陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ヴァン・ヘルシング」

2010-07-11 | 映画──SF・アクション・戦争
2004年のアメリカ映画「ヴァン・ヘルシング」(原題 : Van Helsing)は一度観てみたかった映画でした。公開時、けっこう話題になっていた覚えが。このたび日曜洋画劇場で放映されていましたが、期待感が崩れてしまいましたね。

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時は十九世紀、夜の闇に紛れてモンスターが跋扈するヨーロッパ。
モンスターハンターを生業とする男ヴァン・ヘルシングには過去の記憶が一切ない。時おり、襲われる悪夢に苛まされながら、戦いに身を投じている。
ヘルシングは、ローマのバチカンの秘密結社からの密命を帯び、トランシルバニアへと赴く。その使命は、人を襲うドラキュラ伯爵を倒し、先祖代々ドラキュラと闘いつづけたヴァレリアス一族の生き残りを救うこと。しかし、お尋ね者の彼を村人は信用してくれない。
果敢にドラキュラの手下に立ち向かう王女アナと共闘し、ヘルシングはドラキュラ一派に挑むが、獰猛なウルフマンに阻まれてしまう…。

吸血鬼、狼男、そしてフランケンシュタインと、あたかも日本の某アニメに揃っている有名怪物トリオが勢ぞろい。CGで細部までつくりこんだ世界観や、度重なる攻防すさまじいアクションシーンの数々は見応えがあります。
が、しかし。どうも既視感が拭えません。綱一本で空中をアクロバティックに行き来するアナ王女や、メカに強いオタク青年のお仲間は「トゥームレイダー」を思わせますし、序盤で退場したアナの兄やさらにはヘルシングまでがウルフマンに変身してしまうところは予想できてしまいますし、強面のフランケンシュタインがじつは人間味ある存在だというのも「エレファントマン」のような。舞台としては珍しくはあるけれど、じつはフォーマットに乗っ取っただけですね。

そして、いちばんがっかりだったのは思わせぶりに用意したヘルシング自身の素性。あってもなくてもよいような正体にしか思えませんでした。あれだけダークヒーローらしさを演出しておきながら。
せめて最終悪が「ジェヴォーダンの獣」のように、佳境まで正体が見えにくければ、不安感を煽ってスリルを味わえたかもしれません。筋書きがみえていても、人物のやりとりに洒脱さ、悪役の強烈なキャラクターがあればもっと楽しめたかも。

お約束のごとく恋仲になってしまうヘルシングとアナとの結末は予想外でしたが、ウルフマン阻止のためにアナが身を挺したというのが、分かりづらくて。家族向けの内容ですので、あえてハッピーエンドでもよかったと思います。
華麗とデカダンスが隣り合わせの十九世紀末の超科学的なファンタジーがお好きな方にはおすすめかも。

監督は「ハムナプトラ」のスティーヴン・ソマーズ。
主演は「X-メン」でおなじみのヒュー・ジャックマンと、「アビエイター」「アンダーワールド」シリーズのケイト・ベッキンセール。

ヴァン・ヘルシングは、これまで何度も映画化、舞台化されている『吸血鬼ドラキュラ』に登場する大学教授らしいですね。
衣装デザインの参照元が、菊池秀行の『吸血鬼ハンターD』だったというのに驚きでした。

(2010年6月27日)

ヴァン・ヘルシング(2004) - goo 映画

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