い目に遭わされもしたが、事態は好転。
経理能力や知性を刑務所の所長に買われたアンディーは、荒んだ囚人たちの生活を変えていく…。

このあたりまでは、ひじょうに感動を覚えます。
しかし、服役20年を迎える頃、やっとアンディーの無罪を証明できるチャンスが訪れたにもかかわらず、所長の利己的な判断によってねじ伏せられてしまう。さすがのアンディーの顔にも、絶望の影が漂いはじめます。

このあとのラストまでの逆転劇が、みごと。
アンディーも、そして惜しみない友情をはぐくんだレッドも、幸せな人生を掴みます。彼らはけっしてあきらめずに、それを望み努力したからこそ、なし得たのです。
この映画はまた、服役囚の更生、そして社会復帰への偏見を厳しく言及しているといえるでしょう。

主演は、アンディーに「ミスティック・リバー」でアカデミー助演男優賞のティム・ロビンス。「宇宙戦争」にも助演していますね。
レッドには、「アウトブレイク」「ディープ・インパクト」のモーガン・フリーマン。この人はこういう良心的な役どころが似合いますね。
原作はスティーヴン・キングの中編『刑務所のリタ・ヘイワース』
監督は「グリーンマイル」のフランク・ダラボン。

本作は「フォレスト・ガンプ/一期一会」「パルプ・フィクション」「スピード」と話題作の多かった1994年公開作で興行的には不振。第67回アカデミー賞では七部門(作品賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、楽曲賞、音響賞)にノミネートされながら、惜しくも無冠に終わっています。
しかし、日本では95年度の第19回日本アカデミー賞 外国語映画賞、キネマ旬報ベストテン 外国映画作品賞など、ファンを増やしました。不況の波が押し寄せ、大震災が襲った日本を勇気づけた作品として、当時評価を得たのではないかと思われます。



(〇九年八月十四日)

ショーシャンクの空に(1994) - goo 映画




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