松嶋菜々子が韓国の男優ソン・スンホンと共演し話題になっている「ゴースト もういちど抱きしめたい」は、1990年のアメリカ映画「ゴースト ニューヨークの幻」(原題 : Ghost)のリメイク版。そのリメイク版の公開にあわせて、金曜ロードーショーで放映されていました。視聴するのは三度目ぐらいになります。結末を知っているのに、なんども観たくなる名作ですね。
ニューヨークの大手銀行に務めるサム・ウィートの恋人は、女性陶芸家として活躍するモリー。将来を誓い同棲をはじめたばかりの二人だったが、夜の街を散策中にサムが強盗に襲われ命を落としてしまう。
死後、魂が抜けだした状態のサムは、モリーの住まいに、自分を襲った殺人犯が何かを漁りに来たのを目撃する。
犯人の身元はきっちり押さえていて、愛しい人の身に危険が迫っているというのに、それを誰にも知らせる手だてがない。
サムが頼ったのは、いんちき霊媒師のオダ・メイ。嫌がる彼女を説得して、自分の言葉を伝えてもらおうとします。しかし、その最中、自分の担当顧客の口座をめぐる不正があるのに気づく。自分がある人物によって罠にかけられたことを憤り、なんとかモリーを救おうと奮闘するサムの懸命さが胸を打ちますよね。
幽霊が霊感の強い人物の手を借りてというパターンは、今でこそ、そこたしの小説なりドラマなりでたくさん見られるのですが、それでもやはり本家本元の「ゴースト」は飽きませんよね。平成生まれからすれば、ファッションが古く感じられるかもしれませんが。あっさり他人のからだに憑依するのではなく、あくまで相手の人格を尊重しながら説得に説得を重ねて助力を仰ごうとする男のいじらしさ。そこがいいんです。
恋人をみずからの手で救えないことにもがき焦燥するサム、そして巻き込まれて非協力的だったにもかかわらず、最後は人情味を発揮するオダ・メイ。前科が多くうさんくさいオダ・メイの言動に不審を覚えながらも、それでも亡くした恋人を知るよすがと期待してやまないモリーの揺れうごくこころ。そして、憎き敵方までも生き生きと描かれています。悪人がそれなりに制裁を受けるところが溜飲が下がります。
幽霊と聞くと青白く生気を失ったように思えますが、本作で描かれるゴーストなるものは現世で残してきた想いに執着し、愛する人のためならば天国で安住することを望まず、未来を変えようとするヴァイタリティあふれる存在。これこそ、90年代初頭までの経済成長に裏打ちされた人びとのエネルギーだったのでしょう。
にしても、あの陶芸のシーン。あらためて観ますと、なんとも扇情的な光景ですよね。そして、なんといっても雰囲気をもり立てているのは、やはりあの音楽ですよね。ライチャス・ブラザーズの「アンチェインド・メロディ」。この映画と聞けばやはりあのサビの部分が耳もとに蘇ってきます。
主演はデミ・ムーアと、昨年惜しまれながら亡くなったパトリック・スウェイジ 。助演のウーピー・ゴールドバーグは「天使にラブ・ソングを…」でもそうですが、このテのあばずれ女を演じさせるともうハマり役です。映画界にぜひとも復帰してほしいものです。
監督はジェリー・ザッカー。本作はアカデミー曲脚本賞(脚本ブルース・ジョエル・ルービン)を受賞。
しかし、実際、死んでもなおその声を聞きたいと願っている相手の霊を呼び寄せるという霊媒師がいたとしても、私はぜったいに信じません。たいがい、お金が絡んできますし、成仏できずにさまよっているなどと聞かされて惑わされるのも厭ですから。ああ、夢がない。
(2010年11月26日)
ゴースト ニューヨークの幻 - goo 映画
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ニューヨークの大手銀行に務めるサム・ウィートの恋人は、女性陶芸家として活躍するモリー。将来を誓い同棲をはじめたばかりの二人だったが、夜の街を散策中にサムが強盗に襲われ命を落としてしまう。
死後、魂が抜けだした状態のサムは、モリーの住まいに、自分を襲った殺人犯が何かを漁りに来たのを目撃する。
犯人の身元はきっちり押さえていて、愛しい人の身に危険が迫っているというのに、それを誰にも知らせる手だてがない。
サムが頼ったのは、いんちき霊媒師のオダ・メイ。嫌がる彼女を説得して、自分の言葉を伝えてもらおうとします。しかし、その最中、自分の担当顧客の口座をめぐる不正があるのに気づく。自分がある人物によって罠にかけられたことを憤り、なんとかモリーを救おうと奮闘するサムの懸命さが胸を打ちますよね。
幽霊が霊感の強い人物の手を借りてというパターンは、今でこそ、そこたしの小説なりドラマなりでたくさん見られるのですが、それでもやはり本家本元の「ゴースト」は飽きませんよね。平成生まれからすれば、ファッションが古く感じられるかもしれませんが。あっさり他人のからだに憑依するのではなく、あくまで相手の人格を尊重しながら説得に説得を重ねて助力を仰ごうとする男のいじらしさ。そこがいいんです。
恋人をみずからの手で救えないことにもがき焦燥するサム、そして巻き込まれて非協力的だったにもかかわらず、最後は人情味を発揮するオダ・メイ。前科が多くうさんくさいオダ・メイの言動に不審を覚えながらも、それでも亡くした恋人を知るよすがと期待してやまないモリーの揺れうごくこころ。そして、憎き敵方までも生き生きと描かれています。悪人がそれなりに制裁を受けるところが溜飲が下がります。
幽霊と聞くと青白く生気を失ったように思えますが、本作で描かれるゴーストなるものは現世で残してきた想いに執着し、愛する人のためならば天国で安住することを望まず、未来を変えようとするヴァイタリティあふれる存在。これこそ、90年代初頭までの経済成長に裏打ちされた人びとのエネルギーだったのでしょう。
にしても、あの陶芸のシーン。あらためて観ますと、なんとも扇情的な光景ですよね。そして、なんといっても雰囲気をもり立てているのは、やはりあの音楽ですよね。ライチャス・ブラザーズの「アンチェインド・メロディ」。この映画と聞けばやはりあのサビの部分が耳もとに蘇ってきます。
主演はデミ・ムーアと、昨年惜しまれながら亡くなったパトリック・スウェイジ 。助演のウーピー・ゴールドバーグは「天使にラブ・ソングを…」でもそうですが、このテのあばずれ女を演じさせるともうハマり役です。映画界にぜひとも復帰してほしいものです。
監督はジェリー・ザッカー。本作はアカデミー曲脚本賞(脚本ブルース・ジョエル・ルービン)を受賞。
しかし、実際、死んでもなおその声を聞きたいと願っている相手の霊を呼び寄せるという霊媒師がいたとしても、私はぜったいに信じません。たいがい、お金が絡んできますし、成仏できずにさまよっているなどと聞かされて惑わされるのも厭ですから。ああ、夢がない。
(2010年11月26日)
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